ウサ琴5(3)
![]() STEP4 染まり道
まずは木地の磨き。いつもより丁寧に番手を上げて,#1500で全体を仕上げます。 スオウの原液による下染めは3回,染め液は湯煎で温めて,なるべく染みこみやすくしておきます。 3度目の染めのとき,液が乾かないうちに一度目の媒染剤,オハグロベンガラ(ヤシャブシ+ベンガラ+酢)の上澄みを,全体に塗布します。季節的に暖かくなってきたころだったので,常温でかなりよく反応してくれました。 以降,木地の様子を見ながら,スオウとベンガラ液を2~3回,交互に塗布。 結果は上々。いい感じに染まってくれました。 気になる接合部の木色の違いもほとんど分かりませんね。 ![]() ニスはいつもどおり,日本リノキシンさんの Violin Varnish FP ダークレッド。 トップコートも前回と同じく,リノキシンさんのオイルヴァーニッシュにしたかったんですが,進行の遅れから,作業が梅雨時期に入ってしまい,紫外線固化のオイルニスには不向きな期間となってしまいましたので,今回はカシューの紅溜にしました。 中塗りにもトップにも色がついてますので,かなり濃い目になりました。 ブラック・ウサ琴,てとこでしょうか? しかし----やはりこの技法,基本的には唐木の質を誤魔化すためのものだと思いますね。 ![]() たとえば,今回の楽器の指板に貼った黒檀板は,そんなに質の良くないものだったんですが,本体同様,これをスオウ&鉄で染めてみたところ,高価なマグロ黒檀のように美しい板に変わってしまいました。 また,いろいろと実験してみたところ,ホオやカツラなどより,唐木のほうが染まりが良いようです。 カリンを紫檀に,縞黒檀をマグロに出来る---悪用されるとけっこう面倒くさい技法ですよね。 おまけに単なる表面的な塗装と違って,ちょっと削ったくらいじゃボロは出ない。 …これじゃ,シロウト目には見分けがつかないかと。 くわしい資料が見当たらないのは,そういうせいだったのかも,しれません。 |