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月琴WS@亀戸 2017年4月開催!

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斗酒庵 WS告知 の巻2017.4.23 月琴WS@亀戸 僕のほうが月琴をうまく弾けるんだ!! の巻


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 4月場所 のお知らせ-*


 ぼうやなのさ…
 ということで。

 2017年,4月の清楽月琴ワークショップは,23日,日曜日の開催 です!
 会場はいつもの亀戸 EAT CAFE ANZU さん。

 いつものとおり,参加費無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願い。

 お昼過ぎから,ポロポロゆるゆるとやっております。
 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもOK。

 初心者大歓迎。1曲弾けるようになってってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可です。
 50号は修理完了,ほかも間に合うかな?

 やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)

 お店には41号と49号の2本の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

 天神様の藤見には少し早いかな?
 花見のお散歩ついでにどうぞお立ち寄りください!

月琴51号/52号 (1)

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斗酒庵 50面越えたとたんに の巻2017.3~ 月琴51号/52号 (1)

STEP1 ごめん…来ちゃった(w)


 運命というものはクラスターする傾向にあります,とやら。
 前回,1年以上1面も落っことしてなかった庵主のもとに,松鶴斎のフグがやってまいりました。さあ修理!----と取掛かったとたん,あと2面も転がり込んできちゃいましたのよ。
 今のところ,見た感じではフグすけが一番の重症患者で,あと2面はさほどのこともなさそうではありますが。庵主のケーケンから言って,こういう時の外面がおキレイな楽器ほど,なんにゃら厄介な悪魔をその身に宿しているもの。外面がキレイければキレイくほど,庵主の不安はイヤますのでもありますなあ。

 51号,名前はまだない。
 受け取った瞬間に,うぎゅっと分かるほどの重さ。
 唐木をふんだんに使った高級月琴です。

 全長:635。
 棹本体と胴側は黒檀か紫檀か。重たく硬い唐木が使われています。
 糸巻はツゲ,フレットは象牙。表裏の桐板もかなりの上物。表板なんて細かい柾目がみっしりと詰んだ最上級品ですね。木目が細かすぎて矧ぎ目が分かりません。
 胴左右のお飾りも唐木製。半月は黒檀の板にツゲの飾りをかぶせたもの----こないだやった天華斎でさえ,下地の部分は染め板でしたぜ~。(汗)

 損傷は棹先の飾りである蓮頭と,糸巻が1本,トップナットである山口と棹上のフレットがぜんぶなくなっちゃってるくらい。
 あとはバチ皮のあたりに数箇所虫食いがあるほか,右の胴飾りの周囲に少し水で濡らしたような痕があるていど----見た感じはごくごく軽傷。なくなったものを補作してへっつければカンタンに甦りそうですね。

 問題があるとすれば,棹の取付け。
 唐木の棹本体に継いである延長材は広葉樹材のようですが,先端部分で厚みが5ミリほどしかありません。このせいか,棹なかご全体がややねじくれたようになっていることと,棹の基部と胴体の接合部に少し段差があること。そして現在,棹が山口のところで約1ミリほど,表板がわにお辞儀をしてしまっているのも,このなかごの工作のせいかもしれません。

 もともとの工作では,棹の指板面と胴表面が面一になっていたと考えらえます。これは月琴という楽器にまだ「慣れてない」作家がよくやらかす間違った設定です。
 全体にこれ,といった特徴がないので,作者については現状分かりません。接合部は1ヶ所少しスキマが出来てますが,ほかはがっちりと噛んでユルぎなし。表裏板の接着も完璧。棹や胴体の加工から言っても,木工の腕前はかなりもので,唐木の扱いも相当熟れている人のようです。楽器の経験もなくはなさそうですが,棹の取付けや独特な構造からして,清楽器の作家さんというわけではないと思いますね。
 かなり腕のいい三味線職か唐木細工の職人の作,といったとこでしょうか。

 唐木で作られているほかは,外見的にはさして特徴のない楽器ですが,内部構造に珍しいところが1点。

 表板の裏がわ,棹孔から75ミリのところに,幅10,厚さ5ミリほどの細長い板が貼りつけてあります。
 はじめは,単に板の補強として横に渡したものかとか考えていたんですが----さっき書いたようにこの楽器の板はかなりの高級品。その加工も矧ぎ目が分からないくらい精緻ですし,板自体もしっかり安定してます。
 小板の質がバラバラで,いまにもバラバラになっちゃいそうな質の板なら,そういうものをへっつけたくなるかもしれませんが,この板ならその心配もない。

 はっ!よもやギターなんかでやるブレイシング(力木)みたいな加工で,音をより響かせるための工夫か! なんても考えてみましたが,それならこの1本きりでどうにかなるもんでもなく,形状に工夫もない。そしてそもそも,月琴作家でそこまでこの楽器の音色の追及にイノチかけた工夫をしてる人はいない(w)ので,この推測は早々と消え去りました。

