コウモリ月琴(3)
![]() STEP3(続) 側板の割レ継ぎ 割レ箇所の補強が続きます。 ■ 前回ご紹介のコウモリさんは,こうなりました。 ![]() ![]() あとでこの上から塗装するので,インレイのようにくっきりしたシロモノにはならないでしょうが,「薄暮の蝙蝠」さん程度にうっすらと見えてるってのも粋ってもんでげしょ? もちろんタダ飾りとして付けたのじゃなく,割れを継ぐチギリの役も果たしてもらっています。 右の大きなコウモリさんは,さらに例のクギ先がとびでてたところのキズ隠しでもある。 さすがにここまでしますと,棹を挿しても,ビクともしません(今のところ)。 また,接着の時に部材を圧縮したせいでしょうか,前より多少きっちりとはまってくれているように感じます。 ![]() ■ 割レ箇所に裏から和紙をかぶせます。 継いだ部分を中心にお湯で少し湿らせ,ニカワを塗って,紙の目が交差するように2度貼り。 湿っているうちに,製本用の目の細かい「うづくり」でとんとんと叩いて,紙と下地を馴染ませます。 STEP4 側板の再接合 ![]() 今回の月琴の接合部は,部材同士のすり合わせの加工が良く,スキマもほとんど見えないくらいです。 そのままでも良さそうなものではありますが,例によって経年の風化でニカワがとんでしまっております。 楽器全体を鳴らすためにはやっぱり,わずかなスキマとはいえ埋めておかないと。 ■ やや薄めに溶いたニカワを接合部にたらしこみます。 スキマをあけたりとじたり動かして(壊さないていどに!),ニカワを接合面全体に行き渡らせ,裏に和紙を貼りつけて,いつもの補強です。 あとは上の「STEP3(続)」と同じ。 どちらも乾いたら軽くペーパーをかけて余計な紙を取り払い,上から柿渋を染ませておきます。 最後に防湿のため,薄くカシューを刷いて保護しましょう。 |