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月琴の起源について その4
kigen_04.txt
月琴の起源について その4
ベトナム月琴(ダン・ングィエット)
*イラストはクリックで別窓拡大*
「月琴」と呼ばれる(短い棹で丸い胴体の)「月琴」じゃない楽器,その3はこれです。
この「ベトナム月琴」,ダン・ングィエットは,じつは「阮咸」と「月琴(短い棹の)」の起源において,けっこう重要な位置にある楽器だと庵主は考えてるのですが,まあそのへんはおいおい。
まあ,騙されたと思って,いちど,キム・シンって人のアルバム,聴いてみなさい。
庵主はこんな研究をしていますが,はっきり言って洋楽派で,邦楽や民謡や民族音楽は見るのも聴くのもおぞけが走るぐらい大キライ(もっとも,資料として聴きすぎてイヤになったフシもあり)なのですが,そんな庵主が唯一ナミダを流して聴いたたのが,三味線の高橋竹山,三線の嘉手苅林昌,そしてベトナム月琴のキム・シンです。
いづれも伝統楽器の分野でありながら「異端」とされるプレーヤー。
しかしその演奏には,楽器や音楽分野の枠を超えて誰しもに「聞かせる」ナニカがある,そんなふうに思いますね。
この楽器が2弦になったのは,そんなに昔のことじゃないようですね。
すくなくとも,前々世紀には,まだ4弦だっかたと。
4弦2コースから,2弦になった理由の一つは,たぶん近世における弦の材質の変化でしょう。
現在も民間では,釣り糸のテグスを切ったのなんかがふつうに使われてるそうですが(もちろん,専用弦もあります),そうした化学繊維の丈夫な糸の出現によって,単弦でも複弦なみの音量や,深みが出せるようになったからでしょうね。
2本の糸の,わずかなチューニングのズレで音の深みを出すのが複弦の強みですが,2本の糸を同音に合わせるという,そのチューニングそれ自体が微妙で難しいのと,2本同時に均圧でおさえなきゃ正確な音が出せない,という演奏上の欠点があります。
4単弦の楽器が複弦化するときには,前にも書いたほかにもいくつかのパターンが考えられますが,4弦2コースの複弦楽器が単弦に変わるとしたら道は少ない。2弦になるか,3単弦に増えるか,でしょうねえ。
前者はこのベトナム月琴の例のように,弦の材質や構造の変化によって,複弦の必要性が薄れた場合,後者は音の深みを捨てて,よりメロディを弾ける楽器となるためですね。
『皇朝礼器図式』の載せる「丐弾双韻」はこちら。
同書の解説によれば「丐弾」は安南のコトバで「楽器」のこと。現代のベトナム語で弦楽器につける「ダン」に通じてます。
「双韻」に関しては不明ですが,おそらくは現地語の音転ではなく,前回に触れた清楽の「阮咸」,今の中国でいうところの「双清」という楽器と通じる,複弦の楽器をあらわす語だと思われます。
とりあえずココでは,この楽器が4弦だった,つうことと,構造は月琴や三味線とおなじ「スパイク・リュート(箱型の胴体に棹がぶッさしてある弦楽器)」だということをオボえといてください。
(つづく)
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