 どうやらこれも,棹なかごの問題に関係ありそうですね。
 この横板の厚みは,棹孔の上辺から表板までの間隔とほぼ一致しています。通常,棹なかごの表板がわの面は,表板と平行になっているものですから,棹なかごの加工が適当なら,延長材の表板がわの面がどこかでここに当たるはず。
 延長材が薄いので,それを支えるための補強なのか,棹の振動を胴体に伝えようとか考えた特別な構造なのか----ブレイシングのとこで言ったのと同じ理由から,前者に50カノッサ。(w)

 さて,見た感じごく軽症患者ではありますが,棹まわりの調整に思い切り苦労させられそうな予感が,ビンビンきてますねえ。

 胴のお飾りは……うん,これ何でしょうねえ
 「花」なのはまあ分かるんですが。
 同じようなフォルムの類例では,南画なんかの「蘭」を模した例があるんですが,花の感じは全く違いますね。
 根元で束ねてあるところからすると菖蒲とかアヤメのつもりかな,とも思えますが,ちょっとこの花じゃねえ。(w)
 あえて似たものをあげよ,と言われるなら田んぼの雑草としてポピュラーなもののひとつ,「ウリカワ」でしょうか。

 裏板には墨書と印が3種類。
 墨書は 「是共四弦弾/名月不陰/清怨還夜/来」----かな(自信はナイ)
 「これ四弦を共に弾かば,名月かげらず,清怨,夜に還り来る」ってとこか。 署名は「田子龍」。
 印のほうはほとんど解読不能。左下の1コだけ「原倉」かと思えるんですが,さて。





 52号は一目見て分かる,標準的な普及品の楽器。

 受け取るとき片手で……ヘタしたら指1本で持てるような軽さ(w)ああでも,庵主,こういう楽器のほうが 「月琴」 らしくてなんか安心します!!(ああ? 高級月琴~?……ぺッ!

 全長:655。
 材質はホオやカツラ。桐板も板目混じりの中級品。
 大流行期にさまざまなところで作られ,売られた,庶民の楽器ですね。
 こういう糸倉のアールが浅くて細長い棹の楽器は,関東の作家さんに多いタイプですが,この楽器には,見てすぐ分かるような作家的な特徴,てなものがありません。
 が----楽器を手に持った瞬間 「あ,この人,知ってる。」 というカンがビビンとキよりまして。資料をいろいろとひっくり返して調べてみました結果。

 うん,「知ってる」けど「分からない」人(w)でした。

 43号と同じ作者ですね。
 最初は楽器各部のカタチや寸法の比較から,明治国産月琴の最大手の一つ,浅草蔵前片町の清琴斎・山田縫三郎の楽器だろうと思ってたんですが。この楽器も含めて,改めて精査・比較してみると清琴斎の楽器と異なる点がいくつも出てまいりました。

 まず蓮頭。
 「宝珠」と庵主が勝手に呼んでるこの型は,普及品の月琴でよく見かける,簡単な彫り線だけで構成された,もっとも単純なカタチの一つなんですが。作者によってそれそこに違いがあります。

 左が清琴斎の楽器の「宝珠」,右が52号のです。
 分かります? いちばん外がわの線の曲りが逆になってるんですね。


 次に胴飾りの「菊」。これもまた標準的な楽器でよく見る装飾ですが。ありふれたものであるだけに,蓮頭の「宝珠」同様,作者の特徴の出るところ。

 左画像が清琴斎の菊(画像が少々粗くて申しわけない)。大流行期,大量の楽器を世に送り出した最大手のメーカーなので,このほかにも時期により楽器の等級により,いくつか違うデザインの菊のお飾りが確認されてますが,これはもっとも標準的な型の一つで,それぞれ違う楽器の画像からとったものです。
 花のすそが丸まってるのと,いちばんてっぺんの三叉になった葉っぱの表現が特徴的です。
 上右の52号/43号の菊と比べるとかなり違ってますね。52号の葉っぱはもっとスマートですし,花ももすこしすそ広がりになってます。


 そして内部構造。
 この楽器と43号の響き線の構造はまったく同じです。

 裏板と胴材の間で響き線の基部をはさみこんで曲げただけの単純な直線型。
 清琴斎の楽器にも,似たような固定形式をとっているものがあるのですが,線自体の曲げかたとかにもう少し工夫があります。 こちらの方法ですと,基部を挿しこむ木片を接着する必要もありませんし,基本直線なので曲げも単純。調整もたやすく,より量産に特化してますね。

