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楓溪さんの月琴(3)

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斗酒庵 楓溪さんの月琴を直す 之巻(3)2006 11月~ 明清楽の月琴(楓溪さんの月琴)



  ――つらつら読み返すに。
  1ヶ月も放置してたんだなァ,と。

  その間,してあげたことといえばヒビ補修の籐巻を塗装したくらいかな?

  新しく修理の月琴も来たんで,作業スペース確保のためにも,またさっさと終わらせて,これ以上布団のまわりをぐるッと目玉の親父に囲まれてる夢を見ないで済むように(現在7つの大目玉にかこまれて暮らしております),楓渓さんの月琴,修理再開いたします。


表板清掃(1)
■ まずは表面板の清掃。
  ヨゴレの層は薄いんですが,これがなかなかにシツこい。
  ちょっと油っぽい気もします。たぶんお香じゃないかなあ。

  今日は3度ほどあちこちかけましたが,今ひとつ,まだ少し,という感じで。

表板清掃(2)
  このままヤシャ染めにいっちゃってもいいんですが,一晩様子を見て,明日また1~2度。

  材が上等の,目のつんだ柾目の桐板なんですが,そのぶんヨゴレが細かく木目に染みちゃってるのかもしれませんね。



半月磨き
■ ついではこの楽器のカタいところ,棹と胴体側部,半月を磨きます。

  半月は表面にちょっと固まったヨゴレがあったので,ちょっと油を刷いて,しばらくしてから耐水ペーパーで軽くなぞり,最後に研磨剤をなすったウェスで磨き上げました。

  一見,黒檀とか紫檀のよーですが,ダマされてわイケません。塗りです。
  材自体はかなり硬い木ですが,たぶんカリンではなかろうかと。

  ホコリがとろけて塗装と同化しちゃってるとこと,オリジナルの下地の処理が悪くてヘンなヤスリ目の目立つとこだけ,#1000のペーパーに研磨剤と油なすってちょいと均し,ほかはウェスに研磨剤と亜麻仁油少しでごしごしごし…しごく単純な作業ですが,何度やってもけっこうな重労働です~。

胴体アップ
  胴側部には濃い色の,ちょっと正体不明な塗料がなすりつけられています。
  ウルシの類ではなく,オイルニスの一種だとは思いますが,けっこう塗りがムラムラ。

  塗るときに,わたしがふだんやってるのと同じように桐板の木口をマスキングしたらしいんですが,それが少しだけ胴材のほうにハミでちゃってたらしく,塗りと桐板の間にほそ~く線になって,元の色のままの胴材が見えてます。
  あんまりくっきりしてるんで,一瞬面板と胴材の間に,何かほかの薄い板をはさんであるのか?とか思ってしまいました。

  うむ,意外に仕上げの仕事が荒いぞオリジナル!

磨き終了
  棹は軽く透ウルシ。
  指板も同じ,この指板はたぶん半月と同じ材ですね。
  半月が濃く色を塗っているのに,ここは素材の色のままというのも,ちょっと変った意匠かも。ここだけは高価な檀材を使ったり,黒檀か紫檀に似せて濃い色に染めてある例が多いですね。

  棹は塗装の状態も良いので,とにかく磨くだけ。
  えっさえっさかえっさほいさっさ!



山口の歪み(1)
  この月琴,棹~糸倉にかけての造りが,全体わずかーに歪んでいて。それに合わせたせいで山口も(正面から見て)わずかに右に歪んで取り付けられていました。

  写真は山口をはずしたところ。青線が正確な楽器の垂直線。

  高音側に傾斜てのはギターのブリッジとかだとナットクできるんですが,月琴の場合意味がない――4本しかなくて,2本づつ複弦ですから,同音のチューニングにくっきり差があると困るんです。わずか~にズレてる,ぐらいだと音の深みになるんですがね。

  たんに山口を正しく垂直に付け直すだけでもいいんですが,多少見苦しいので,

■ 指板と山口のスキマに黒檀の薄板をはさめて調整しました。

山口の歪み(2)



棹元補修(1)
■ 棹の取り付け部を補修します。

  使ってるうちに,じゃなく当初かららしいんですが,棹ホゾがユルユルで,さかさにすると胴からすっぽ抜けてしまうくらいです。

  延長材の先っぽと根元のところに和紙をニカワ貼り。   乾いたら,紙ヤスリで慎重に削って,調整します。   わずか薄紙1枚ですが,これではキツすぎ。削りすぎるとやりなおしなので,そっとそっと。   目指せスルピタ!

  ちょうどよい具合,ちょっとユルいかな~という所でやめて,上にさッとニスを刷いておきましょう。
  もちろん,本来はそんなに抜いたり挿したりするモノではないので,極限まで究めてそのままでもいいです。
棹元補修(2)



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