ウサこ大破!
ウサ琴1(特別増刊号2)
「父ちゃん,指切った~」 と,娘がかけこんできたので,バンソコを貼ってやり,また遊びに出してやったら,次に帰ってきた時,死体になっていた。 ――というような感じだ。 先週,修理と強化が終わったばかりだが,ウサ琴初号機。 大破しました。 修理が終わって発送したのが10月8日。 本日10月12日お昼ごろ,運送屋に返送されて無言の帰宅。 糸倉がぱっくりまっぷたつ。 『女王蜂』のお母さんのように,棹のところを持って人の頭でもぶン殴ったとかいうなら別だが。そもそも月琴という楽器は,材自体がギターなどよりはずいぶん厚いし,構造も簡単。さらには自重がきわめて軽いので,単純な落下や衝突では滅多に壊れることはない。 ましてやウサこは百年たった古物の月琴でわなく,こないだわたしが作った楽器である。 部材は新鮮,エレキ前提だったこともあって,その工作もアコースティック楽器の「繊細さ」からはほど遠い,「丈夫さが取り得」みたいなシロモノだ。 音はソコソコでも,長生きしてくれると思っていた。 それがまあ,見事に。 いままでも修理の終わった月琴を運送屋に運んでもらったことが何度もあるが…このように壊されちゃったのは,ホント,はじめてです。 いままでの修理報告を見ていただいても分かると思うが,月琴という楽器でいちばん壊れやすいところは,表裏の面板と,この「糸倉」である。彼氏月琴のように割れた糸倉を何らかの接着剤で継いであるものも,古物の月琴では良く見かける。たしかに「壊れやすい」箇所ではあるが,よっぽどのこと,かなりの衝撃がなければ,通常このように完全に破断されることはない。 かなり手ヒドくぶつけても,まあヒビが入るくらいのものだろう。 さて…いったいナニがあったのか?
いつも言っているように糸倉は弦楽器の要,ここを破壊されたらふつう楽器は再生不能である。 たとえ修理して,元のスガタ,元のカタチに戻っても。元の音色,元の操作性は戻らない。 それは「復元」の限界,修理は「再生」ではないのだ。 これより庵主,フロンコンスティン博士となりまする。 |