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改訂版・月琴の弾き方(2)
PLAY02.txt(2012)
改訂版・月琴の弾き方(2)
さあて,無事に糸はつけられましたか?
そしたらお次は「音合わせ」,調弦へと進みましょう。
用意するものがいくつか。
ひとつはピック,ひとつはチューナー,ですね。
音合わせのためだけでしたらまあ,ギターのピックでも爪で弾いても良いのですが,「演奏する」となるとやっぱり月琴用のピックが欲しいところです。中国楽器を扱っているお店では,清楽月琴にも使えるような長細いプラスチック製のピックを販売していることがあるので,そういうのを取り寄せて使うのも良いでしょう。
庵主のおすすめはギターの「サムピック」ですね。
カントリーなんかで使われるピックで,親指にはめて使うため,指輪みたいなカタチになっています。
これをお湯に漬けると,輪っかになってる部分がうにょーんとほどけてヘロヘロに柔らかくなりますから,そこをすかさず引き揚げて板の上で軽く伸すと平らになります。
そのままでも充分に使えますが,先をいくぶん鋭角に尖らせるとさらによろしい。
庵主はずっとペットショップで買える牛のヒヅメでピックを作り続けてますが,これはまあ特殊ぎじゅちゅ----そこまでせいとは申しません。
ただ,弾けるようになってきたら,アクリル,プラスチック,竹,象牙,ベッコウ……どんな材料でも良いですから,ぜひ自分なりにピックを作ってみてください。自分の指に合った道具は,所詮,自分自身でしか作れないものです。
チューナーは「クロマチック・チューナー」というものをお勧めします。
安いギターチューナーでも用には足りますが,あったほうが確実にベンリですね。
C.糸をシゴく
新品張りたての糸はまだカタく,そのままだと何度締めても,すぐに伸びて音が下がってしまいます。
この後の調弦で,そういう状態だとすぐ
「ムキーっ!」
となっちゃいがちですので,あらかじめ
「糸を慣らす」
ということをしておきましょう。
まずは糸を弾きながら糸巻きを締めたりゆるめたりして,低いほう(太いほう)の2本を「4C」,高いほう(細いほう)の2本を「4G」という音に合わせてください。「4」とか「3」というのは音の高さ,「C」は「ド」,「G」は「ソ」ですね。
まだ本格的な調弦ではないんで,かなり高くなっちゃってもだいじょうぶです。
太いほうも低いほうも1音くらい高くたってかまいません。
糸はピンと張ってますね?
そしたら下の図のように,糸の下に指を入れて持ち上げるように
シゴいてやってください。
山口から半月のところまで,グイグイと。
一めぐりくらいしたら,チューナーで音を測りましょう----当然音は下がってますわな。
そしたらまた糸巻きを締めて「4C」「4G」ちょい過ぎくらいまで上げてやります。
これを3~4回くりかえすと,だんだん音の下がる幅が小さくなってきて,シゴいても「4C」「4G」からそんなに遠くない音に落ち着いてきます。
糸巻きに巻かれた余分な糸の巻きが固くしまってユルみにくくなるのと,糸自体があるていど伸びて,楽器に「慣れてくる」からです。
まあ毎日弾くたびにキッチリ調弦していれば,こういうことをしてなくても,およそ一週間ほどで「4C」「4G」くらいからそんなに狂わなくなりますが,そんなに待ってられませんよね。
D.音合わせ(調弦)
では音を合わせましょう----
基本的に,月琴のチューニングというのは
2種類
しかありません。
低音弦と高音弦の関係が
5度(ド-ソ)
なのと,
4度(レ-ソ)
の2種類です。
清楽の演奏などでは通常,5度の関係(上合調もしくは小工調という)のほうが多く使われています。
半音の位置が変わるため,5度だと弾けない曲も,4度のチューニング(尺合調)にすると弾けるような場合もあります。現在の中国民楽やポップスなどに合わせるときには,4度のチューニングも試してみてください。
明笛などが加わって清楽オーケストラとなるときは,明笛の指孔を全部塞いだ音(合:ホォ)に高音弦を合わせますが,自分の声や誰かの歌に合わせるようなときは,「間が5度もしくは4度」にさえなっていれば,低音が「ド」である必要はありません。レ-ラでもミ-ドでもかまわないわけです。
調弦の順番は,低音からでも高音からでも構いません。
内弦からでも外弦からでも,やりやすいほうからどうぞ。
チューナーを使って1本を「4C」か「4G」に合わせたら,つぎは2本いっしょにハジきながら,もう1本を,チューナーで合わせた弦と同じ音にそろえてゆく
----2本の弦音が1つの音に聞こえるようになったら完了!もう一組の2本を調弦しましょう!
