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ウサ琴4(1)

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斗酒庵 よいよいウサ琴作り の巻ウサ琴4(1)

ウサ4材料(ウサ3の遺産)
  さて,この間イロイロとありましたが。

  ためこんだ資料の整理もいちおうメドが付いたので。
  おつぎ,まいりましょか~。

  前作ウサ3は,実験のために作ったものの思慮足らず。
  4面個々の,楽器としての出来はともかく,主目的はものの見事にハズしてしまいました。
  棹の材質の違いによって,楽器の音質が変化するのかどうか。それが知りたかったのですが。
  つい作りこんでしまったがために,音の違いが材質によるものなのか,それとも工作の具合等によるものなのか分からなくなってしまったのです。
  いちおう4面の楽器としての質を均一にそろえよう,とは努力したのですが,技術の拙さもあり,安価な材料を使っているため,素材の格差もあり,思ったようにはなりませんでした。

  反省――。

  ということで,今回の製作では,まず棹を4本作り,胴体は1面ぶんだけ用意します。
  4本の棹がどれもその胴体に合うように調整し,1つの胴体で棹を挿しかえられるようにしましょう。
  実験が終わったら,のこり3本ぶんの胴体を,あらためて作ってやればいいわけで。
  この工程なら前回得られなかったデーターが,なんとか得られるかなあ? と――

  前回の製作時,糸倉の切り出しや胴体を余分にしておいたので,作業は少しだけラクです。

  庵主行きつけの銘木屋さん,新木場にあった「ウッディ・プラザ」さんが,この春,なんと工房のご近所である和光市に引越しなさいました。旧川越街道,和光の駅前通りを過ぎてすぐのあたり。前も新木場というコアな地帯にあるにしては,お洒落なお店でしたが,こんどはさらにお洒落なお店になりましたね。

ウサ4材料(棹材)
  おめでとう,というわけでもありませんが,さっそく棹の材料を2種類購入。
  1本はメイプル,1本はバーチです。メイプルのほうは弦楽器関連ではお馴染みの素材ですが,庵主,このバーチという木についてはまったく知らんかったです,ハイ。
  調べてみると,どうやらカバの仲間で,打楽器の胴などとしては最高の素材らしいですね。

  あとの2本はマコレと,前回の製作でも使ったもっくもくのクスノキ。マコレは新木場にあったころのウッディプラザさんで購入,クスノキのほうは,銘木屋さんの端材です。

  ハードな素材が2本,ソフトなのが2本。

  さて,どうなることやら。



  糸倉は前回,ついでに切っておいたサクラ。とはいえ,前のは本ザクラだったんですが,今回のは別の板で,輸入材のチェリーです。
  工程はいつもと同じ,棹の長さに切った角材の端を凸に切り込んで,そこに糸倉の左右をハメこみ,ニカワで接着します。

バーチ&メイプル
  バーチ…おまえはどうしてそんなにカタいのか…硬いだけでなく,重く,粘っこく,ノコの刃がうまく進みません。これにくらべりゃメイプルは,硬いは硬いものの,氷のようにショリショリと,素直に道具が入ってゆきますね。

  糸倉左右がくっついたら,棹の表側になる面に指板を貼り,素体は完成です。

  何を貼ろうかな~,と材料箱をかきまわしていたら,本シタンの板が一枚出てきました。
  両端で多少厚みが不ぞろいになってたりしてますが,長さ20cm,幅3cm とサイズ的にはおあつらえむきです。メイプルにはこれを貼りましょう。ヒトの手にマメをつくりゃがったバーチには,偽シタン(正体不明)を貼って,ハード組,色をそろえます。
  見た目にはほとんど分からないのですが,切ってみるとニオイがぜんぜん違いますね~。
  本シタンはローズウッドなんかと同じあの独特な匂いでしたが,偽さんのほうはロウみたいな薄い匂い…ホント,これ,なんて木なんでしょうね?

クスノキ&マコレ
  柔らか組の2本には,縞黒檀を。
  これも去年,銘木屋さんのゴミだったのをもらってきたもの。
  サイズは小さいですが,目の詰まった,いい板でした。
  あらためて,感謝。

  クスノキの棹をノコで荒どりするときに,ちょいと2ミリばかり,ノコが深く入ってしまいました。
  やや細くはなってしまうものの,このくらいなら強度上はあまり問題がないのですが,糸倉と棹本体のあいだ,棹のえりあしというか,うなじのところがすこし長くなるので,操作感が多少違ってきます。

手前がクスノキ
  この部分,正式名称は不明ですが,庵主は月琴という楽器のなかで,けっこう重要な場所として位置づけています。糸倉の平面が棹の曲面へと流れてゆくこの部分の加工を見ると,その月琴を作った職人さんのウデが分かります。

  基本的に,この部分の美しい月琴はいい楽器だと思います。

  月琴はギターと違って,棹を握りこみません。
  親指の腹を棹の背にあてて,上へ下へと滑らせます。

  このとき,楽器はほぼ,その親指一本でコントロールされているのです。

バーチのうなじ削り中
  概して,ちゃんと楽器として作られた実用本位の月琴では,棹裏の曲線は浅く,ほぼ直線に近いものが多いのですが,お飾り月琴として作られたような類には,この棹裏に余計なほどの深い逆アールがついているものがあります。
  それは造形としてはカッコイイのですが,実際の演奏で使ってみると,へんなところで指がひっかかったり,演奏中に楽器がフラフラと動いてしまったりします。

  そういう月琴はたいがい,「うなじ」の姿が悪い。

  「うなじ」の部分は棹全体の形状のかなめです。
  棹を削る時,棹裏の角度も,棹の断面形状,太さ細さも,ここで決まり,ここからはじまります。
  このくぼみが深くなりすぎると,指を上下させる時,親指の離れが悪くなり,浅すぎると親指がとまらず,楽器自体のバランスがくずれやすくて,ちゃんと保持しにくい楽器になりがちなのです。

  ほんの些細なことですが,こうやって自分の手で作っていると,わかってくるもンですね。
  こういうことは。



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