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月琴歌 01

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明治の歌(俗曲集2) 歌月琴歌01

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  あなたがもし古い明清楽の月琴,もしくはウサ琴みたいなデッちあげ/なんちゃって明清楽器を手にいれたとして。

  修理の仕方はこのブログのアチコチに,イロイロと参考になるようなケースが見つかるでしょう。

  糸の結び方や楽器の持ち方,ピックについても書いてある(分かりにくいかも知れませんが)。


  で,何とか音が出るようになったとして,さて――ナニを弾きましょう?

  「明清楽」という音楽分野は,いちどほぼ完全に廃れて,現在も実質的にはトキと同じ状態ですので,この楽器がむかし奏でていた音楽にこだわる必要はありません。アフリカの太鼓と戯れようが,ハマショーや森田童子をやろうが,自作の四畳半フォークを唸ろうが自由です。
  しかしながら,わたしのように巣鴨のお地蔵様の御引合わせにより,偶然にもお付き合いしているムキでなく,これをどういう楽器だか分かって手にした方々には,いくぶんにせよムネにある懐古主義的な欲求を満足させたい願いがあろうかと思います。

  古い中国の流行歌――漢文の歌詞に付いているカタカナの発音は,いづれも本物の中国語の発音からするとかなり「?」な世界ですが――「中国の曲が,幕末の人たちにとっては,洋モノのロックやポップスと同じだったんだヨ。」なんて解説一つ添えれば,だいたいの聴衆はナットクすること請合います。
  もとがハナモゲラなんですから,歌のほうは多少間違っても平気でしょう。

  え,お手本の歌がヘタだ? 声が小さくて聞き取れない?
  ば…馬鹿ぁ!録音機械が悪いんだからね!
  とまれ明清楽・MP3。弾きやすい,歌いやすいあたりをどうぞ。
  楽器はカメ琴&マスオさんでありました~。


■ 九連環
かん かん いー  すぅぬで きうれんかん
看々兮賜奴的九連環
きうや きうれん かーん
九呀九連環
すゎんしょう なあらい きゃい ぽぉきゃい
双手拿来解不解
なあぱあ たる こぉ
拿把刀兒割
こぉ ぽとぁんりょう いぇええーええ よぉお
割不断了也々呦


■ 紗窓
しゅい ちゃー ゆうてぇ あんふぇいしん
誰家玉笛暗飛声
さん じぃ ちゅんふぉん まんろうじん
散入春風満洛城
つぃ よぉ きょちょんうぇん  つぇーりう
此夜曲中聞 折柳
ほぉ れん ぽぉつぃ  くーゆぇん つぃん
何人不起故園情


■ 月花集
いーしゅわんほんしうあーい あーいやああー
一双紅綉鞋 噯呀
むいふぁあ ちょんゆぇり かーい
梅花正月裡開
こういん ちゃんしぇんしょん てゃおこお ふぇんちゃんらーい
勾引張先生 跳過 粉牆来
にーてゃお にーてゃお こおらい
你跳你跳 過来
うぉたしゃおかいかい うぉーたあ しゃおかいかい
我的小快快 我的小快快


■ 十二紅
ちょんよぇりすぅしゃん ゆぇんすゃおちえ
正月裡思想 元宵節
しゃりりち やあ
柵冷冷之吓
あーいあい よぉ
噯々
あーよぇりすぅしゃん しゃりりちりーたん×2
二月裡思想 柵冷冷之冷 又
りーりーりーたん しゃりりちや あーいあい よぉ
冷裡冷 柵冷冷之吓 噯々
しぉんふぁあ かいふぁん そんゆ つぃんらーん
杏花開放 送与情郎


  さて,つぎはどうします?

  わたしと同じにオリジナルの道へと突っ走りますか?
  音数が少なく,表現には制限のある楽器ですが,音色は美しく,扱いやすく,伴奏楽器としてはさまざまな可能性があります。これに習熟し,ウデさえ確かなら,ジャズだろうがボサノバだろうが合わせられないものはありません(ピアノからでんでん太鼓まで,すべての楽器についていえることですが…)。

  さあ,がむばりましょう!


