カメ琴(1)
カメ琴(1)
「ウサ琴」でちょいと地震が憑いたので,さらに悪ノリしようと思います。 前回の「ウサ琴」は,ミウさんがモニターというかモルモットに名乗りをあげてくれたのをいいことに,このワタシに月琴みたいな楽器が作れるんか?――というウデ試しと実験として作ったもんですが。 今度はちょいと,自分の楽器がほすくなりました。 どんな楽器がほすいかというと,アンプにつないで夜中でも演奏できる――「サイレント月琴」がほすい。いや,月琴はもともとそんなに大きな音の出ない楽器なんで,夜中弾いててもあんまり文句言われたことないスけどね。 「ウサ琴」はアコースティック前提で,PUはオマケみたいなもんでしたが,次の一台はハナからPU前提。エレキギターと同じで,カタチとかあんまり考えなくてイイ。 ふふふ…ぶんぞんにアバれさせてもらうとしましょう。 ● まず名前は「ウサギ」のつぎなんで「カメ」だ! ● 操作上のコンセプトは「ウサ琴」と同じ,フレットはウサ琴と同じく10本。 ● 本体部分は以前持っていたインドネシアのスティック系楽器,「カチャピー」(左)を参考にしましょう。 ● 材料は例により,あるもの次第。廃物利用。 さて,まいりましょか。 今回の楽器は棹から胴体まで一体型。 材料には,こないだ大量に仕込んできたチークの角材(28mm 角)を使います。 ■ まずはこれに糸倉部分を接着。 糸倉にはチークと同じときにウッディプラザさんで買った,ブラックウォルナットの板を使ってみました。 アールをふつうの月琴より浅めにして,コンパクトな造りにしています。 胴にあたる部分は左右を5mm ほど残して,真ん中を細長ーくくりぬきます。 今回の共鳴箱はなんとこれだけ!――まあ,サイレント楽器ですから。 ■ 糸倉の次は指板を接着。 今回は棹が一体なのと,素材もチークで強度的には問題ないんで,指板はどちらかといえばお飾りですが,あるとキレイ。厚さ 0.8mm 程度の黒檀の薄い板を接着します。 そのまんまだとただのスティック楽器だもんで,これに下のような表板をちょこっとのっけて,さらにウサ琴を作るとき,接合部の加工でシクじったエコウッドを使い,こんなふうに枠をめぐらせます。 ま,これでなんとか外見上は「月琴みたいな」楽器になるかと。 ■ 裏板を付けます。 裏板は桐。胴体をちょこっと削ってハメこみ,ニカワで接着。 細いから固定は輪ゴムでいいし,丸くないから作業がラクだわ~。 ■ 軸穴を開けます。 リーマーやヤスリで広げた後,焼き棒をつっこみ,内面を焦がします。 油っぽい木なんで,ちょっと焦げすぎかなあ? ■ 響き線はこんなの。 なにせ胴体が3cm 角ないわけですから,そんなせまい空間で機能しそうな構造,ということで「赤いヒヨコ月琴」のドッキリ構造を早速使ってみました――実験にもなりますしね。 はじめは半月側にこれを,棹側に直線,とか,V字型二本線,とかいろいろやってみたんですが,どうも思ったほど効果がないんで,けっきょくヒヨコ型響き線をWで付けることに。 棹に耳をあてて,胴体を叩いて響きを聞いてみると,これがいちばんキョーアクな音を醸し出してましたね。 ハテサテ,実際の演奏ではどんな効果があるのやら。 ■ 響き線がWなら,PUもWです。 棹側に一つ,半月の下あたりにもう一つ,圧電素子を埋めこむクボミを彫りこみます。 棹側のは胴体の方を向けて胴材の響きを,半月がわのは表板のほうを向けて面板の振動を拾ってもらう…などとエラそうなことを考えたんですが,電工は不得手なのでちゃんとそうなるかどうかは不明。 ■ 面板をかぶせるとこんな感じ。 ちなみにこの面板は二代目。はじめのほうが真ん中にデカい節目があってカッコ良かったんですが,当初胴材に直接接着する予定だった半月を,ふつうの月琴と同じく面板上に接着することにしたので,やむなく変更。 ■ まずは面板を胴体に接着。 面板はあらかじめヤシャブシ染めをしてあります。棹部分との接点付近には黒檀の薄板を埋め込んでみました。 圧電素子が入ってるので,あんまりギュウギュウやると割れちゃいそう。 いつもよりやさしげにへっつけました。 ■ つぎにボリュームとジャックを組み込んだボックスを,面板の下に接着。 この箱が上手くできなくって…一週間もやってましたね。 ジャック部分の板の加工をなぜか失敗しちゃうんです。 一枚目はサイズが合わず,二枚目はつけてみたら上下が逆,三枚目は同じく裏表が逆,四枚目は削りすぎ,五枚目はエグりすぎ,6枚目は穴あけ中に割れ,7枚目は気に入らない。 つごう8枚目にしてようやく。いやあ何でだろう? 山口は前に4号のために作ったのを流用。サイズがちょうどでした。 糸を張って弾いてみると,上手い具合に響きません!(サイレント楽器ですからね,音が鳴っちゃこまります!)やた!つぎにアンプにつないでみます。W・PUの割には出力が低いですねー。音もちょっとカン高いですが,まあ,なんとか月琴の音の範囲内かと。 PUを使わず,クリップマイクを面板に噛ませて音を拾うと,ほかの月琴に負けないくらいいいカンジで響きます(PU内蔵した意味ないじゃん)。 例のヘンテコ構造も,響き線としての効果はじゅうぶんに出しているようですね。 ちょっとミュウミュウミンミンといった,フシギな響きではありますが。 ここでちょっとリビジョン。フレットを仮付けして弾いてみたところ,ちょっと絃高が高くて,高音域が押えにくかったで,絃高を下げたいと思います。 とはいえ,阮咸さんのときみたいに,半月をはずして削り込むというのも大ゴトですんで,ほかの方策を考えました。 ■ 半月の下に象牙の板を貼り付けます。 これで半月の端の厚さを増して,糸の出位置を下げるのですね。 ギターだとブリッジのサドルを削るところですが,月琴だと足すわけだ。 あれ,阮咸さんもこの手でよかったかも....orz。 枠の塗装と蓮頭がまだですが,いちおう完成。 演奏可能な状態にはなっております。 |
« 明治の歌…まとめ | トップページ | カメ琴(2) »