 調べているうちに,以前修理した首ナシの35号も,同じ作者の作らしいということが分かってきました。


 前は気づかなかくって,外見的な特徴から「清琴斎」の作じゃないか,としてたんですが,フィールドノートを出して比べてみたら,寸法とか内桁の構成,響き線の構造とかが43号とまったく同じでしたよ(52号とは下桁の加工のみ異なる)。
 35号のオリジナルのお飾りは,修理で猫に換えてしまったので,手元に残ってました。それを思い出して,引っ張り出し,比べてみました。
 上右画像。右の茶色いのが35号のお飾り。左の黒っぽいのが今回の楽器のもの。 35号のほうは,デザインがいくぶん単純化されてますが,その彫りはほぼ同じですね。「彫りの手」はウソつかなーい。(w)


 35号は首ナシだったんで比べられませんが,43号と52号の棹なかごも良く似てます。
 どちらも短くて,片がわの辺に浅いエグレがあります。清琴斎のなかごも短めなものが多いのですが,だいたいはふつうのスラリとしたカタチで,こういうエグレのついたものは見たことがありません。
 なかごの腹に「十五」「四号」,棹口の上のほうにも「十五」と思われる書き込みがあります。43号にはなかったもので,15面めなのか4本めなのかちょっと定かではありませんが。庵主のところに3面も転がり込んできたくらいですから,そこそこの数をこさえた人だったとは思いますよ。

 さて現状,どこの誰の作なのかは分かりませんが。寸法や形状の類似から,この作者が清琴斎の楽器の外見をお手本,というかコピーして,この月琴という楽器を作ってたろうことは間違いなさそうです。(うん,カンタンに言っちゃうとパク…いや「インスパイヤ」ww)
 響き線や棹なかごといった内部構造に独自性が見られる,ということは,それを完全に分解して調べつくす,までのことはしなかったのでしょうね。


 糸巻,山口と棹上のフレットが全損。この楽器の古物としては欠損部品の少ないほう。でも,あちち……糸巻ァ1セット削らなきゃですね。
 胴体や棹の染色がまるで新品のように残っています。スオウというのは,けっこう褪せやすい染料なので,ここまでキレイに残ってるのは珍しい。
 なんせ,これでも百年以上も前の楽器なんですからね。

 表裏の板も洗った痕みたいにまッちろですが…………なんにゃらでっかい虫食い孔が数箇所,棹と表板にあいてますねえ。これがちょっと気になりますが,器体にそのほか目立った損傷はなく。この虫食いの被害状況次第ではあるものの,これもまあ軽症患者さんのようです。

 さあて,1年以上もお留守にしていた自出し楽器。
  一気に3面に増えてしまいましたが。

 とりあえず,データを採りながらのんびりと。
  じんたかやっていくことといたしましょう。


 いつものことですが,レポート見て気になった方はご連絡を。(*ただし,業者・転売厨お断り*)
 ツバつけといてもらえると,修理の時,モチベーションあがりますからねえ。(ついでに酒手はずんでもらえると,もっとうれしいww)
 前の子たちは何面か,1年以上婚活浪人してましたがさて,この子らはどうなるやら。
 50号から52号まで,3面。
 お嫁入り先,ぼしゅうちゅうです。

(つづく)


月琴50号フグ(2)

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斗酒庵 一年ぶりで50面を越える の巻2017.3~ 月琴50号 フグ (2)

STEP2 最後はミルコ

 さて,調査・観察の結果,松鶴斎の作と推定された50号。
 では修理にまいりましょう。
 保存状態はけしてよくありませんが,糸倉や棹に損傷はないし。糸巻も4本,オリジナルと思われるものがそろっています。
 問題は表裏板と胴材の虫食い状態ですが----ふっ……かつて虫食いスカスカだった49号,そこに木瞬まみれだった長崎から4号を黄泉還らせたこの庵主,どんな虫でもかかってこいやーーーっ!!(あ,冗談です。虫食いはヤです,ヤですってばよ!!)

 まずは内部確認のためハガした裏板にラベル貼り。
 部品数の少ない月琴とはいえ,こうした細かい作業をきちんとやっていかないと,あとでけっこうエラい目に遭ったりしますからね(経験者)。

 あちこちにあいた穴ポコがなんとも痛々しいかぎりですが。49号のように胴材の内部まで食われているわけではなく,ほとんどの食害は,接着部のニカワの層およびその木部に浸透した部分まででとどまっているようです。

 虫の食害による全体の損傷をあらためて観察・確認したところで,上物の除去に取り掛かります。
 いつものように,フレットやお飾りの周囲に筆でお湯をふくませ,濡らした脱脂綿をかぶせてニカワを緩めます。ビニールやラップを軽くかぶせておくと,脱脂綿が乾かないのでいいですよ。
 ほとんどの上物は10分ほどではずれ,いつもはけっこう手間取るバチ皮も比較的ラクにハガれましたが,右のお飾りと半月が少し手ごわかったですね----と,思ったら。

 URYIIIIIIIIッ!!

