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月琴8号生葉 再修理(2)

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斗酒庵 8号生葉を再度修理す の巻月琴8号 生葉 再修理(2)


けっこう悲劇なコンサーティナ


  8号「生葉」は,到着当初の観察では欠損部品も少なく,全体の状態も悪くなかったので,前回の修理では扇飾りやフレットなど,まあ最低限必要なものをこさえただけで,楽器本体にはあまり手をつけませんでした。

  そして,この楽器とちょうど同じころに修理していたのが崩壊寸前の月琴,9号「早苗ちゃん」。
  面板の表といわず裏といわず,まさしく「縦横無尽」に虫に食われており,それはもう,あの薄い面板がナイフで半分から薄い丸板二枚に割れるんじゃないかというくらいの状況----だったもんですから,じつは8号「生葉」にも,若干の虫食いが見つかってたのですが,何となくコワくなって,無視しちゃってました。

  あれから数年。

  修理を重ね経験積んで虫食いのトラウマも解け,最近じゃもう,ちょっとやそっとのヒビ割れ・虫損では動じなくなっております。 この機会ですから,前回見逃した生葉ちゃんの虫食いも始末することといたしましょう----と,ヤッコラほじってみたんですが,これがまあ意外とけっこうなモノで。



  表面板の虫損は,第5フレットの下に隠れてたのがちょっと深いものの,あとは正面左肩から2筋,こちらはいづれも浅い----しかしなが裏面板のがほぼ中心に上辺から2筋,下辺からも2筋。こちらはどれも深く,板の中心がほぼスカスカになるくらい食われてます。
  上下の食害はそれぞれ違う虫によるものですが,下からのがかなり長いですね。 幅はありませんが,上下にほとんど貫通しちゃっていると言っていい状態なのと,多少横方向への広がりもあるようです,厄介ですね----では,被害の大きなほうから片付けるとしましょう。

  まずはつついたり叩いたりして,食害で弱くなってる範囲をだいたいつかみ,一帯をすっぽり切り取ります。

  この作業のおかげで中身が覗けまして。
  前回は正確に把握できなかった内部構造が,かなりはっきり分かりましたね。余禄余禄。
  墨書とかが出てこなかったのはザンネン。


  表面板の虫損は,埋め木でちょちょいと。
  キズを整形し,削った埋め木を接着したら,マスキングテープで固定します。


  裏板には切り取った幅に切り出した桐板を埋め込むわけですが----さすがに中心部分,いちばん長いところなので,手持ちの古材では間に合いません。
  今回は新品の板を使いました。これ,ウサ琴の余りですね。


  翌日一気に整形。
  うーん,表板のは小さいし,古板を使ったのでいいんですが,裏板のはさすがに目立ちますねえ。


  前回の修理では庵主の趣味で,表裏面板をまっちろちろに漂白したんですが,今回はコレもあるので染め直しましょう。 サイワイ,赤城山1号に使ったヤシャ液(しぼりたて)もありますからねえ。
  埋め木した所を先に二回ほど塗って,あとは全体,うまく,ムラなく。

  さて,乾いたらどうなるかな?


  最後にもう一つ小細工を追加。

  これも前回手を出さなかった箇所,中心の蓮華飾りですね。
  オリジナルのものは半分くらいしか残っておらず,扇飾りと違ってはっきりした日焼け痕もなかったため,復元ができませんでしたが,その後資料も増え,類似のお飾りの例もいくつか見つかってるので 「だいたいこんな感じ」 くらいには補修できるでしょう。
  はじめオリジナルと同じ黒檀の薄板でチャレンジしたんですが,まあ割れること欠けること----唐木の扱い,下手くそなもんで。

  2枚しくじったところで,アガチスに逃げました。

  まずは表裏に和紙を貼って大体のかたちに切り出し,アートナイフで彫りこみます。アガチスは適当に粘りがあるんで,かなり細かいところまでイケますね。できたらオリジナル部分とうまく合体するよう,カタチを合わせます。


  んで,これも前回修理の時にはまだ持ってなかった技術----スオウで染めてオハグロで媒染。
  ラックニス(ダークレッド)を二度ほどくぐらせ,乾いたとこでリューターに小パフつけて磨いて仕上げ。
  ちょっと見には,じゅうぶん騙せそうですね。(笑)

  完成~!!!

  1月のそら庵・月琴WS補講に間に合ったので,持って行きました。いっしょに写ってるのは,この日引渡した「赤城山1号」です。

  ついでに試奏してみましたが,音色のよさは変わってません。
  面板を濡らしたので,しばらく多少ヌケが悪くなってるはずですが,今のところさほど気になるようなほどではないようです。
  何よりやっぱり軸を取り替えたので,ちょっとハードに弾きこんでも,糸が緩まないのが嬉しいですね。

  楽器の時間が,また動き出しました。


  散歩のついでに,和光市にある「新倉ふるさと民家園」のぽかぽかな縁側にもお邪魔。
  なんか似合いますね。

(おしまい)


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