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赤いヒヨコ月琴(5)
閑話休題。
ふだんは継ぎ目の分からない月琴の面板ですが,クリ-ニングやヤシャ染めで濡らすと,継ぎ目が少し浮き上がって数えやすくなります。
太清堂月琴の表板は,なんと目視できる限りで12枚継ぎであります!
裏板では数多く継いでるのもないではない(もっとも,「松音齋」で裏板を9枚継ぎにしてたので驚いたぐらいですが)のですが,表板は比較的品質のいいものを,通常で4~5枚,多くても5~6枚継ぎといったところがまあふつうですね。
新記録です。
左から(単位は mm)
15 | 31 | 19 | 18.5 | 24 | 33 | 27 | 34.5 | 19 | 53 | 54 | 22 |
左(低音側)が細かいのが多く,右(高音側)に幅広なのが多い。
はじめは何か音色的な効果を狙ったものかとも考えたのですが,どうにも違うようです。
(面板の製作工程は前々回の記事を参照)
木目を合わせるほうが主で,工作自体にそのほかの作意が感じられません。
お飾りはまだですが,演奏は可能な状態になっています。
とりあえずは,こんな音,ってとこをどうそ。
「"バカ鳴り" 言うてたワリに音が小さいやんけ!」という方もおられましょうが。
この楽器をマジ音で弾いたら騒音おばさんなみに,ご近所からナニ言われるか知れたもンじゃないので音量かなりおさえ気味に弾いております。ご了承のホドを。
赤いヒヨコ(太清堂)月琴音源集(MP3)
最近,spwave というフリーソフトを使って,月琴の音を波形で見てみたりしてます。
そっち方面の知識がナイんで,見たところで「あ~カタチが違うなあ」くらいのもんなんですが。
これでちと,バカ鳴りの太清堂と,明清楽の月琴として平均的なサイズとスペックのコウモリ月琴さんの音の波形をちとくらべてみましょか。読み方はわかりませんが面白い,いやあこんなに違うもんなんですねえ(カタチが…)。
上が低音と高音の弾き比べ,右が太清堂,左がコウモリさん。
下がおのおのの高音部分(約1秒)の波形を引き伸ばしたものです。
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月琴の弾き方(1)
「月琴の弾き方」つーても,明清楽の月琴のハナシですんで。
現在主流の中国月琴の方々には役立ちません…あしからず。
本拠HPのほうにも書いてあるんですが,こちらにも書いときましょう。
なんせブログの方が写真いっぱい載せれるんで,解説がラク。
STEP1 月琴の持ち方
まず持ち方ですが,明清楽の月琴は中国月琴よりも立てて弾きます。
棹は持たず握らず――親指の腹のあたりを背面に当てている程度。
あとは胴体が胸にちょっと当たってるのと,膝の上にのっかってるだけ。支点三箇所ってとこで,とくに身体に密着させるようなことはしてません。
軽い楽器ですので,慣れれば親指一本でバランスをとり,かなり自由に動かせるようになりますよ。
つぎに弦をおさえてみましょう。
通常,指は「フレットの上」ではなく,フレットとフレットのちょうど真ん中あたりをおさえます。
ただ,高音域で早弾するときや,トレモロを主体とした演奏のさいには,こころもちフレットに近いあたりをおさえた方が弾きやすいですね。
複弦楽器ですんで,2本いっしょにおさえます。
柔らかな絹弦ですし,フレット高もあるんでおさえるのに力はいりませんが,ほぼ糸の真上から,そのまま指をおろしたような感じで。指の腹のところに2本の糸の間が気持ち喰い込んだかなあ,てトコロがベスト。
力を入れすぎると糸が沈んで音程が上がってしまいますし,斜めから指を下ろしたりすると糸がズレて,やっぱり正確な音が出せません。
※ もっとも,逆にそれを利用するコトもできるワケですね――ハンマリング,プリングオフ,チョーキングなど,ギターのテクはだいたい応用できます。
STEP2 ピッキング
――といってもドロボウの仕方でわない。
で,これが良く聞かれるピックの持ち方。
基本は影絵の「キツネ」さんです。
まずは指でキツネさんを作って,その「お口」(中指と親指)に,ピックの先端の方をくわえさせます。
次に「お耳」(人差し指)の付け根のあたりにピックのお尻をつけます。
そのまま,親指だけをピックの真ん中あたりまでちょっとズラして,ぐっと押さえる――とまあ,コトバよりも写真で見てもらったほうが早いかな?
ピックを持つ手は,ギターのように手の平を胴体に向けるのではなく,楽器の下部,半月のあたりに置いて棹のほうを向け,下から弦をすくいあげるような形にします。
もっとも,ピンカラ弾きの場合は,ギターのようなスタイルでふつうにはじいて弾いても構いません。
トレモロ演奏のときがちょっと難しい。
わたしは写真のように小指,もしくは手を半月の上に置いて固定してしまいます。
マンドリンとかのトレモロ演奏と違って,ピッキングには手首は使わず,先ほどの三本の指(親指・人差し指・中指)だけを動かして,糸のごく表面をタッチアンドゴー。擦るように弾きます。
2コースしかないですし,ピックも長いので,手首の動きがなくてもじゅうぶんに糸を捉えられるんですね。
今残っている月琴演奏の音源などを聞くと,わたしが言うところの「ピンカラ弾き」,つまりは三味線のお稽古のように,単音でチントンシャンと弾くのが主流のようで,トレモロによる装飾も少なく,あっても曲の最後で「おまけ」のように付けられるていど。それもタララララ…でなくツタタタタと「音を揺らす」というより,ただ数多く連続して弦をはじく,というような演奏がされてます。
わたしは基本的には「その楽器が出来るコト」なら,伝統技法に関係なく何でもするつもりでいまして,演奏スタイルはトレモロ主体,三線のように低音絃をからませて弾きますし,二弦でできるていどのかんたんなコードも押えます。伝統的な奏法には無いことかもしれませんが,まあ独学ですんで――めざせ!月琴でジミヘン!!!
最近の演奏(MP3 PLAYIN' BY カメ琴)
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