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27号初代不識(1)

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斗酒庵 夢にて出逢う の巻月琴27号 初代不識(1)

STEP1 夢で逢いましょう


  その筋の方によりますと,庵主は「見えない」ヒトなのだそうです。

  じっさいかなりのビビりなんで,ユーさんとかレンさんみたいのが,見えたり感じられたりしたらとおに心臓停まっちゃってると思います。しかしながら----

  日本古来の伝承によれば,百年以上の歳月を経たモノには生命が宿って「ツクモガミ」となることになっております。

  うちに転がってる連中は新しいものでも明治の30年代生まれ。楽器も「ウツワ」である以上,その理屈でいえばとおに 「ツクモン化」 している----要するにユーさんレンさんの仲間みたいなもンなわけですな。

  まあもっとも,今までいちばんオソロしかったのは,半月のポッケの中から,女のヒトのながーい髪の毛が,紙に包まさって出てきたことくらいで。夜中に鳴る,なんちゅうのは日常ちゃ飯によくあること,すでに怪奇現象とも思いませんが。

  考えてみればあまり「怪奇」というほどのことではないのですが……
  今回の楽器でわ,まあいろいろあッたんですヨ。
  とりあえず,ハナシとしてで良いですから,聞いてくださいな。



  そう,その楽器を買おうと思ったのは,1号の再修理をやっている時でした。

  1号は庵主が手にした最初の清楽月琴,巣鴨の縁日で\1,000で買った楽器ですが,作者は月琴流祖の一人・鏑木溪菴の弟子でもある石田義雄(初代・石田不識)。数ある月琴製作者の中でも「名工」と言って良いヒトの楽器だったのですが,それが分かったのはもちろん,ずっと後になってからのこと。

  蓮頭も糸巻きも,フレットも残っていなかったこの楽器を,楽器の修理なんてしたこともなかった庵主が,色んな人に教えてもらったり,Web上にある古い楽器の修理記事を見たりしながら,何とか弾ける状態にして使っておりました。

  それから10年あまりの歳月が流れ----


  いつしかコワれて,なかば放置されていたこの始原の楽器を,経験値もなンぼかUpった今の技術で,よりオリジナルに近い状態に戻し,再び弾こう!----と思い立ったものの。
  この楽器,もともと欠損部品が多くかったうえに,その後の庵主自身による未熟な「修理」も相俟って,その「オリジナルの状態」が,アチコチ分からなくなっちゃってたんですね。

  うーむ,正直困った。(^_^;)



  我が家にはもう1本,同じ作者の楽器「8号生葉」があるのですが,こちらは棹も胴体も唐木で出来た重量級の高級月琴。
  普及品クラスの1号とは造りがかなり異なっているうえ,おそらく製作時期も違っているため(ph:明治末ごろか?),あまり参考になりません。

  できるなら,1号と同じ時期に作られた同じくらいの安月琴。しかも1号よりオリジナルに近い形が残っている楽器があったなら……とかまあ,夢のようなことを考え,たまたまネオクをながめていましたなら。


  ----あったんですね。(゚○゚)!

  各部の特徴から石田義雄の楽器,それも修理中の1号とほぼ同じ時期に製作されたものだと思われましたが,出品者さんの画像がかなり不鮮明でかつ少なく,状態は不明。古物の相場から考えれば,価格もけして安くはありませんでしたが,えいやと落としたその日の夢で,こんなことが…………(怪談はココから)


  庵主,気がつくと,大勢の人といっしょに,
  どこかの学校の体育館か,教会の広間みたいなところにおりました。


  みな,黒っぽい服装をしてましたが,べつだんお葬式とかいうわけではなく。
  何かの行事か,講演のようなものを聞きに来ているようです。


  昔の小学校にあったような木の椅子に座っておりますと,人々の足の間を縫うようにして,小さな女の子が一人,ちょっとよちよち,ふらふらと,あたりを見回しながら歩いてまいりました。



  おや,こんな小さな子が一人で。
  親とはぐれたのかな?と思って見てますと,その子は庵主の膝のところで立ち止まり----




  ムリクリ,膝の上によじのぼって来ました。

  見たこともない子でしたが,庵主は何故か,この子の名前が「石田佳菜」ちゃん「紗菜」ちゃんという小学生のお姉ちゃんがいると知っています----さすが夢の中ですね。

  ちょっとふんぞりかえったような格好で膝の上に座り込んだその子を,落ちないようにお腹に手を回し,赤ちゃんにやるみたいにお腹をポン,ポンと軽く叩いていてやっていたら,しだいに身体が熱くなってきて,何だかちょっとグンニャリとしてきました。


  ああ,これはこのまま寝ちゃうかな?----と思ったとき,どこか近くで----

  「佳菜?佳菜ぁー?」 と,お姉ちゃんが妹を探して呼んでる声。

  佳菜ちゃんはぱっちり目を覚ますと膝の上から飛び降り,たちまち人々の間に消えていったのでした。


  庵主はむかしから,連続夢をよく見ます。

  同じストーリー,というよりは,同じような場所,同じような設定のなかでくりかえされる夢ですね。RPGのダンジョンのように,時折ある場所から,ありえない場所へと移動してしまうポイントがあるものの,地図がかけるくらいきまった同じ街のなかで,さして「夢らしい」ことのない日常を送っているのです。
  この日の夢に出てきた会場も,過去に何度か見たことのあるお馴染みの場所,ここで何かの行事に参加しているというのもお馴染みのシュチュエーションだったんですが,いままでそこに,こういう女の子が出てきたことはありませんでした。

  しかも今回の場合,夢から覚めたあともしばらく,膝の上の「佳菜ちゃん」の感触や体温が,妙に生々しく残っておりました。
  これもまた,今まではなかったこと。まあ,それだけならまだ良かったんですが……

  そしてこの日から,この「佳菜ちゃん」が,庵主の夢の中に,毎日のように出てくるようになったのでありました。

(つづく)


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