 木瞬かよぉッ!!

 量は少なかったものの,ほかにも数箇所こびりついてましたね。こないだの長崎からのと違って「へっついてりゃイイや」くらいのモノだったんでまあ助かりましたが----

 駄目駄目駄目駄目駄目駄目ェッ!!
 楽器にィ,木瞬,絶対イィイイイ!!!

 じつは木瞬,桐とは相性が良くないらしく,あまり付きがよろしくない。たいていの場合は滲みこまず,板の表面でカリカリの層になってますね。とはいえ,桐のほかの木には思いっきり滲みこみやがるんで始末が悪い。今回も,板のほうにはほとんどついてませんが,ホオの木の半月の裏はべっとりカリカリになってます。
 この半月は,古物屋に持ち込まれた段階で外れていたと思われます。板のほうに,剥離した時についたと思われるエグレが数箇所。板の表面がむしられてるくらいですから,これはニカワの劣化による自然な剥離ではなく,使用中・もしくは保存中の糸の張力によるものだと思われます。

 月琴はお三味の絹弦を張ってるかぎりにおいては,それほど弦のテンションの強い楽器ではないので,基本的には張りっぱなし。演奏の時に調整するていどでいいのですが,保存の状態や使用の度合いによってはこういう事故がけっこうおこります。半月がはずれてる,というのは,古物の月琴ではよく見られる状態の一つですね。

 これは基本,へっつけてあるだけなので,キレイにすぱーんっとトンじゃってる場合は,もとの位置にニカワでへっつけなおしてあげればいいだけです。固定するまでに1~2日かかりますが,ふつうそれほどタイヘンな修理にはなりません。こんなふうに----

 木瞬とかさえ使われてなければ………うううう。

 いつもですと板の清掃は最後のほうでやるんですが,今回は板があまりにもまっくろくろなため,上物除去のついでに,軽く清掃しておきます。
 なんせこのままだと,どこが要修理個所やら分かりにくいもので。
 いつものように重曹を溶かしたぬるま湯で Shinex を使いコシコシコシ----うぉ…軽く拭っただけなんですが,すげえ色の月琴汁(w)が出ました。

 濡らした板が乾いてくると,色の濃い部分が線のように浮かび上がってきます。ここが虫に食われちゃってる箇所。板が完全に乾いてしまう前に,これを目印にほじくってしまいましょう。

 かなりスカスカになりましたが,まあこんなもの。
 板の虫害も周縁の接着部と小板の矧ぎ目部分が中心で,さいわい横方向への広がりはあまりありませんでした。エグレる部分はエグり,切り取ってしまったほうがいいような箇所は切り取ってしまいます。

 ここまでの作業は表板を胴体に付けたままの状態でやっています。といいますのも,表板は再組立ての際に最初の基準となる部分ですので,こうして被害の状況を完全に把握してから分解したほうが,後々の修理の工程を考えやすいからですね。
 これで見る限り,板を中央と左右の三つぐらいに分けてそれぞれを補修,胴に貼りつける時,中央の左右にスペーサを入れてつじつまを合わせるのがもっとも良さそうです。板が多少つぎはぎになっちゃいますが,オリジナルで11枚も継いでますからね,小板が2~3枚増えたところで問題はありますまい。
 裏板同様かなりニカワが劣化しているので,表板も周縁部はたやすくハガれたんですが,内桁はやはりしっかりヘっついてました----松鶴斎,ちゃんと分かって作ってらっしゃる。

 取り外したお飾り類と半月は,ぬるま湯で表裏をキレイに洗ってから,丁寧に水気を拭取って乾燥。薄板で出来てるお飾り類はすぐに新聞紙にくるんで,板にはさんで重しをかけときます。
 乾いたところで,半月の木瞬を除去しときます。
 瞬間接着剤のハガシ液(アセトン)を底面に塗るんですが,そのままだとすぐ揮発しちゃうので,すぐにひっくりかえしてクリアフォルダの上とかに伏せておくと良いです。
 しばらく置いて,やわらかくなった層の表面を刃物でこそぎ,布で拭い取ります。けっこうな層になっちゃってるんで,一回や二回の塗布では除き切れません。けっこう時間がかかります,くそぅくそぅくそぅ。

