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「臨時フレット」という考え方(1)

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斗酒庵 月琴の未来を探る の巻「臨時フレット」という考え方 (1)

  清楽月琴は4弦2コース,8フレット。
  C/Gのときで4Cから6Cまでの2オクターブ,間2音歯ぬけの13コしか音が出せません。

  そういうことを言うとよく,「だったらフレット増やせばいいじゃん!」とか「いっそ三味線みたいにフレットレスにしちゃえww」みたいなことを言うヒトがいますね。
  たしかにフレットを増やすかなくしてしまえば,出せる音数はいくらでも増やせますが,じつは,清楽月琴の音の大事な要素のなかには,「フレットの高さ」と「フレット間隔の広さ」というものも含まれているのです。

  フレットが高いので,運指に対する反応がリッチーブラックモア用のスキャロップギターなみにいいのですし,フレットが高いので弦が上下左右に振れる幅が広く,音色に深みを増しているのです。

  フレット間隔が広いので,それほど指に力をかけなくても確実に音が出るのですし,その広さがまた弦の振れ幅に一役買ってるわけです。

  個人的には半音含めたフルフレットだったりフレットレスだったりする一本は作ってみたいところですが,自作のウサカメみたいのはともかく,100年以上前の貴重な古楽器に余計なフレットをへっつけて,「時代への対応だ!」 とか 「だって必要じゃん!」 みたいなことをドヤ顔でいうのはどうかと思えなくもない。

  まあ,だいたいの半音はチョーキングでどうにかできますし,いざとなったら出ない音は飛ばして,出る音だけ合わせてれば(w)たいがいは済むことでありますが。それでも清楽以外の音楽をやる場合や,もっと音数の多い楽器と合奏する場合。また演奏する曲によっては,「どうしても必要な1~2音」が出て来ることがあります。

  そういうときに使うのがコレ。

  決まった名前はないので庵主は「臨時フレット」と呼んでます。
  修理や製作で出たフレットの失敗作をてきとうに削って,両面テープで貼りつけただけのシロモノですが,これならそんなに大したものではないので誰でも簡単に自作できましょう。
  フレットの丈がちょー高い楽器でないかぎり,材料はコンビニ弁当についてくる竹か木の割り箸でじゅうぶん。

  作るときは,あらかじめ貼りつけ場所をチューナ-で探り,高さの目安を見てから削ると(比較的)失敗が少ないですよ。断面を三角形にしたら,削るのはフレットの頭でなく底のほう。最初はカッターとかでざっくりと,後は紙やすりで少しづつ削って,平らでちょうどいいくらいを目指してください。

  写真はカメ琴に装着した場合(5F#)とコウモリさんにつけてみた場合(5F)。

  ポイントは3つ。

1)少し低めに作る。
  底になんにもつけないで置いた時に,次のフレットでちょっとビビるくらいが理想です。高さの調整は両面テープの重ね貼りで行います。

2)終わったらかならずハズす。
  両面テープの接着剤は,古楽器にとってあまりうれしいシロモノではありません。(修理屋としましては,どちらかといえば「怒」。)
  あくまでも「臨時」のモノと心得て,使い終わったらすぐにハズし,接着部分を布でぬぐっておきましょう。

3)演奏中にハガれても人を恨まない。(w)
  これ,大事です(w) あくまで自己責任でお願いしまーす。ということで。

  庵主は,作ったフレットの裏に「F」とか「Bb」みたいなことを書いて,ピックといっしょに持ち歩いています。
  ギグなんかのときは,底にあらかじめ両面テープを貼っておき,口で裏紙をペッ,とハガし,ちゃッ,とへっつけてみせたりもしますねえ----お客の前でドヤ顔でコレやると 「なんだなんだ?」 みたいにちょっとザワつくので面白い。(ただし退ける時にゴミ拾って帰らならんので,ちょとカッコ悪いですww)

  けっこうベンリですので作ってみてください。
  まあ,消耗品みたいなものなんですが(よく失くすしww),ちょと凝ってみたいかたは,フレットの作り方,以下のページなぞもご参照アレ。

(つづく)


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