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清楽月琴のスケールについて(1)

SCALE01.txt
斗酒庵 月琴をはかる の巻特別編 清楽月琴のスケールについて(1)

STEP1 はかりまくりすてぃ

  何度も書いてますが。
  庵主はほんらい文学畑のニンジンならぬニンゲンであり,この楽器に興味をもったきっかけも,自分の専門分野だった中国の古い童謡や民謡につながる手がかりが,なーんかないかなあ,というあたりで。
  音楽そのものについても,楽器についても,それほど深入りするつもりは毛頭微塵もございませんでした。

  しかしながら。
  いざ調べてみますと,楽器に関するかぎり,ほとんどの研究論文は,自分の手近にある一本二本の楽器をもとにあーだこーだとそれらしいことを書いてるのがせいぜいで,ごく基本的な音階や楽器の構造についての,きちんとしたデータもなにもない状態でありました。
  ほんらいなら文化やら歴史やらといった「現象」を論ずる以前に,きちんと整理され確認されていなければならないような,「モノ」に関する部分のごくごく基礎的な研究やその報告が,この分野では,まったくもって 「すっぽぬけて」 いたのです。

  ある本に 「月琴の音階は以下である」 と書いてあった,としましょう。
  しかしあなたの手元にある月琴を弾いてみると,音階はそれとまったく異なる,あるいはズレがある。ウチのがおかしいのか,とほかの月琴を弾いてみると,やっぱり合わない。そもそもその,「月琴の音階は以下である」という記述はどういう根拠をもとになされたものか分からない----こうした場合,それを信じられますか? 現実のデータにそぐわない文献資料を根拠に「月琴の起源は△△である」とか「月琴音楽はどこからやってきた」とか,やっぱりどっかから引っ張ってきたような説を展開されたとして,アナタ,それを「へーほー」といって感心できますか? 庵主は出自からしても文献を重んじる性質ですが,文献と実際のモノとの情報に乖離のある場合は,もちろん文献資料のほうを疑わざるを得ません。現実のなかで耳目を明らかにして,はじめて文を以ってそれを証するのが筋道であり。見えているモノ,聞こえている音を無視し,文のみに頼るがごときは,それがいくら高尚な文章であったとしても,所詮白馬非馬の謗りを受けるものとなりかねません。現実との間に空白・乖離があるなら,無視せずそれを明らかにし,埋め込んで,根っこのところから考え直し,やりなおすのが,ほんらいの道だと思われます。

  そうしたわけで,庵主は門外漢ながら,足元の底なし沼をせめて泥沼にしようと,泥田の刈萱ながらのデータ集めを開始したのでありました,いとおかし。

  月琴も,明笛も一時的とはいえ「大流行」した楽器です。弾く人,吹く人が少ないため,あまり見たり聞いたりするような機会はありませんが,大量に作られたため,また流行時期が短かく,急激に廃れたこともあって,かえってモノはたくさん残っています。またずっと使われ続けたものであれば,使用によって壊れ修理を重ねられたり,時代の変遷による改造が加えられたりして,オリジナルの状態が分からなくなってしまうことが多いのですが,この楽器の場合は同様の理由で,製作当初のオリジナルの状態がよく残っていると言えなくもありません。

  しかしながら,今と違って,3DプリンターもNC旋盤もなかった時代ですから,大量に作られたものは工作の振れ幅が大きく,たまたまそこにある一本がどういったものなのか,その一本のみからではうかがい知ることはできません。
  国産月琴の工作には共通の規格と言えるようなものがほとんどないので,それが海を渡ってきた唐物月琴を写したような,古式にのっとったものなのか,時代につれて変化した当時最先端ものだったのか。あるいは,その時代としてスタンダードなものだったのか,それともイレギュラー的な珍品だったのか----そういったことは,楽器の値段や,工作加工の巧拙,装飾の有無などとはまったくの別問題。楽器が音を出す道具であるからには,音に関係する部分の寸法や,音そのものによって判別されるべきものだと,庵主は考えます。

  さまざまな条件下による比較の中から,特定の事実を集めて証明する,重出立証という学問の基礎的方法は,もちろん一本二本の楽器のデータからなされるべきものではありません。データは多ければ多いほどよい。しかしながら当初は,「まあ,これだけ残ってるんだから,まずまず,どこかの音楽系の,おエラい誰かが何かやってるだろう。専門外だし~。」 と高をくくっていたので,データもほとんどとらず,修理だけやっていたものですから,自出しだけで50面,依頼修理でかかわった楽器を加えるとさらにけっこうな数となる現在でも,まともに記録が残っているのは,比較的最近扱った楽器しかありませんが,とりあえずかきあつめて表にしてみます。