 板の周縁と胴体の虫食い箇所には木粉粘土を充填します。胴体の虫食いの深いところには,ゆるめに練ったのを注射器で押し込みます。
 木粉粘土は扱いがラクで,なによりもとが同じ木ですんで,オリジナルの木部への負担や影響も小さくて済みます。やや「ひけ」が大きいので,きっちり充填するためには,何度か作業をくりかえさなきゃなりませんが,そういうあとでの修正もききますし,柔らかいので充填後の整形も容易です。
 ただそのままでは,言うならオガクズのカタマリ----あまりにモロく,強度がありませんので,基本的には力や衝撃のかかる部分には使用できません。また水分にも弱いので,このままだと,接着で濡らした際,表面からポロポロ崩れちゃって,せっかく充填した意味がほとんどなくなってしまいます。
 そこでここに最近開発した新技法を。

 2液式のエポキを練る際にエタノを少量加えて緩めたもの。表面を整形した充填部分にこれを塗って滲みこませます。強度の必要な個所だと,木粉を直接エポキで練ったパテが有効なのですが,それだと柔らかい木部には硬すぎて,整形の時にオリジナルの木部を痛めてしまうことが多いのです。こういう楽器内部の虫食い箇所とかは,基本,表面はほかの部材でカバーされているものなので,虫食い内部が完全に充填されていればそれでよく,あとはその後の接着作業等に耐えるだけの強度が表面にあればじゅうぶんです。
 前の修理記でも書きましたが,エポキは粘度が高いので木部への滲みこみはあまりなく,こうした充填部分に塗った場合は粒子の間がスカスカの木粉粘土のほうに,よぶんに滲みこむのですが,エタノを加えた緩めた場合,それがいくぶん深くなり,充填部の表面にこちらがだいたい必要とするくらいの強度の層ができるんですね。
 滲みこむ,ってもたかが知れてますから,このくらいなら,もし取り除く必要が出来た場合でも,虫食いの充填箇所ごとほじくっちゃえばいい----エポキってのも,くっつけて固まっちゃったら,破壊するしか分離の方法がない,っていうある意味,木瞬より最凶最悪の接着剤ですんで,その使用には慎重にならざるを得ませんが,個々の範囲がせまく,またこうして除去の方法がある場合には,限定的に使用するのも構わないと思います。

 いつも書いてるとおり,「壊れるべきところ」を壊れないようにしてしまうのは修理でも何でもありません(w)が,本来「壊れなくてもいい」ような部分に関しては,こういう「壊れない」技術があるなら,伝統的な技法に拘泥する必要はありません。この食害はこの楽器本来の使用とは関係がなく,また構造体として「壊れるべきところ」でもありません。よりよい方法があるなら,そうしたものはどんどん使って行きたいと庵主は思っています。
 まあもっとも,しくじってもわしゃ知らないんで,貴重な古楽器に使うなら,自己責任でやってね。

(つづく)


月琴50号フグ

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斗酒庵 一年ぶりで50面を越える の巻2017.3~ 月琴50号 フグ (1)

STEP1 土に一晩埋めておくと治るそうです

 自出し月琴も40面を越え,資料としてのデータ整理の段階に入ったのと,このところ依頼修理がけっこうきたのもあって,自腹を切っての月琴購入をしてない庵主でありました。
 49号の購入が15年の11月末っすから----ふむ気がつけば1年以上,1面も落としてなかったんですねえ。

 というわけで,50面めの楽器が到着いたしました!

 いや正直,マイナーな分野でマニアックなことしているわりに,庵主マニア気質・コレクター気質がないもので数を誇るつもりなぞありませんが(いままで手に入れた楽器もほとんど他人に譲っちゃってます),「50」っていうとなんかひとつ「大台」みたいな区切りの数っぽくて,さすがに少し萌えますね。(w) まあ,リアルの楽器なんかなくっても,整理されたデータさえどっかに大量に転がってるんだったら,わざわざおなかイタくしてこんなに何面も買ったりゃしないんですけど,先行研究者の皆さんが,まともに使えるようなデータ,誰も残してくれてないんで。


 自出し月琴50号----コードネームは箱に書いてあったこんなコトから。

 アンディ……いやそれとも「かわぶた」と書く,中国では川にいる,食べたらひっくり返る系のほうなのか。 はっ!もしや,ダンボールだけにハコ----あ,いやあっ!!座布団持っていかないでえっ!!

