「代用月琴」あらため「ウサ琴」(1)
![]() 新楽器命名:「兎琴」(ときん/うさぎのこと/うさぎごと),略称「ウサ琴」(ウサキン)。 月琴ヲモトトスルモ,ナヲ月琴ニアラズ。音色未ダ明カナラザルモ,体月ノ琴ヨリ小シ。 小キモノ,兎ハ月ニアラザルモ,月ノ縁者ナルヲ以テ名ヅク。 ――とか。 作業はナマケモノ憑きの庵主としては,ちょっと異常なペースで進んでますよぉ。 STEP4 表面板の工作 ![]() 表面板を作ります。 材料は阮咸と同じく¥100屋の「焼桐板」の表面を剥いだもの。 阮咸と同じく3枚継ぎにしたんですが,これだと¥100板とはいえ経済性が悪いですね。 大きな板から円形の部品を切り出すと,板をけっこう食う上に,端材がほかに使えないようなカタチになってしまいます。かえって5枚継ぎくらいにしたほうが,手間は増えますが,よりムダなく板を使えるようです。 ![]() 横継ぎの終わった表面板は余計な部分をざっと切り落とし,胴体に貼り付ける前に,半月を取付けておきます。 べつに後でもいいのでしょうが,箱になってからより,板の状態の今のうちのほうが,がっちり取り付けることができます。 面板でいちばん力のかかるところなんで,しっかりと付いててほしいですもんね。 半月の付いた板を,胴体に接着。 ハミ出た部分を切って削ってできあがりです。 STEP5 PU関連の補強
![]() 回路を取付け,まずは弦ナシで面板を叩いてみました。 とんとん…アンプから音が出ます。響き線がチャラチャラ鳴る音も拾ってくれてます。 次は弦の音をちゃんと拾ってくれるかどうかですね。 弦を張るため,棹に山口を取付け,半月には糸孔をあけます。 穴の位置は,糸を張って位置を確かめながら決めたんですが,外絃間 32mm,内絃間 24mm 。 1号月琴とほぼ同じ間隔となりました。 半月は材料が柔らかめのカツラなので一工夫。 糸孔の周りをドリルの先で少しエグって,ピックの材料にしている牛のヒヅメの薄板を埋め込んでみました。 ホンモノ月琴ではよく,象牙や骨の円板が用いられているので,庵主も最初は象牙で作ってみたんですが,これがまた,夜店のカタヌキみたいに,完成直前になると欠けるわ割れるはとびちるわ…6枚ばかり失敗した後,手慣れた素材にチェンジ! 実物にも水牛角を使った例がありますから,まあまんざらヘンなものでもないでしょう。 ![]() ** せっかくキレイに塗ってあるので,表面を保護しようと半紙など貼ってみたんですが,けっきょく2ヶ所ばかり削っちゃいました…あとで塗りなおしですね~。 回路を付けたままで,外絃二本を張り,試奏してみました。 単弦だし裏板もついていないんで,アコースティック楽器としての音色は分かりませんが,PUをアンプにつなぐとアラ,ビックリ! スゴいな~,ほんとにちゃんと月琴ぽい音出てるよ~。 響き線の効果による余韻も,あんがい採ってくれてますね。 ただピエゾと同じく,アンプに近づけるととたんゲキレツにハウリング。 これが欠点かな? STEP6 裏板の工作
STEP7 仮組み・フレットたて さて,胴体も箱になったことだし,塗装はまだですが棹を挿せば構造体としては完成しておるわけです。 めでたやめでたや。 ![]() 塗装の前に糸を張って,フレット位置の確認と加工をしておきます。 今回のフレットは,コウモリさんと同じ竹製です。カタチを作る加工はラクですが,仕上げに手間かかってタイヘンなシロモノです。 まずは前に実験したときと同じく,外弦2本だけで,フレットの位置と高さを決めてゆきます。 明清楽月琴のフレットは本来8本ですが,今回はより色んな楽器と合わせやすいように,F2とB3の2本を足して,10本たてることにしました。 これで音域は全音で完全2オクターブとなります。 下にゆくにしたがって長くなる,この裙広がりのデザインは「ナゾの中国月琴」を参考にしたもの。 わたしはまだお目にかかったことはないのですが,日本の明清楽月琴にも同様のデザインのものがあるそうです。 ![]() 胴体は小さいですが,スケールはほぼコウモリ月琴と同じ約41cm。 棹のモデルが1号なので,第4フレットは棹の上,胴体から約7mm ばかり上となりました。 内弦の糸溝を切ってさらに実験。 実験用の軸が1本折れちゃってるので,低音単弦,高音複弦で弾いてみます。 操作感は悪くないですね。 ただC2のところがやや押えにくいのと,フレットを増やした影響で最高音のあたりの間隔がせまく,ちょっと音が出しにくいようです。 |