  庵主は現在,月琴でほかの楽器ともふつうにセッションできるように,修理の際,最終的にフレットの並びを「上=C/合=G」の西洋音階のドレミに近く修正しているので,オリジナルのフレットの並びでの音階の確認は,フレットを接着する直前に行っています。そのためフレットがやや不安定な状態での作業であり,機材も市販のクロマチックチューナーですから,どこぞの研究室で大層な計測機器を使ってやらかしたもののようには精確なものではありません。まあ,だいたいの目安や参考程度にお考えください。


  表の最上段には楽器名や産地の情報があります。それぞれの楽器についてより詳しくお知りになりたい方は,ブログの「INDEX」よりお探しになり,ご覧ください。また,この部分のセルは「有効弦長」の長さを表しています。
  各表は「天華斎 (201509 福州)」とある楽器のデータ(有効弦長=409)を基準として,その表の横幅をウィンドウの幅の90%に設定し,これとの比較でそれぞれの楽器の表の長短が定められています。すなわち有効弦長が409より長い楽器は,表が長くなり,短い楽器は短いわけですね。まあ単純なHTMLの表ですので,表現に限界はあり,ご覧になっている画面のサイズによって寸法は変化しますが,楽器間の有効弦長の違いや,各フレット間の長さの割合の違いなどは,いちおう分かるようになっていると思われます。(なお「天華斎 (201509 福州)」を基準器としたのは,たまたまこれの表が最初に組まれたものだったためで,べつだんこの楽器が「標準的なもの」というわけではない)
  2~4段目はそれぞれのフレットで発音される楽器の実音の計測記録(音の記録のないものもあります),5段目は有効弦長と,山口の下辺を0として,そこからそれぞれのフレットの下辺(半月がわの辺)までの距離。これをもとに,それぞれのフレット間の有効弦長に対する割合を,それぞれのセルの長さを変えることで,おおまかに表現しています。 最後の段は備考欄で,山口から最終フレットまで,すなわち有効弦長に対するフレット部分の割合を表すため,バックグランド色を変えてあります。

  庵主が修理した月琴のデータのほかに,比較のため,早稲田大学のデジタルアーカイブにある「宇田川榕庵楽律研究資料」のなかの月琴の実測資料からいくつか,データをいただいて表に組んであります。唐物月琴に2面ぶん,国産月琴に1面,どちらも古い時代の月琴のデータとしては,最高に貴重なデータです。

  フレット自体の加工や,明笛の音階との比較から,当時,月琴のフレットは,実音を頼りに立てられたのではなく,おそらくなんらかの雛形や寸法表のようなものもとにして,その位置を定めており,そして,その雛形は各職人がそれぞれに作ったものと思われます。
  こうしたスケールの比較からは,その作者がどのような楽器を基として,月琴を作っていたのか,あるいは作者間の影響・関係が,読み取れるかもしれません。

  公開可能な(つまりいちおう表に組めるだけの記録がそろっている)庵主のデータは,いまのところ以下ぐらいなもので,上にも書いたように,完全・正確なものでは決してありませんが,楽器の復元製作もふくめて,なにかの役にはたてるかと思われます。
  また,もしお手元お持ちの楽器で,以下のようなデータを提供してくだされる方がいらっしゃいましたら,どうかご協力ください。


[唐物月琴]

  基本的には,清楽流行期に大陸から輸入された古式の中国月琴のうち,清楽の楽器として使用されたものを指します。
  天華斎などに代表される,福建省,特に福州茶亭街や南台のあたりで製作された南方タイプの楽器が中心ですが,福建省以外の地域,江蘇省や北京などでは同時代,これと違って,より棹が短く高音域の発音に特化した楽器も使われており,さらに四川省や広東省にも,異なるタイプの月琴が存在しており,ごく少数ではあるもののそうした楽器も入ってきています。ただしその中には,清楽とは関係なく,第二次世界大戦の前後に大陸土産として請来され,出自不明のまま,清楽楽器に混入せられたものも,かなりふくまれているようです。
  解放後に創作された中国現代月琴を除く,京劇などに使用されてきた伝統的な中国月琴は,おもに北方のタイプをもとにしています。南方型は胴内に響き線を有し,棹なかごは内桁までしか届いていませんが,北方型には響き線がなく,棹なかごが胴を貫通しているものが多いようです。
  古い実物資料,また随筆などの文献資料からうかがわれるところ,幕末ごろまでは輸入品も国産品も,あまり装飾のない楽器が主だったようですが,明治期に入ると装飾のある楽器が主となり,これが国産月琴の手本となっていったようです。中国では現在も演奏に使われる月琴の表面に,貼り付け装飾をする習慣がないことなどから,いま唐物月琴として残っている楽器の多くは,清楽が日本で流行するようになってから,実際に楽器として弾かれていたものとは別に,なかば装飾的な輸出用として製作されていたものである可能性もあります。