 かなり汚れてまっくろくろですが,さてさて,所見を。

 全長:630。蓮頭は欠損。
 棹はやや長めでスマートな感じですね。
 糸倉のアールは浅く,基部のくびれもごく浅い。うなじは短めで,棹背はほぼまっすぐ,全体にすっきりとした印象のある楽器です。

 棹なかごはほっそりと長く,表面加工は粗めですが,丁寧な作りになっています。
 糸巻はそこそこ使い込まれた様子。あちこち削れちゃってますが,三本溝の六角軸ですね。

 胴体は縦:350,横:355。厚みは36。
 表裏ともにそこそこ目の詰んだ柾目の桐板が使われています。
 左右のお飾りは 「鸞」。
 中央飾りがなくなってますが,日焼け痕から見る限り,扇飾りと同様,よく見る意匠のものだったと推測されます。

 フレットは骨製。4枚残ってますが,棹上の1枚は幅から考えて,後で第1フレットをてきとうにへっつけたものでしょう。

 バチ皮はヘビ,あちこち破れたり少し欠けたりはしてますが,そこそこ残ってるほう。

 半月は蓮花の模様をあしらった曲面タイプ。
 棹と胴側部,この半月はホオでできてるようです。



 全体の様子や材質から,一般的な普及品の楽器と思われます。作風からすると関東の作家さんだと思うんですがさて----外がわからの観察・計測もあらかた済みましたので,裏板ハガして,内部を確認しましょう。

 うぷぷぷ……あちこち虫食いがあり,楽器を振ると粉が散りますねえ。
 虫食いもそうですが,保存があまりよくなかったらしく,かなりニカワが劣化してるので,割れてるとこから刃を入れて回したら,周縁はかんたんにハガれました。でも内桁はしっかりくっついてるようですね。
 ----うん,いい作家さんだ。
 このところよく書いてたように,日本の作家さん,とくに三味線職出身の方の作った楽器なんかは,この内桁の接着がおろそかなことが多いんです。この楽器は,構造上内桁がしっかりへっついてないと,ちゃんとした音が出ません。逆にそれがちゃんとへっついてるということは,この「月琴」という楽器についてちゃんと分かって作ってるヒト,だってことですね。

 さて,ではベリベリベリっと………

 うん----作者が分かりました。(w)



 斜めになった内桁,響き線の形状。
 そして上桁に片方だけあけられた音孔。
 棹は長く,スマート。

 「松鶴斎」さんですね。

 ちょっと前に修理した44号の作者さんで,庵主言うところの大阪 「松の一族」 の一員(w)。松音斎や松琴斎と関係があると思われる作家さんです。

 この斜めになった内桁の構造は,松音斎のものを受け継いでいますが,楽器の外見的な形状はいくぶんトラッドな関西のスタイルからはずれ,関東の楽器っぽい感じになっています。清琴斎山田縫三郎とか唐木屋才平の楽器に似てますが,この両大手より生産数は少なかったようです。

 ふつう作家さんは,ほかの作家さんの楽器の外がわは真似できても,内部構造まではそうそう同じにはできません。もちろん今も昔も,完全分解・徹底調査>>>完コピ! というワザあ日本の職人さん,得意なので,買ってきた楽器をばらっばらにして,内部まで真似るくらいのことはけっこうしてたでしょう。
 しかし,構造は真似できても,作業の手順とかちょっとした工夫といったものは,実際を見たことがなければ,そうそう同じにはできないものです。
 外見的にはかなり違ってるんですが,松音斎と松鶴斎の楽器の内部構造には,そういう直に作業を見て覚えた人の,手熟れた感といいますか,自然さといいますか。ただ寸法を測って真似しただけじゃない,自然な類似が感じられるんですね----まあ,このへんはデータ化できないから,あくまで「推測」の域は出ませんが。(w)

 たとえば,唐木屋の楽器なんかは,内部構造までもふくめて松音斎の影響をかなり受けてますが,棹なかごや響き線の形状や,側板の加工などにはかなりの独自性が見られます。松音斎と松琴斎の場合はまたこれらとは違って,技術的には同じにできるのに同じにしてない,というか,作業の簡便化や経済性の観点からあえて違う方向に進んでる,みたいなところもあります。

 この人の楽器で「鸞」の飾りのついたものを,庵主は今回はじめて見たんですが,「鸞」の頭の上の羽根の表現にちょっと特徴があるので過去の画像資料を探してみましたら,いままで「唐木屋」か「菊芳」の作ではないか分類していた楽器の中からいくつか該当するものが出てきました。

 唐木屋の楽器の胴飾りにも似たのがありますが,彫りがもっと深くて丁寧ですねえ。顔のあたりなんか比べてごらんなさいよ。ちなみに唐木屋の楽器には,上にあげた松琴斎のとそっくりなトリさんをつけてるのもありました。どんだけこの一派をインスパイヤしてるんだよ----って感じもしますが,実際扱ったものから考えると,内部構造に違いがあるし,唐木屋のほうが,こういう細かい仕事は若干丁寧だったりしてます。(w)分業に余裕のある大手だったからかな?
 こうしたものをチェックして再分類。