ウサこ大破!

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帰ってきたら死んでいた の巻ウサ琴1(特別増刊号2)


大破壊(1)
  「父ちゃん,指切った~」

  と,娘がかけこんできたので,バンソコを貼ってやり,また遊びに出してやったら,次に帰ってきた時,死体になっていた。

  ――というような感じだ。


  先週,修理と強化が終わったばかりだが,ウサ琴初号機。

  大破しました。

  修理が終わって発送したのが10月8日。
  本日10月12日お昼ごろ,運送屋に返送されて無言の帰宅。

  糸倉がぱっくりまっぷたつ。

  『女王蜂』のお母さんのように,棹のところを持って人の頭でもぶン殴ったとかいうなら別だが。そもそも月琴という楽器は,材自体がギターなどよりはずいぶん厚いし,構造も簡単。さらには自重がきわめて軽いので,単純な落下や衝突では滅多に壊れることはない。

  ましてやウサこは百年たった古物の月琴でわなく,こないだわたしが作った楽器である。
  部材は新鮮,エレキ前提だったこともあって,その工作もアコースティック楽器の「繊細さ」からはほど遠い,「丈夫さが取り得」みたいなシロモノだ。

  音はソコソコでも,長生きしてくれると思っていた。
  それがまあ,見事に。


  いままでも修理の終わった月琴を運送屋に運んでもらったことが何度もあるが…このように壊されちゃったのは,ホント,はじめてです。


  いままでの修理報告を見ていただいても分かると思うが,月琴という楽器でいちばん壊れやすいところは,表裏の面板と,この「糸倉」である。彼氏月琴のように割れた糸倉を何らかの接着剤で継いであるものも,古物の月琴では良く見かける。たしかに「壊れやすい」箇所ではあるが,よっぽどのこと,かなりの衝撃がなければ,通常このように完全に破断されることはない。

  かなり手ヒドくぶつけても,まあヒビが入るくらいのものだろう。
  さて…いったいナニがあったのか?

大破壊(2)
  では実際にキズを見てゆこう。

  まず,向かって右側の部材は軸穴を中心に割れているが,左側は軸穴とほぼ関係のない位置で割れている。
  つぎに左側の破断面はなめらかだが,右側の破断面には少しささくれがある。

  糸倉をさらによく観察すると,果たして左部裏面,下から二本目と三本目の軸孔の中間あたりのところに,おぼえのないわずかなヘコみ(写真4)が見つかった。

  これらのことから考えて,今回の破損は,左部裏面方向から強い衝撃が軸ではなく糸倉本体に加わり,まず左部が破断,ついでケースの中で糸倉の上部全体が,やや右前方に,わずかに回転,ひねられるようなカタチになりながら,右部が軸穴を中心に破断したものと推測される。

  裏面中央部,向かって最下の左がわが少し欠けている(写真5)も,このさいに破断した左部材によってエグられたものとおぼしい。また糸倉基部にも,部材組みに沿って数箇所ヒビが見える(写真6)

  運送会社のほうから,事故についての調査・報告がまだ届いていないため,はっきりとその原因を特定することは出来ないが,糸倉部分のほかの棹・胴体・側板,あるいは響き線や桁などの内部構造,さらに棹基部のホゾ穴や檜製の茎部分にも異常は見られないことから,破損に至った衝撃は,楽器全体にかかったものではなく,当該の部分のみにピンポイント的に,またかなりの速度をもって与えられたものである可能性が高い。
  そうすると単純に車の事故等による落下や圧力によるものとは考えにくく,また手によって直接運ばれているような時にぶつけた,という程度のことも考えにくい。

  あくまでも推測だが,荷物が台車のようなもので運ばれた際に,楽器ケースの糸倉部分がはみだしていて,そこが標識のポールやガードレールの端のような,比較的細く丸い物体に,かなりの速度で衝突したのではなかろうか。


  以上,とりあえずは娘の検視結果でした。
  ホンモノの検視官が自分の娘の死体を検分するようなことは現実にあるのかな?