早大 テイタン蔵船来月琴
半月>
音階資料ナシ
[358]336090118144183201230
備考:アーカイブ画像(宇田川榕庵学律研究資料 8 より計測)

早大 趙連城作月琴尺度
半月>
音階資料ナシ
[389]386894124156194214243
備考:アーカイブ画像(宇田川榕庵学律研究資料 11 より計測)

  推測される楽器のサイズから考えると「船来月琴」のほうは,北方型の月琴であった可能性もあります。

天華斎 (201509 福州)
開放半月>
4D-174E-424F+204G+114A-25C-35D+145F+33
4A-204Bb+485C+185D-35E-115G-95A-36C+4
[409]4176104.5135165203226255
備考:基準器に指定,409=80%

天華斎 (38号 福州)
開放半月>
4D+64E-274F+394G+204A+105C+435D+305F#-44
4A+44B-295C+325D+145E+45G+375A+245C+48
[413]4377104135165206228258
備考

老天華? (23号 福州)
開放半月>
4D+44E-214F+204G+264A+45C#-495D+405F+39
4A-174Bb+495C-45D+75E-325G-225A-16C+2
[409]4375103135163207227254
備考:低音弦の音階に多少疑念

天華斎正字号 (=仁記? 福州 L氏)
開放半月>
4D+54Eb-54F4G-44A-375C-35Eb-265F#-42
4A-34Bb-145C-165D-145Eb-25G-85A
+5
6C-16
[407]3870102138160215231263
備考:胴上の原フレット位置には疑問

天華斎仁記? (25号 福州?)
開放半月>
4D+194E-224F+294G+294A+135C#-115Eb+235G
4A+144B-415C+275D+185E-65G#-275Bb-16D-29
[404]4575105135164209234262
備考:

玉華斎 (14号 福州?)
開放半月>
4D-104Eb+214F+214G-114A-395C+55D
-13
5F-45
4A-104Bb+185C+135D-175Eb-35G-225A-355B+25
[400]407099128153196218241
備考:

清音斎 (福州)
開放半月>
4D+114E-344F+314G+234A+255C+315Eb-385F#+39
4A-44B-495C+155D+155E-15G+215A+375C#+3
[393]387298130160201221253
備考:


[倣製月琴]

  「倣製月琴」というのは庵主が考案した名称で,多くは流行の初期に,日本の製作者が唐物月琴を模して製作したものですが,天華斎などのような,当時評価のあった輸入楽器や大陸で製作された楽器の贋作として製作されたもの,ラベルや装飾などによって偽装されたものも含みます。
  たいていの楽器は,材質や工作加工,また内部構造の相違などから唐物ではないことが判ぜられますが,腕の良い唐木指物師などが手掛けたものでは,国産か輸入品か分からないような例もないではありません。

小野東谷 (39号 不明 M.10's?)
開放半月>
4D-34Eb+314F-214G-164A-495C-265D-425F-33
4A-64Bb+385C-125D-215Eb+385G-335G#-5A6C-48
[418]4577105140164209230260
備考:

倣製月琴 (15号 不明 M.10's?)
開放半月>
4D+94E-344F+184G+184A+345C#-295Eb-265F#-17
4A+64B-405C+145D+125E+205G#-325Bb-206C#-26
[423]4782110144175217245270
備考:

太清堂 (40号 名古屋? M.10's?)
開放半月>
4D-34Eb+314F-214G-164A-495C-265D-425F-33
4A-64Bb+385C-125D-215Eb+385G-335G#-5A6C-48
[420]4880110135170212235260
備考:

