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南越1号(4)
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南越1号(4)
STEP5 覆手を作る
表面板の製作と同時に,テールピースを作ります。
明清楽の月琴だと呼び名は「半月(はんげつ)」ですが,形が違いますんで,琵琶と同じ「覆手(ふくじゅ)」と呼んだ方が良さそうですね。
オリジナルは「T」を逆さにしたような,というか横長の「凸」というか----
あまり凝ったものはなく,簡単なカタチが多いのですが,今回は製作のテーマのひとつ「古代阮咸のなんちゃって復元」というのに沿い,正倉院の阮咸の覆手の形なぞ,少し真似てみることとしましょう……ごりごりごり。
素材はローズウッドのカタマリ。
材料箱をひっくり返していたら,ちょうど良さそうな大きさのものが出てきました。
例により銘木屋さんのゴミ箱還送の品で,樹皮に近い部分のようですが,片面が丸くなってる形もちょうどいいですね。ほんに,ありがたやありがたや。
糸鋸やノミ,木工ヤスリを駆使して2時間。大体の形に仕上がりました。
口端の部分を少し削って,象牙の薄板を接着します--糸擦れの防止ですね--ちょうどこのカーブにあいそうな,輪切り板の欠片がありましたので,これを使っています。
糸穴は6つ。
「複弦ベトナム月琴」にするための糸間のせまい4弦2コースのと,「なんちゃって阮咸」にするための,ほぼ均等な糸間のもの----この穴の間隔にはけっこう悩みました。
4弦単の阮咸仕様にしたとき,糸間があんまりせまいと弾きにくいし,かといって全体を広げすぎると,複弦ベトナム月琴として弾きにくくなります。
何度か仮組みをし,糸の間隔をいろいろとシュミレートしてみて,
複弦2コースのときは外弦間 28,内弦間 22,内外の弦間各3ミリづつ。
4弦単の場合の1,4弦は,複弦時の外弦の穴を使い,各弦間は約9ミリ。
棹上の糸間がせまいので,4弦単で琵琶風の演奏はちょいと難しいかもしれませんが,ウクレレやギターと同じくらいなことは出来ようかと思います。
さっそく覆手の接着です。
接着の前に,面板をヤシャブシで下染めしておきます。
覆手の下とか,後でやるとき染めにくいですからね。
いつもの月琴の板状のそれと違って,片持ち式ですんで多少バランスが悪い----面板との間にスペーサーを噛ませたり,左右がズレないように板をあてたり。Fクランプ大動員となりましたが,なんとかきちんと貼りついてくれたようです。
STEP6 鳥口を作る
テールピースと同時進行で,トップナットも作ります。
こちらもいつもの月琴では「山口(サンコウ)」ですが,ベトナム月琴のそれは,角度は違うものの薩摩琵琶のに似ているので,そちらから取って「鳥口(とりくち)」と呼ばせていただきましょう。
「鳥口」----ほんとこの姿。言いえて妙な名前ですわな。
雅楽などで用いる古い形の楽琵琶や,明清楽の唐琵琶,現代中国の琵琶(ピーパー)などは絃高がそれほど高くはなく,このナット部分も月琴のそれとあまり変わらない姿をしています。
一方,近世になって生み出された薩摩や筑前は絃高が高く,薩摩では「鳥口」という独特の形に,筑前のものは四角い大きなブロック状のものになっています。
そういえば,絃高の高さ,フレットが末広がりなこと,弦を押し込んで音程を変える bebung 効果……前二回の解説に書いたとおり,庵主は「ベトナム月琴」という楽器は,うちらの(円胴短棹の)いわゆる「月琴」とは関係がなく,むしろ阮咸を祖として,奏法的にも琵琶に近いものと考えているのですが,こう考えてみると,やはり何気に共通点が多いですね。
さて,こちらの材料も端材箱を掘り返して見つけたタガヤサンのカタマリ,出所は同じ。
ちょっと底部の幅が足りないんで,以前ウサ琴の半月に使った同材の板を左右に貼り足します。。
削って削って…さすが「鉄刀木」と書いて「タガヤサン」。
モノが小さいのもあってこりゃタイヘン。
糸の乗るてっぺん部分には竹板を貼り,鳥の「口」の部分には擦れ防止の象牙の薄板を貼り付けます。
高さはあとで調節しようと思い,とりあえず手持ちの安ベ月琴と同じ 2.5センチにしたのですがが,仮組みで糸を張ってみたところ,案の定ちょっと高すぎて絃高に落差がつきすぎていたので,首を一度ちょン切り,背丈を縮めて付け直しました。
まあ,どっしりとした据わりのいい感じになりましたか。
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