  今のキブンは?感想は?――と聞かれると,これが意外と悲しみでも憤りでもなく。

  正直なところ,呆れた。

  「…なんでまた。」
  といったようなコトバしか出てこない。ナゼカ涙でなく,薄ら笑いしか浮かばない

  なぜだろうね?
  時間がたったら,イキナリ悲しくなってくるのかもしれない。
  イキナリ怒りがこみあげてくるのかもしれない。

  けれど今は…自分に出来ること,この楽器にしてあげられることを考えるので精一杯である。

大破壊(3)
大破壊(4 ヘコミ)
大破壊(5 エグレ)
大破壊(6 ヒビ)

  いつも言っているように糸倉は弦楽器の要,ここを破壊されたらふつう楽器は再生不能である。
  たとえ修理して,元のスガタ,元のカタチに戻っても。元の音色,元の操作性は戻らない。
  それは「復元」の限界,修理は「再生」ではないのだ。

  これより庵主,フロンコンスティン博士となりまする。



ウサ琴1(特別増刊号)

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ウサ琴,帰る の巻ウサ琴1(特別増刊号)



ウサ初(1)
  現役フリーランス巫女ミュージシャン,語り部のミウさんのところへ同性ながらお嫁に行っていた,ウサ琴初号機 ,メンテのため里帰り。

  出来上がってからまだ一年たってませんが,数々のライブで使っていただいておるので,若造のクセにあちこち迫力がついております。
  また部材が乾いてきたせいか,当初はややくぐもっていた響きが,だんだん澄んだものになってきたような気がします――やっぱり楽器は使われてこそ育つんだねえ。

  このキカイに中のキカイをイジくり,パワーアップを図ります。

  なにせこの楽器,初ウサ,初エレキだったもので,あちこち工夫が足りません。
  PUも圧電素子1枚をボリュームとジャック♀につないだだけ。
  出力が足りず,小さなアンプだとほとんど聞こえないくらいです。

ウサ初回路図
  前回のカメ琴パワーアップで自信がつきまして,今回も圧電素子直列方式でまいります。

  今度は3枚だっ!

  3cm径のを2枚,糸倉の裏の左右に。
  もう1枚,小さい2cm径のをボリュームの横,高音側の楽器中央付近に貼り付けました。
  あんまり中央に近づけると,響き線にぶつかってしまいますので,それよりはちょっと下のあたりですね。

ウサ初改造後
  また前回はウクレレやギターの人のサイトを参考に,厚めのクッション付き両面テープで貼り付けたんですが,ウサ琴の場合は,ふつうの両面テープか接着剤で直接貼ってしまった方が良いようですね。

  ウクレレやギターよりも板が厚いですし,桐は材質的にも柔らかいので,クッションなしでも音が割れたりするようなことはないようです。

  今回は,クッションのない薄い両面テープで貼り付けてみました。

  前は出てなかった余韻・残響の部分まで,よりクリアーに,けっこう拾ってくれてるようです。


ウサギとカメ
  さて…改造作業終わって,試奏していると,怪奇な現象が……

  …弾いてますと,どこからともなく,ひそひそとナニヤラ声が聞こえてくるのです。

  …はじめは外部の音だと思ってましたが,ヘッドフォンをはずすと聞こえなくなる…

  …ヘッドフォンを付けて,ボリュームをあげると……ウサ琴のノイズに混じって人の声…それも小粋なアメリカン・ジョークが!

  ぎゃあああああああああああっ!!!!!!

  出力があがって音を拾ってくれるようになったのはいいんですが,あがりすぎたのか(?),どうやらラジオか何かの電波を拾っているようです。原因がウサ琴自体にあるのか,自作アンプ・マスヲさんにあるのか,はたまたこの組み合わせの時に起こるのかは不明ですが,ウサ琴のボリュームをある位置にすると聞こえるようになる不思議な現象です。

  カメ琴ではなかった現象だし,改造前にはこんなコトありませんでしたが……。
  うーむ,電工の世界はファンタジーだなあ(汗)。




   ウサ琴初号機・音源集(MP3)


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