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月琴33号(2)

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斗酒庵 松の音色に酔う の巻2013.8~ 月琴33号 (2)

STEP2 しわよせの黄色いへんちき

  3.内部簡見

  ----とはいうものの,33号松音斎。

  表裏板の割レも狭いし,端っこのほうをきっちり再接着(うーむ,たぶん木工瞬接…)されてるもので,32号みたいにぴろッとめくって,まいっちんぐにのぞき見るわけにもいきません。

  例によって棹孔からの出歯亀ですが,今回は内部観察のためにこんなもんを作ってみました。
  簡易フレキシブル風ライト。材料は¥100均で買ったLEDのミニライトと麦球イルミネーションです。
  ミニライトが先っちょの高輝度LED,麦球イルミは電池ボックスと線だけいただいてハンダでつなぎます。


  LEDに必要な電圧は6Vですが,電池ボックスは単三2本仕様なんで,結線をちょいと工夫し,ミニライトについてたボタン電池をハメこめるようにしました。

  うむ,点いた!

  カメ2の報告でも書きましたが,庵主さまの電工は,ガンプラのザクの目をボユン,と光らせるあたりが限界となっております。
  LEDと麦球が同じようなもので助かっ…え,これって極性とかあるんだ?
  てきとうに繋いだのに,よく点いたなあ。(感動)

  ちなみに前(2006年)に修理した「松音斎」はこうなってますた(右画像)---これを念頭に,穴からのぞき,棒をつっこみ。
  さてさて。

  まずは----基本的な構造は,これとほぼ同じようですね。

  内桁は2枚。

  棹孔のヘリから上桁まで 142,下桁まで 285。
  上桁と下桁の間が大きく離れていて,その間の共鳴空間が広めにとられています。
  桁の材質はおそらくスギ,厚さは8ミリほどでしょうか。
  上桁には棹茎のウケ孔と,響き線を通すための孔が,向かって右側にひとつ,あけられています。
  この孔は,前の松音斎では円形でしたが,33号は四角。15×60ほどで,丁寧な加工できっちりと四角に貫いてますね。


  響き線は一本。

  細めの鋼線です。基部がどうなってるのかは分かりませんが,四角い和釘で止めてあるもよう。
  前の松音斎は,基部が向かって右の側板,上桁をはめこんでいるところの少し上にあって,そこから深めの弧を描きながら,最深部は下桁の真ん中にあけられた細長い孔のあたりにかかり,反対側の側版方向へと延びていました。
  今回の33号は,まず基部が天の側板,棹孔のすぐ右あたりにあります。
  これは唐渡りの月琴などでよく見られる古い形式なんですが,唐渡りの月琴の弧線が,基部からほぼ直角に近く曲がって,深い弧を描き,ほぼ胴体内を半周するのに対して,33号の線は,どうやら前の松音斎と同じような長さ・カタチのものが,位置だけ変えて取り付けられているようです。棹孔からの観察でも,基部付近での線の曲がりが浅めなのが良く分かります。
  前の松音斎ではあった,下桁の孔も,見える範囲では確認できません。たぶんただの板だと思いますね。



  ちょっと気になるのが,線の表面が真っ赤なこと----かなりサビサビに見えますねえ。
  線の動きは悪くなさそうですが,こないだの14号みたいに,芯まで朽ちてたら…ちょっと心配です。

  サイワイ,面板のウラにもオモテにもでっかいヒビ割レがありますから,響き線の状態確認のためもかねて,どっかひっぺがそうかと考えています。そしたら内部構造等,不明なあたりもはっきりしますからね。

  内部の詳細は,またその時にでも。

  形式としては月琴の古式を摸倣したものですが,全体の工作も線の形状自体も,明治以降の国産月琴によく見られる型になっています。
  前の松音斎とこの33号,どちらが古いのか?
  むずかしいですね~(汗)

  工作はどちらも手慣れています----おそらくは月琴を手がける以前に,すでにけっこうな腕前だったかと。
  楽器としての本体部分の工作加工は,どちらもあまり手抜キがないし,ほぼ同等の精緻さですが,接合部分や装飾のあたりからすると,33号のほうがかなり簡略化されているとは思います。うう~ん,イノチを賭けろ,と言われたら全力疾走で逃げますが,アイスやるから,と言うなら33号のほうが後----と答えますね。明治20年代…かな?

  おっちゃーん,アイス!アイスっ!

(つづく)


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