カメ琴2号(4)
![]() STEP4 教官,わたしカメ色に染まります! ははは,じつはこの段階になると,あんまり面白い画像もないので, なんか文章にし難いのですがね。 ![]() まずは春の晴れた一日。 完成した本体を持って外に出ました---- 仕上げの磨きをするためですね。 染めにしろ塗りにしろ,木地の仕上げがしっかりとしてないとなかなかうまくいきません。 まずは#240の空砥ぎペーパーでヤスリ目などの工作痕を丁寧に取去ります。 ついで#400相等のShinexで表面を均し,#1000相等ので,とぅるっとぅるに。 この作業,地味ですが,時間もかかるしけっこう大変です。 ![]() ![]() ![]() 表板のウラ右側に三箇所,色の濃いとこがありますが,これは圧電素子をのっける黒檀板と,電池ボックスをとめるビス穴の補強で貼ったブビンガのツキ板。 お外でやるのは,第一に細かなホコリが大量に発生するせいもありますが,自然光のなかでのほうが木地表面のアラとかキズが分かりやすいということもあります。自称「工房」は四畳半一間の住居兼ですから,庵主,ふだんからお外での作業は慣れてますしね。 時間がかかるので,お弁当と燃料を買って,ホウキ持参で公園をめぐります。 小さくてもいいからテーブルがあって,子供らが遊んでるほうとかに風が向いてないような場所,作業後にはもちろん掃除して帰りますよ~。 まんべんなく磨き上げた本体……いよいよ染めにかかります。 ![]() ![]() 今回の楽器では,表裏の板が胴体側部になだらかに落ちて一体になってくようなデザインにしたもので,面板とほかの木部を同じ色にしなきゃなりません。輪っか真っ黒でサンバースト風に,表裏板の中央だけ白っぽい,てのも考えたんですが,うーむ,大変そうですしねえ。 この時点ではまだ,どんな色に染めるか決定してないんですが,とりあえず木地の目止めをかねての染めです。 この段階で磨いてニスをかければ,1号と同じような黄金色の楽器になります。 一日,オーナー予定者の Ryo さんと,練習がてら談合。 1.黄金色/2.真っ黒/3.赤茶色の三択でしたが,今回の楽器は木地の色にあんまりインパクトがないんで,1.がまずハブ,つぎに「白」とか「黒」ってのは服の着こなし同様意外とムスかしいということで2.ハブ----結局ある意味無難な「赤茶色」に落ち着きました。まあエレキ楽器だし,ラッカーかペンキみたいので塗ってしまうなら,アオだろうがキミドリ色だろうが自由なんですが,いちおう「清楽月琴」や「ウサ琴」と同系列の楽器,ということもありますし,工房にある自然染料で何とかできる色にとどめたいとこです。(庵主としては,全体スチールブラックで,シルバーの鋲のいっぱいついたエレキ月琴が一本欲しいとこなんですが) ![]() ![]() ということで----赤染め開始。 ヤシャブシで染めた下地を磨いて,スオウ汁に砥粉を溶いたので2度下染め。 重曹を熱湯で溶いたものを,ハケで手早く,全体が均一に濡れたように塗布して発色させます。 余計な砥粉を落さなきゃなりませんので,これをまたお外で磨いたんですが,まだちょっとあちこち黄色っぽいですよね。本体に使ったカツラやサクラはそこそこなんですが,表裏の桐という材,染みこみはいいものの,スオウの「染まり」がそんなに良くありません。このあとも全体がなるべく均一の色になるよう,色の薄いところに部分的な染め作業をくりかえしました。 この時点でニスをかけると,やや淡い赤味の色になりますので,少し乾燥させたところで,2次媒染に入ります。 ![]() ![]() 2次媒染剤はオハグロ液(鉄漿)。 我が家のおハグロ液はかれこれ5年目くらい。 ベンガラと五倍子粉を,ヤシャブシ液と酢で煮詰めて作りました。 江戸文学なんか読んでると,この「オハグロ」,よく「クサイもの」の代表みたいに書かれてるんですが,最初に炊いた時は確かに,そりゃもースサまじいニオイでしたねえ。キゼツしちゃいたいくらい強烈な刺激臭で…現実には何年か置いたり,継足し継足しで「熟れた」ものを使うようですが,むかしの女の人はよくこんなものを口の中に入れたなあ,とエラい感心したものです。 うちではおもに糸巻きなんかを真っ黒に染めるときに用いますが,今回はこれをお湯で薄めて使います。 一度全体に塗布したあと,小さめの刷毛であちこちを少しづつ……はじめといてなんですが,全体おんなじ色,ってのはけっこう大変なものですねえ。 数日作業して,染め完了! ![]() ![]() 指板と半月は,少し濃い目のオハグロ液をつけて,ほかよりはだいぶん黒っぽく染め上げました。 塗りの作業に入る前に,半月は接着しちゃいましょう。 本体はこのうえからカシューを塗るんですが,カシュー塗っちゃうと,ニカワじゃくっつきにくくなっちゃいますからね。 (つづく)
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