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ウサ琴(2)

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斗酒庵 代用月琴を作るウサ琴(2)


STEP8 塗装
塗装中(1)
  さて,製作も塗装段階に入るとしばらくは書くことがありません。

  毎日がとこ,朝起きて一塗り,仕事に行って帰ってきて,翌朝また一塗りのくりかえし。

  上塗りのカシューは乾くのが遅く,塗ったあと部屋にいるとホコリがついちゃってイケないので,塗装後は休日もなるべくお外に出かけるようにします。

  同じような構造の胴体でも,古い中国月琴などでは面板の木口を側板といっしょに塗りこめちゃったりしてますが,明清楽月琴の側部はこの表裏面板の木口と側板の色合いの対比も,楽器の美的な「味」になっていると庵主は思ってます。このサンドイッチというかシベリアというか…一見お菓子のような色のコントラストがたまらない。

  (↑)木口にカシューが着かないよう,マスキングして側面を塗りこめることおよそ一週間。

  紅溜だけだと色が明るすぎるので,最後の方で,黒を混ぜた紅溜をやや薄めに2回,その上から紅溜を1回塗って仕上げました。
塗装中(2)
  棹と側面の塗装が終わったら,さらに一週間くらいじっくり乾燥させます。
  それでも中身まで完全に乾いているわけではなく,塗膜はまだ赤ちゃんのお肌みたいな状態。 マスキングテープをはがすのも慎重に,ゆっくりとイキます。

  (→)テープの向こうから現れた,白い桐板にはさまれた,透明な赤茶色の側板。

  美しいコントラストです。


  最後の仕上げに入る前に,棹と胴体のカシュー塗装面を均しておきます。

  #1500~2000の耐水ペーパーに石鹸水をつけて,表面を滑らせるように少しづつ。
  まだまだ弱い塗膜を削り過ぎないように,力をいれず,凸凹がだいたい消えて,全体が白っぽく曇ったら終了です。

ヤシャブシ染め(左1回目/右2回目)
  つぎは表裏面板のヤシャブシ染め。
  白い板を黄金色に染めます。

  阮咸さんではヤシャ液をそのまま塗ってたんですが,すでに染められてる板を相手にする修理のときと違い,白い新品の桐板だとどうも染まりが薄くて,気に入った色合いになるまで何度も塗装を重ねました。

  でもそれだと板への負担が大きい。

  どうにもおかしいので,以前お世話になった知り合いのタンス屋さんに尋ねたところ。

  「ヤシャ液,温めてる?」

  とのこと――ええっ!そんなの知らんかった!

  さっそく実験実験!

  教わったとおり,耐熱ガラスのナベにヤシャ液と砥粉を混ぜて,一度沸騰。
  お茶くらいの温度にまで冷まして塗る――おう,フシギなほどに,染みこむ染みこむ!

  発色もよく,常温では何度も重ねなきゃ出なかった黄金色に,わずか2度の塗りで到達!
  ちょっとしたことなんですが,知らないとこんなもんなんですね~。

  塗りの回数が減って板への負担が減ったぶん,スムーズに次の作業へと移れます。
  最後にヤシャ液をつけた布に研磨剤を粉にしたのをつけて磨き,ツルピカに仕上げましょう。

ヤシャブシ染め(2) ヤシャブシ染め(3)



STEP9 仕上げ


  ヤシャ染めして一~二晩おいたら,いよいよ最後の工程に入ります。

  まずは棹と半月と側面を最終磨き。

  今回も研磨剤に亜麻仁油を少々。布につけてとにかく擦る擦る擦る擦る擦る擦る!!!
  ハァハァハァ…いつものことながら,けっこうタイヘンです。
  けっきょく3時間くらいかかりましたぁ。ウデがあがりませぇん。

仕上げ磨き(1) 仕上げ磨き(2)

  つぎにPUの回路を仕込みます。

  仮組みの間に何度も試してるんで,取付の手順はもー手馴れたもんです。
  圧電素子は最初に考えた位置(半月中央真下)より,すこし奥側にとりつけました。
  中央には空気穴があるの忘れてたんですよ~。

PU取付(1) PU取付(2)

  仮組みの時は実験用の軸でしたが,新しく作ったチークの軸を差し込んで,糸を張ります。

仕上げ(1) 仕上げ(1)
ウサギ飾り(右)
  フレットを立て,お飾りを付けます。

  裏ブタも付けちゃいましょう。

  (→)右のウサギさんの鼻先に,銀のつまみが付きました。


  両面テープで仮止めしてきた蓮頭も貼り付けます。

  今回の意匠は「蝴蝶」。

  阮咸さんと同じく,1cm厚の桐板にアガチスの薄板を木目が交差するように貼り合わせたもの。ま,手抜キですが,これだと2時間ぐらいで彫れちゃう。
  これだけ塗り込めたら材料がナニヤラ,もう分かりませんて,へっへっへっ…。

蓮頭(1) 蓮頭(2) 蓮頭(3)



  そんなこんなで2007年3月4日。
  明清楽月琴代用楽器「兎琴」,通称「ウサキン」試作1号,完成いたしました!


ウサ琴全景

  胴体が薄く小さいわりには大きな音。
  響き線はよく効いてるんですが,余韻が少し足りないかなあ。
  ややカン高く,ちょっと跳ねるような元気な音です。
  いづれも共鳴胴の大きさの関係でしょうが,まあ,何とか「月琴の音」の範囲内かと。


蓮頭から 地方向から

  楽器が乾いてくるとまた変化がありましょう。どんなふうに変るか,それも楽しみ。


比較
  (←)明清楽の月琴として,だいたい平均的サイズのコウモリ月琴と並べるとこんなカンジ。

  胴体の直径は5cmほど小さいんですが,棹が1号と同じ長めのもので,半月の位置を思いっきり下げたんでスケールはほぼ同じ。

  胴体内部の密度が高いせいでしょうか?
  持ち比べるとナゼカこッちのほうが重たく感じますが,操作性は悪くないです。



   ウサ琴試作1号音源集(MP3)



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