 まあ間違いないとは思いますが,ラベルがないんで確実ではありませんから,これも分類上は 「松鶴斎?」 としておきましょう。


 というわけで,今回のフィールドノートをどうぞ----
 画像はクリックで別窓拡大されます。

 虫食いの状況なんかは,こちらの絵のほうが分かりやすいかと。
 例によってデータ吸いつくしたこの絞りカスは,きちんと修理して下界に戻させていただきます。
 今回の楽器----ひさびさに 「かなりスゴそう(楽器のグレード的な意味じゃなくってww)」 なんですが,修理記を見てそれでも欲しくなったらご連絡を。オーナーさん決まっててくれると,作業のモチベーションあがるしねえ。

 うむ,さてどうなるやら。


(つづく)


長崎よりの月琴4(6)

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斗酒庵 依頼修理の続く2016.12~ 長崎よりの月琴4 (6)

STEP6 はるかなり南の空は

 さて,これはなんでしょうね----日常メンテレベルの作業のはずの,棹なかごの再接着が,なぜかうまくいきません。
 なんどニカワを流し込んで固定しても,見た目的にはピッタリくっついてるようになるんですが,ちょっと力を加えるとまたすぐ割れちゃうんですね。

 原因解明のため,まずはいちど棹なかごを分解してみました。

 おや……延長材の先端が,部分的にツルツルになってます。指で水を着けてみても見事に弾いちゃいます。接着剤がきかない原因は,まずこれみたいですねえ。
 これはおそらく,擦り合せの調整のとき,やりすぎちゃった箇所でしょう。
 この楽器の棹はクスノキ,一木造りではありませんが,延長材も同じクスノキで出来ています。樟脳をとるくらいですから,クスノキには油分が含まれています。油分を含んだ木は,油やロウで磨かなくても,ヤスリの目を細かくしてゆけば,表面はそれだけでテッカテカになってくれるんですが----それが逆にアダとなることもあるようで。
 棹基部のウケと,ピッタリ噛み合せるための精密な調整作業が,「磨く」のと同じになっちゃったんでしょうね。こういう場合,慣れた職人さんなら 「ぴったりに調整した」 あと,粗めのペーパーなどでいちど表面を荒らしてから接着作業に入るのですが,この原作者さんは,そこまで頭が回らなかったものと見ゆる。(w)


 さらに,悪いんですが----一生懸命やったその噛合せ調整の結果自体にも問題があるようで。根元部分はがっちり噛んでるんですが,先端がわずかに細すぎて,延長材がウケの中でぐらぐら動きます。これではいくら再接着してもダメなわけです。
 けっきょく先端表裏を削りなおしました。この部分は,挿しこんでるだけでも,延長材が落ちないようになってれば理想ですね。
 そこまで調整したところで,#240くらいのペーパーで接着面を荒らし,筆で何度もお湯を塗って,水分をよーく含ませておきます----接着面をわざと荒らしておくこと,ふだんより多めに水分を含ませておくこと。 唐木や油分の多い木を相手にする時には,接着の前にぜったいやっておかなければならない作業ですね。

 実際に分解して詳しく調べてみるまで,外面的にはどこが悪いのか分からないくらいの出来でしたので,意外と手間取りましたが,今度はだいじょうぶ。
 ちょっとやそっと力を加えても,割れなくなりましたよ。


 糸倉や山口取付け部などにあったネズ齧りの痕も埋め,棹全体をカテキューで染め直します。


 そういえば,前に修理した47号もクスノキ製で,染色はやっぱりカテキューでした。

 聞いた覚えがありませんが,クスノキにカテキュー,ってのはなんかキマリでもあるのかな?
 それとも 「月琴の材料としてクスノキを使うような楽器屋さん」 てのにある染料が,カテキューしかなかったということなのか……。
 クスノキを木材として使うとこといえば仏師か指物,楽器屋だと太鼓屋さんあたりですね。指物屋さんや唐木屋なら,もっといろんな染料持ってるはず。琵琶やお箏,三味線職だと逆に,それほど使わない染料かもしれない。そうすると,太鼓屋さんかなあ。
 太鼓屋さんが胴の染めに何を使ってるのかは知りませんねえ。こんど機会があったら聞いてみましょう。


 新しい山口は国産ツゲで。当初は胴面がこんなにアーチトップになってるとは思ってなかったんで,そのまんま測っちゃった結果,棹が表がわに傾いてると考えてましたが,板表面のアーチになってるぶんを考慮して,あらためて測定してみると,胴側部の水平面に対し3ミリほど背がわに,ちゃんと傾いていることが分かりました。

 新しい結果をもとに,棹の取付け調整をします。工房に来た時には,棹基部のへんなところにスペーサが貼られてたせいで,棹の指板部分と胴体面に段差ができてました。もとついてたスペーサを削り落とし,あたらしく反対がわに貼付けてまずそれを解消。角度・傾きの調整をしながら,棹の基部と胴体面の接合部を面一に近づけてゆきます。

