ウサ琴5(2)
![]() STEP3 さまよう半月
幸いにも,月琴の面板に使われている桐板は,接着しやすい素材,また月琴の弦は絹糸です。金属弦のギターやマンドリンのブリッジに比べるとかかる弦の力もさほど強くはありませんから,接着面の下処理さえちゃんとしてあれば,胴体を間にはさんで,軽い圧で接着しても,使用にじゅうぶんなほどには固定できます。 この半月の工程を含めて,ホンモノの月琴の作業工程をざっと推測するなら。
一度技術が亡んでしまうと,たかがこの程度のことを確かめるのにも,これだけ苦労しなきゃならないものなんですなあ。 ![]() いまのようなクランプのなかったころ,接着時の半月の固定は,板にVもしくはU字の切れ込みを入れた「ウマ」によって行われていたと推測されます(図参照)。 これから清楽月琴を自作してみようと思われる方は,ご参考にしてください。 ちなみに今回の半月は,ニューギニアウォルナットと黒檀板のコンボ。 そのままだと色の違いが目立つので,周縁を「スオウ」で紫檀っぽく染めてあります。 次回は,その「染め」のあたりを少し掘り下げます。 |