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月琴40号クギ子さん (2)

G040_01.txt
斗酒庵 またまたアイツに出会う(W) の巻2015.5~ 月琴40号 クギ子さん (2)

STEP2 解決釘バット

  ば~ったば~ったとナギたおしいぃ~。
  正義のヒーローやってくる~。
  片手に握った釘バット。おかんも首相もざーくざく。

  ----と,いうようなヒーローを考えたのですが………放映できませんね。


  さて,月琴40号,釘バットなみにクギまみれ,太清堂のクギ子さん。
  調査報告の続き,問題の胴体編です。

  表面板 は現状6枚の小板に分かれています。縁のぐるりに目視でおよそ20本の釘の頭が確認できますが,サビてて色合い的に分かりにくいので,実際にはもっとブチこまれてるかもしれません。

  フレット は全欠損。すでに触れたよう,釘打ち補修の影響で第4フレットの位置が不明になっているほかは,かなりくっきりとした取付け痕が残っています。

  左右の目摂 の意匠は菊。花びらの形などは,国産月琴でよく見られる典型的な菊の花のそれに合わせていますが,全体のデザインや葉の表現などには,かなりの独自性が見られます。 向かって右の目摂のシッポが少し欠けています。この菊,「赤いヒヨコ」とか「ぬるっとさん」のあのトンデモ・デザインからすれば,この作者にしてはかなり趣味と出来の良い部類だと思うなあ。(w)


  扇飾り は欠損していますが,痕跡から推測して,おそらく「赤いヒヨコ」についていた,コレ(右画像)と同類のものがついていたと考えられます。

  他の作家の楽器にも同様の意匠のものがあり,庵主はこれを 「ウナギ」 と呼称しています。何を表しているのか,はっきりとは分かりませんが,おそらく「龍」か「鳳凰」の簡略化された成れの果てかと……


  バチ布にはおそらくリザードの類と思われる皮が貼られています。かなり傷んで端などボロボロですが,バックなどに使うようななめし革なので,後でつけられたものでしょう。

  半月 は32号「ぬるっとさん」とほぼ同形,ただし材質は唐木,おそらくカリンを染めたもの。板状半円型で,下部周縁の上面角が丸められている。92×42× h.9。国産月琴の平均はだいたい10ミリ,わずか1ミリですがかなり低めに見えます。外弦間:30,内弦間:22。

  いちばんカワイソウな箇所ですねえ。左右糸孔の下に,かなりぶッ太い釘が打たれています。内部から見るとまあ,釘が板つきぬけて,例の特殊な響き線にひっかかりそうな感じになっています。おそらく接着がトンでハズれたのを戻したんでしょう。材が唐木なんでかなり力も要ったハズなんですが,それにしても,こんなぶッ太い釘2本もブチこまんでもなあ。(泣)


  裏板 は現状7枚の小板に分かれています。状況は表板とさほど変わりませんが,左中央付近にチョークでなにか書いた痕があります。右から2枚目の板がかなりひどいフシのある板で,木理から見ても暴れそうなので,特に注意が必要そうです。
  表板に比べると釘打ちの作業がやや雑で,途中で曲がった釘をそのまま潰したり,折れ曲がった釘を叩きつけた痕が残っています。

  側板 は4枚。表面はかなり汚れてまっくろになってますが,材はカヤ。棹口のところで17ミリほどと,やや厚めで,接合は単純な木口同士の擦り合せ接着ですが,ニカワがトンでバラバラになっている様子。
  面板に打ち込まれたクギの影響で,数箇所表面にヒビやカケがあります。


  すでに棹を抜くため,面板の一部をハガしてありますんで,内部も見放題です。

  とはいえ,一枚桁に2種類の響き線という基本的な構造は,「赤いヒヨコ」や32号「ぬるっとさん」と同じ。本器のほうが内桁の位置が若干中央よりでしょうか。

  内桁は 棹孔の表面周縁部から167のところに位置し,棹の受け孔以外の穴があいてないほぼタダの板状態です。厚さは12ミリ,やや厚めですね。
  材質はおそらく棹の延長材と同じ。クリではないかと思われます。天の側板がわに「十二」と墨書。両端は側板の溝にハメこみになっています。

  2種類の響き線のうち,長い直線のものは楽器に向かって左の側板,内桁の下あたりに基部があり,わずかに下向きに向かいの側板の30ミリほど手前まで伸びています。
  先端をコイル状にした線と短い直線の組み合わせからなる,太清堂おとくいの特殊な響き線は,地の側板の右がわから,だいたい45度くらいの角度に傾けて取り付けられています。
  いづれの線も,材質は真鍮,胴材に小孔をあけての直挿しですね。

  さて,こんなあたりでフィールドノートをどうぞ。
  クギの分布なんかはこのほうが分かりやすいんじゃないかな。
  (画像はクリックで拡大)

(つづく)


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