…とまあ,書くとすればこれしきなのですが,これがまた何とも難しいんですよ。
月琴という楽器は,太いの細いの2本づつが同じ音なので,弦が4本あっても,実質たった2本しか弦がない単純な楽器と同じなわけですが,この
「一組の弦を同じ音に調整する」
ってのは,じつはギターみたいに6本をそれぞれ違う音に合わせるのより,かえって厄介かもしれません。
最初のうちはぜんぶチューナーで合わせて構いませんが,チューナーというのは
しょせん機械
なんで,ニンゲンの耳と同じには反応してくれません。ぜんぜんズレて2つの音に聞こえるのに,チューナーで測ると同じくらい,なんてことはしょっちゅうです。
基本は自分の耳を信じて,2つの音を1つの音に。
だんだんとチューナーを使う回数を減らしてゆく----耳を鍛えるのが,上達への早道です。
ちなみに調弦するとき,糸巻きの握り方は前回も書いたとおりかならず----
か
----ですよ。
音合せはかならず,片手で糸を弾き
「ながら」
,実際の音を耳で聞き
「ながら」
,糸巻きを操作し
「ながら」
やってください。
初心者でときおり,糸巻きを回して
「から」
弦を弾き,チューナーで音を調べて
「から」
また糸巻きを回して……ということをしてる人がいますが,マシンペグに金属弦の近代的な楽器と違って,月琴の調弦は微妙かつ繊細(というか構造があまりにも単純・原始的)なため,調弦のとき
一瞬でも糸巻きから手を離すと,
次に糸をはじくまでの間に音が狂ってしまい,いつまでたっても音合せが終わらないという始末になります。
楽器を立てた演奏姿勢だと,糸巻きを回しにくい,力が入れられないという場合は,膝や机の上に楽器をのせ,横にしてやってもかまいませんが----
月琴の音合せは「ナガラ弾き」が基本。
「カラカラ弾き」は無間地獄への第一歩と知るがいい!
ほーほほほほほ!(悪魔的に)
----ということだけはココロエテいてくだしゃんせ。
C/Gにチューニングした時の音の一覧は右図(クリックで拡大)。
実質13コしか音がありません。
間5度のチューニングの場合は低音弦の第4フレット,4度の場合は第3フレットの音が,高音弦の音と同じになります。
ギターなんかで慣れちゃってる人は,低音弦の開放だけチューナーで合わせたら,あとはギターと同じにフレットを押えて,高音弦の音を合わせてみてください。作りが単純な楽器なので,そのほうがより楽器に合った音が出ます。
なお
楽器をあまりやったことのない人!
チューナーを使って音を合わせるとき神経質に「ピッタリ」にする必要はありませんよ。絹弦は伸びやすいんで,はじめ20%~30%くらい高めにしておいたほうが,弾いているうちに伸びてちょうどよくなります。
ちなみに,楽器に損傷がなければ,月琴という楽器は,演奏後に糸をゆるめるような必要は,あまりありません。
何ヶ月も弾く予定がない,とか,長距離を持ち運ぶような場合は別ですが,部屋の中で弾いては壁に戻すような程度の使用でしたら,張りっぱなしで構いません。
糸を替えるのも,ライブで曲を披露する,ある日とつぜんスティーブ・レイボーンのバックで月琴を弾くことになった,とかいうような場合をのぞき,
切れちゃうまでそのままで結構。
山口(トップナット)がわで糸が切れちゃった場合はどうしようもありませんが,半月(テールピース)がわで糸が切れた場合には,糸巻きに余分がありますから,一度糸をはずして
張りなおせば3回ぐらいはイケます。(意外と経済的)
ただし何度も切れた弦は,糸が細くなってゆくので,もう一本の弦とピッチが合わなくなってきます。そうなると調弦に多少苦労するかもしれませんので,
替えるときにはケチらず2本いっしょ
に替えちゃったほうがイイかもしれません。
(つづく)
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