太清堂 (32号 名古屋? M.10's?)
開放半月>
4D-14Eb+424F+114G-94A-235C-105Eb-465F#+29
4A-114Bb+365C-25D-185E-345G-285Bb-436C+49
[415]4678109138154208237265
備考:

倣製月琴 (琴華斎 不明 M.20's?)
開放半月>
音階資料紛失
[409]4571104139169205221253
備考:


[国産月琴]

  月琴は当初,清朝の商人により長崎を通じてわずかにもたらされる,貴重かつ稀少な楽器であったため,一般人には手の届かないものでした。寛政~文政年間にかけて活躍した荷塘一圭に,日本の職人に楽器を作らせた記録があり,その後,幕末期に東京派の祖・鏑木渓菴が自作したり,平井連山がやはり職人に楽器の製作を依頼したという記録があります。
  庵主の扱った中では,江戸西久保(現在の芝・飯倉町のあたり)の石村義治の銘のあった13号が文久3年製で最も古いものですが,糸倉のうなじの形や,フレット位置の設定などに,すでに明治後半の関東における国産月琴のスタンダードなスタイルが見られることから,この時期にはすでに,大都市圏においては,それぞれのスタイルの楽器が,数は少ないながら生産されていた可能性があります。
  初期の国産月琴には装飾のほとんどないものが多かったようですが,明治期に輸入楽器が以前より容易に手に入るようになってからは,当時の唐物楽器を模して,装飾を多く付けた楽器が主流となりました。
  関東の楽器は西久保石村や渓菴自作の月琴に近い特徴を有し,石田不識や田島真斎の楽器に代表されるように,棹は細くやや長く,大ぶりな楽器が多くみられます。ただし大手でも唐木屋才平の楽器のように,京阪の作家の影響が色濃く出ている例もあります。指板の先端が山口(トップナット)の手前までしかない工作は,鶴寿堂に代表される名古屋周辺の作家に多く見られ,松派および小林倫祥など京阪の作家の楽器は,唐物月琴にやや近く,関東の楽器と比べるとやや小ぶりであることが多いようです。

早大 月香所蔵清音斎(鏑木渓菴)作月琴尺度
開放半月>
音階資料ナシ
[422]4275108139168212235266
備考:アーカイブ画像(宇田川榕庵学律研究資料 008 より計測)

西久保石村 (13号 江戸 文久3)
開放半月>
4D-114Eb+494F+234G+284A+115C+45D-95E+2
4A-234Bb+465C+195D+235E-45G-125A-226B-8
[426]5078110152182228253275
備考:

唐木屋 (18号 東京 M.20's)
開放半月>
4D4E-304F+74G+114B-365C-15D-325F+14
4A-54B-405C-55D+25E-495G+15G#-5A6C-17
[410]4373100130160200221255
備考:

唐木屋 (ぼたん 東京 M.20's?)
開放半月>
4D-144Eb+304F-274G+54G#+334B+275C#+285E+7
4A-134Bb+385C-265D+45Eb+335F#+305G#+85B-37
[424]4780110142166202223250
備考:

唐木屋 (31号 東京 M.30's?)
開放半月>
4D+204E-304F4G+254A-255C+185D-5Eb5F+32
4A+114B-215C5D+185E-385G+75A+185C
[416]4880106139163210229259
備考:

福嶋芳之助 (26号 東京 M.20's?)
開放半月>
音階資料紛失
[420]4676106140172212235264
備考:

福嶋芳之助 (16号 東京 M.10's)
開放半月>
音階資料紛失
[420]4573102144170214234262
備考:

山形屋雄蔵 (29号 東京 M.20's)
開放半月>
4D+394E+54F#-484G+144A+285C+145D+195F#-17
4A+264B-45C+385D+55E+45G-105A+26C#-39
[418]5182113138172210230268
備考:

山形屋雄蔵 (20号 東京 M.30's)
開放半月>
4D4Eb+154F+184G+284A+225C+45D-65F+32
4A-34Bb+315C+105D+245E+155F5A-196C+14
[418]4686113144175210230265
備考:

石田不識 (27号 東京 M.20's )
開放半月>
音階資料紛失
[427]46.584108143173213238268
備考:

石田不識 (201310 東京 M.20's KS)
開放半月>
4D+194E-54F+224G+214A+175C+85D+375F+45
4A+124B-145C+145D+125E+155G-15A+196C+22
[428]5087110146175214240270
備考:

