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月琴の内部構造について

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月琴の内部構造について月琴の内部構造について


  さて,ウサ琴の製作は,この月琴という楽器の構造について知るための実験でもあります。
  今回は,阮咸さんと前回のウサ琴でやった,2本桁渦巻き線の構造をのぞいて,4種類の内部構造を再現し,それぞれの特性や効果について調べてみたいところ。

  材質の関係で桁の方を真ん中1本にする,というわけにはいきませんが,いまのところ再現する予定なのは,もっとも単純な響き線が直線1本(1号・信樂寺)のタイプと,左肩から半周する曲がった響き線を持ったもの(松音齋・彼氏月琴),上下に直線2本(鶴壽堂)と赤いヒヨコ(太清堂)のフシギ構造

  勢作に際して考えていると,とうぜんのごとく。
  上下の桁の間隔とかどうすればいいだろか?――などイロイロとギモンが湧き出てきます。

  まあ外見のサイズはともかく,この内部構造に関する限り「定番」とか「規格」といった概念がほとんど見当たらない楽器なのではありますが。
  とりあえずは中国月琴と楓渓さんをのぞく,工房でオープン修理を行った月琴,ほぼすべての内部構造をならべて,比較をしてみることといたしましょう。


内部構造一覧

   *** 特記なき写真は裏面板がわから ***
   *** 単位はすべて mm *** 
   *** 「桁 ○ ○ ○」 は,桁の本数 響き線の位置 材質 本数 *** 
   *** 「上/下」 等は,桁間にある空間の最大間隔 *** 
1号 2号 ■1号月琴
桁2 中央 鋼 直1本
胴径 355
上 93/中 111/下 111

■2号月琴
桁2 中央左右 鋼 渦2本
胴径 350
上 84/中 140/下 72
3号 4号 ■3号月琴
桁1 下部 鋼 直2本
(斜下中央で交差)
胴径 347
上 152/下 152

■4号月琴
桁2 中央 鋼 曲1本
胴径 350
上 123/中 123/下 49
鶴壽堂 信樂寺 ■鶴壽堂
桁2 中央・下部 真鍮 直2本
(左右逆)
胴径 357
上 74/中 108/下 130

■信樂寺
桁2 中央 鉄 直1本
(先を曲げる)
胴径 347
上 73/中 130/下 90
松音齋 コウモリ月琴 ■松音齋
桁2 左上~右中央 鋼 曲1本
胴径 350
上 130/中 130/下 61
 ※ただし上桁 右傾約10度

■コウモリ
桁2 中央 鋼 曲1本
胴径 353
上 128/中 128/下 63
 ※写真は表面がわから
太清堂(赤いヒヨコ月琴) 彼氏月琴 ■太清堂
桁1 真鍮 中央直1 
最下中央より右傾して特殊構造1組

胴径 353
上 127/下 183

■彼氏月琴
桁2 左上~右下 鋼 曲1本
胴径 347
上 117/中 151/下 42
 ※写真は表面がわから



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