2号月琴追記
2005.5月 2号月琴 追記 (2005.05.10 - ) 2号月琴 お飾り製作記! 1号月琴再修理中のある日のこと。 修理が終わったと喜んでた2号ちゃん。蓮頭がポロリととれてしまいました。 そっちのほうはスグにひっつけたんですが,興がノったので,ついでにお飾りを工作することに。 大修理後の監視期間なので,あと半年くらいはとりつけてあげられませんが,まあ作っておいても損はないし。何より,じつわワタクシ,こういう細っちい細工物が大好きなのです。 これがオリジナルのお飾り。 左右一対の目摂は,菊。 扇飾りは…何なのでしょうねえ。卍に帯(wandai=萬代)か何か,吉祥文の一つだとは思うのですが。フォルムが1号月琴の扇飾りの蝙蝠とよく似てますから,もしかするとこのコウモリくんの成れの果てなのかもしれません。 このてっくりかえった仏壇の飾り菓子みたいな菊は,月琴のお飾りとしてはよく見る形。ほとんどまんま同じ型で,花びらだけ変えて「牡丹」にしちゃってるのも見ます。 オリジナルの部品であり,どこもイタんではおりません。けれど――あまりに図案化,というか典型化されてしまっていて面白くない。 そのうえ細工がてんでに悪い! というわけで,イチから再製作ですど~ん。 | ||
STEP 1 まず目摂の絵柄を何にするか。 小型の月琴では「鳳凰」が多いようですね。菊のほかには牡丹とか竹とか,魚なんてのも見ますが,「月」の琴,1号が「菊」,せめて秋草でそろえたいところ,ここは我が家の裏家紋でゆきましょう。 「桔梗」であります。 まずデザイン。さいしょ自分で二三描いてみたんですが,どうもしっくりこない。そこで,尾形光琳の秋草小袖の文様をそのまま使うことに。 パソコンにとりこんだ画像から,ちょうど良さげなところを切り取り,拡大,適度に白黒にして下絵にしちゃいます。(江戸時代にはなかった,ダイタンなパクりかたですね(笑)) さすがは光琳サマ…。 絢爛たる小袖の,袂の隅っこの部分にあった,ほんの小さな一株だというのに,その配分,バランス,一分のスキもありません。 (** ちなみに,下にすでに一枚切り出してありますが,こいつはその後,彫りを失敗して廃棄処分となりました。) 扇飾りは古式にのっとり「蝙蝠」。ただ,1号と同じゃ面白くないので「蝠在眼錢(コウモリの前に穴あき錢)」の図に仕立てました。中国語で読むと「福在眼前」なわけで。やれ,おめでたや。 「月琴基礎知識」のコーナーにも書きましたが,もともと円い月琴に蝙蝠がとまってるだけで,その意味になってるわけですから,蛇足といや蛇足なんですが。 STEP 2 下絵を板に写して,デザインナイフで切ったり,リューターでほじくったり。 ノミやら切り出ししかなかった頃と違って,作業の早いこと。 荒仕上げまでほんの2時間てとこです。 今回の材料はアガチスかヒノキか…ハンズで買った端材なのでわかりましぇんが,さくさくと切れるわりには,けっこう細かいところまで彫りこめました。 STEP 3 ほか 扇飾りの方を先行して作ってしまったので,ちょっと進行が違いますが,以下工程。 ● 彫ったくったお飾りは,まず柿渋の溶液の中に一昼夜漬け込みます。 ● つぎにこれを日陰で干し。乾燥して木地がしまったら,毛羽立ったところを,リューターで,あちこちなめらかに仕上げ。彫りの手直し。 ● それからベンガラをお酒で溶いて,柿渋で薄めたものを,表面べっとりと塗装。(液はあらかじめ混ぜておいて,1時間ぐらい置いたほうが良いようです) ● 乾いたら布でこすって,余計なベンガラは落とします。 右写真はそこまで…ふう,約二晩の強行軍でした。 オリジナルはこれに油を拭いて仕上げていますね。 わたしは上から漆を塗って,檀木風にしあげようと思います。
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