山田縫三郎 (201012 東京 M.30's 赤城山1号)
開放半月>
4D+124E+174F+134G+124A+405C+205D+235F#+12
4A+104B+95C+65D-45E+255G+25A+66C#-40
[428]4679107144168211233262
備考:

山田縫三郎 (19号 東京 M.30's)
開放半月>
4D+114E-224F-74G+254A+155C+305Eb-435F+39
4A-14B-245C-45D+95E-15G+95A+366C+10
[425]4481100139167204231260
備考:

柏葉堂 (17号 東京 M.30's)
開放半月>
4D+104E-294F-4F#4G+304A-395C+255D+65F+11
4A+44B-285C+175D+275Eb+395G+85A-146C+10
[412]4678104138161206229257
備考:

柏遊堂 (21号 東京? M.30's)
開放半月>
4D-314E-224F4G+24A-105C+95D-25F+22
4A-44B-185C-55D5E-125G-45A-126C-10
[421]4180100138165208229258
備考:


鶴寿堂 (101509 名古屋 M.30's バラバラ)
開放半月>
4D+284Eb+484F+154G+164A+75C+245D+245F+9
4A+234B-495C+135D+175E+85G+125A+266C
[428]51.579.5108.5144174215.5238266
備考:

鶴寿堂 (22号 名古屋 M.30's)
開放半月>
4D+344E-224F+154G+204A+75C#-475Eb-405F+40
4A+244B+325C+15D+95E5G+125A+106C+20
[425]5380108143173217240268
備考:

作者不明 (42号 名古屋? M.30's?)
開放半月>
4D+84Eb+414F+14G-94G#+485C5D+55F+35
4A+44Bb+355C-55D-175Eb+235G-155A-116C+18
[410]4878103134157203227259
備考:


松音斎 (33号 大阪 M.20's?)
開放半月>
4D+24E-254F+24G-174A-105C-175D-195F-7
4A+24B-435C-105D-215E-165G-275A-326C-26
[415]4677104133165203225256
備考:

松音斎 (45号 大阪 M.20's?)
開放半月>
4D-14Eb+444F-24G4A-205C-155D-405F-34
4A-34Bb+485C-65D-35E-285G-385A-486C-36
[413]4675105137164202223254
備考:

松鶴斎 (44号 大阪 M.20's?)
開放半月>
4D+114E-414F+64G+194A+415C+315D+335F-8
4A+74B-465C-65D+105E+345G+295A+186C-26
[419]5080106144177214236261
備考:

松琴斎 (30号 大阪 M.30's)
開放半月>
4D+184E-174F+194G+34A+65C+65D+205F-21
4A+174B-355C+145D-15E-45G-105A+46C-31
[407]4676103135163203226259
備考:

松琴斎 (201511 大阪 M.30's トラトラ)
開放半月>
4D+64E-304F+134G-24A+65C-105D-405F+8
4A+24B-335C+155D-25E+35G-255A-456C-8
[413]4678103137166201227255
備考:


作者不明 (41号 関東? M.10's?)
開放半月>
4D-204E-404F4G-404A-455C-385D-445E-48
4A-204B-495C-25D-305E-Eb5G-465A-446C-48
[415]4575105135165205225255
備考:

作者不明 (36号 関東? M.20's?)
開放半月>
4D+324E-154F+324G+124A+295C+425Eb-185F#-23
4A+284B-165C+235D+75E+255G+365Bb-306C#-31
[415]5080105.5138171212238265
備考:

作者不明 (28号 関西? M.30's?)
開放半月>
4D-94E-354F-134G-74G#+465C-465C#+255E+49
4A-104B-435C-115D-215Eb+325F#+485G#+265B+23
[438]4283107140170212234265
備考:



  以上,月琴の実音とフレット間隔の資料でありました。
  唐物月琴から国産月琴に移行してから以降,日本では月琴の大型化と胴体の薄型化が進行しました。この変化には椅子に座った姿勢から,地べたで正座という演奏姿勢の違いが,その要因として大きく関与していると,庵主は考えています。また音のほうから言えば,唐物楽器からして有効弦長が最大で1センチほどのび,全体としてやや低音への指向が見てとれます。これは単純には上記した楽器の形状の変化の結果とも考えられますが,伝統的な日本人の音楽の嗜好として,高音と速弾きを忌むという傾向のあることから,むしろこれも形状の変化の要因の一つ,であったとしたほうが良いのかもしれません。

(つづく)


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