カメ琴(2)
![]() ![]() 外枠の色がイマイチ決まらなかったのと,完成直前になってそれまでつけていた軸が1本,ポッキリ折れてしまったために,思ったより時間がかかりました。 外枠ははじめ,カシューで黒く塗ったり茶色に塗ったり,はたまたマダラにしてみたり,――と,イロイロやってみたんですが,どうもしっくりこない。 どれもやたらと派手になってしまって…目立ち過ぎるんですね。 フォルムが単純なだけに,色の組み合わせが難しい。漫画や絵でもそうなんですが,モトが版画派なもので,ワタシどうもカラーセンスがない。ニガテなんですよ~色はね~。 試行錯誤…というか,完全なる失敗を繰り返した結果。 ![]() ■ ヤシャブシで染めてラックニス仕上げ。 ――このシンプルで(いつもやってる)ナチュラルな塗装が,意外といちばんハマりました。 どうも「側板は(カシューとかで)こってり塗るもの」みたいな観念に捉われてたみたいですね,反省。 表板よりすこし濃い目にしたヤシャ液に砥粉を溶いて,鍋で温めたのを二度塗り。 スプルースは桐よりも染まりがいいかも? けっこう色濃く染みました。 乾いてから軽く表面をペーパーで均して,ラックニスを重ね塗り。 おお,みごとな黄金色。 本体がチークで同色だから一体感が出て,変に違う色に塗るよりずっと良いですね~。 ![]() ■ 軸を作成。 はじめ付けていた軸(←)は,以前阮咸さんの時,テスト用に削ったセットで,そのテスト中に1本,先が折れてしまったのを切り縮めて再利用しようと思ったんですが,その一度折れた軸がまたまた折れてしまいました。もとから材質が悪かったせいか,木目のせいか…。 ![]() しょうがないのでチークで新しく作り直しました。 ――やっぱりペグは弦楽器のイノチ。 手抜きはイケないってことですかね? 今度は月琴フルサイズ。ややスリムな感じに削りました。 全体がシンプルなので溝は彫りません。軸尻もヤスリ目を残して,少しワイルドな感じに。 亜麻仁油で磨き,握りの部分にだけラックニスを刷いて仕上げ。 ![]() ■ 蓮頭を作ります。 明清楽の月琴をモトにしてる,とはいってもしょせんは「サイレント月琴」。まったくの新楽器みたいなもんですから,ちょいと遊びましょう。 ボディーのフォルムのもとになったインドネシアの楽器,「カチャピー」では,棹のトップと楽器のお尻のところに人形の彫刻が付いてました。その系を引いて,いっちょう「顔」をつけることにしましょう。 なんかアルカイックというかインカの彫刻みたいですが,いちおう中国の伝統的な意匠。 音楽への想いをこめて――貪婪に!反抗的に!(いや根がパンクなんで)――上古の伝説に出てくる,ある怪物ですね。 例によってラクしたいので,素材は桐板+アガチス。 外枠同様,ヤシャブシで染めてラックニスを塗りました。 蓮頭をニカワでへっつけ,これにて完成です!! ![]() 「カメ琴」データ
さて,カンジンの音ですが。 「サイレント月琴」なんで,ナマではまったく鳴りません(笑)。 もともとアンプにつなげて鳴らすのを前提として作ったわけですが,圧電素子をWにしたワリには,さして出力があがりませんでしたね~。 PUで拾った音はかなりカン高くて,ややペコペコした音に,わずかにキィーンと金属音が混じる感じ。余韻もあまり拾ってないし――うむ,思ったほど面白くない。 エフェクターかなにか噛ませて,ギャンギャンな音にすれば別でしょうが。 ![]() しかしながら,楽器に耳をつけて弾いたとき聴こえてくる生音は,けっこうイイ響きをしています(これをそのまんまPUが拾ってくれてればいいのに…)。 そこで,月琴の演奏を録音するのにいつも使ってる,コンピューターのオマケのミニマイクで音を拾ってみますと,これがけっこう素敵。 PUを通した音よりずっと「月琴らしく」聞こえますねー(汗)。 音自体はごく小さいんですが,ボディと弦にかなり近いところで拾えるためか,クリアだし,響き線の余韻までちゃんと拾ってくれてます。 まあ,PUつけたのは夜間の練習のためだから…いちおう音が出るだけヨシとしましょう。 「音階1」はPUの音。「2」のほうはマイクで拾った生音。 演奏の方もPUでなくマイクで拾ったものです。 操作性はまずまず。 ウサ琴も,ボディに対して棹が長めでしたが,カメさんはさらに長い! モノホン月琴だと棹と胴体の継ぎ目のあたりにくる第4フレットは,ボディから1.5cmくらい上になってしまいました――もう少し桿,短くてもよかったかな? 演奏上は問題なし。この第4のところ,よくチョーキングを使うから,このほうがいいかも。 半月にゲタ履かせて絃高を低くしたおかげで,音も出しやすくなりました。 音にはやや不満が残りますが,練習用楽器としてはまあ合格,かな? カメ琴音源集(MP3) |