 さらに,この期に及んで,棹の取付け位置が若干右に寄ってしまっていることが分かりましたんで,棹孔を削って調整。ズラしたぶんにはスペーサを埋め込みます。同時修理の天華斎では1センチくらい削っちゃいましたが,さすがにこちらは数ミリていど。とはいえ……同じ時期に来た楽器にはふしぎと,かならず同じような故障があるもんなんですねえ。

 弦を張るのに必要な部品がそろったところで,半月を戻しましょう。


 いつものように,オリジナルの位置を参考に,棹から糸を張って左右のバランスを見ながら,もっとも適当な位置を探ります。
 手前の,バチ皮の貼ってあった部分がご覧のように重症なので,2ミリほど下げた位置で接着することにしました。

 あとはこの半月,もとは底がほぼ真っ平らになっていました。
 ふつうの月琴なら,それで良いんですが----原作者,おま,表裏がアーチ構造になってるの忘れてるやろ!----ということで。周縁が浮き,けっこうヤバい状態でへっついてましたんで,胴体の微妙な盛り上がりに合わせて調整します。
 まずは手作業で中央あたりをすこし削って,仕上げは胴に両面テープでペーパーを貼り,そこでゴシゴシ。
 接着面をより胴体にフィットさせてから接着しました。


 うおっし,あとは仕上げだ!!


 工房に来た時,へんなモノへっつけられてた蓮頭には,コウモリを。いつもなら正面向きですが,今回は蓮頭だけにちょっとはすに構えた風な感じで(座布団-2)。
 あとは棹上の柱間のお飾りと…オリジナルがどうしても気に食わないので,中央のお飾りを作ることにしました。柱間で残ってた飾りは「霊芝」と「瓢箪」と「魚」,これに新しく「蜂」と「冠」,「蝶」と「万年青(おもと)」を彫り,組み合わせて,さまざまな吉祥を表す意匠となるように仕立てます。
 左右と中央の扇飾りにはオリジナルのものを染め直して使います。扇飾りはやっぱり手が違うと思いますね。ほかの楽器からの移植でしょう。中央飾りは梅に鵲(かささぎ)にしました。これも吉祥模様の一つですね。

 フレットは竹で。
 いつものように古色付もばっちりです。
 オリジナル位置に置いた時の音階は----


開放
4C4D-254Eb+334F+74G+74A-55C+185D+55F+29
4G4A-284Bb+325C-75D-55E-125G+65A+16C+30

 それほど波瀾もなく,かなり正確な清楽音階に近かったようです。

 出来たものをへっつけて。
 師走も末のクリスマス。
 2017年12月25日,長崎よりの月琴4,なんとか年内に修理完了!!!

 はあ…これで気兼ねなく年を越せますですう。
 しかしながら,最後にもう一度,これだけは言っておきますね。

 楽器に木瞬,絶対ダメ!!!!

 しかも,虫食いで粉いッぱい詰まってるとこにコッテリってアンタ…小石川のムクの木に逆さ磔にされても文句は言えませんからね,けけけけ。
 …おっと,庵主,SAN値がまだ回復してませんので,失礼。

 記事のなかでも書きましたが,今回の修理で苦労させられたものの一つであるアーチトップ構造は,作者が音質の追及やらをするためにやったものではないと思われますが。
 こうやって胴体がきっちり箱状に密閉されていれば,それなりに効果を発揮するようです。音の広がりが,楽器前面方向だけでなく,かなり分散されて心地よい感じになってます。

 響き線も「鳴らすため」のよけいな構造を付けられちゃってますが,もとが寸法としての振幅幅の小さい渦巻線ですので,演奏姿勢を急激に崩したりさえしなければ,よけいな胴鳴りもなく演奏できます。
 渦巻線特有の,スプリング・リバーブ風な余韻が,ぐにょんぐにょんかかってて,なかなか良いですねえ。

 胴体と棹の重さのバランスがすこし悪い気はしますが,慣れればまあ問題はないでしょう。すこし早い曲だと,楽器が手から離れがちになりますので,ちょっと注意してください。

 また,原作者・前修理者の仕業も相俟って,もとの状態がかなり劣悪だったと言える1本で,修理もかなり大がかりなものになってしまったため,器体にすこし無理がかかってる点もあるかもしれません。保存・使用の状況によっては,表裏の板などに今後なんらかの故障が発生するかもしれませんので,何かありましたらご連絡を。

 ちなみにお飾りのおもな意匠は。
 蓮頭が 「福縁連至」,棹上がハチとカンムリに胴上の霊芝を加えて 「冠上加官」,チョウチョとオモトで 「吉慶万代」,中央飾りは 「喜事眉睫」 です。 が,ほかにも組み合わせでいくつかの意味が生じるようになってますので,楽しんで読み解いてみてくださーい。

(おわり)


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