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フレットがポロリしたら

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月琴ファーストエイド の巻フレットがポロリしたら

STEP0 世に悲しみのつきぬよう,フレットポロリは月琴の宿命。



 清楽月琴のフレットはポロリします。

 どんなにしっかりへっつけてても,何時の日か,というか,まあけっこうしょっちゅう,ポロリとはずれよります。

 清楽月琴のフレットがポロリするのは,ごくふつうのことなので,これを直すのも,楽器のホコリを払ったり,糸を張ったりバチ皮のめくれをちょいと直したりするのと同じくらいのこと----この楽器持ってる以上,どッちにせい必ずやらなきゃならなくなる 「日常のメンテナンス」 のひとつ,だと考えてください。

 ----さあ,もうアキらめて,さッさとやったやった。(w)


STEP1 水で濡らすだけ。

 とはいえまあ,はじめてポロリするとけっこうビックリしますよね。

 ----でも,慌てないで。
 …おい,その手に持ったボンドとか瞬間接着剤は捨ててもらおうかッ!
 さもなくば,撃つ!!

 カンタンにポロリする,ということはへッつけるのもカンタン,ということでもあるのです。

 はじめはもっともカンタンな直しかた。
 まずフレットの裏と,そのフレットのへっついてたところを筆や綿棒でちょっと濡らしてみましょう。
 5分くらいおいて。
 ちょっと触ってみて少しでもベタつき感があるような大丈夫----接着剤のニカワはまだ生きてますので,次のようにすればだいたいはへっつきます。



STEP2 ニカワをつけよう。

 STEP1の修理はまあ,あくまで応急処置的なもので。
 2度ほどポロリをくりかえすと,ニカワの接着力がなくなって,へッつかなくなってしまいます。
 また,もともとニカワが薄かったり(足りなかったり),劣化して接着力が落ちちゃったりしている場合。
 何度やってもすぐポロリしちゃう場合などは,ニカワを足して接着しなおします。

 ほかのサイトとか,うちの記事で楽器修理の様子見てくれてるヒトだと,「ニカワで修理するなんて難しいことできないぃいッ!!」  とか思っちゃうかもしれません。
 まあたしかに----ニカワの扱いはボンドや瞬接に比べるとメンドいかもしれませんが,それはあくまでこれを「煮蕩かし」ドロドロにして使う,本格的な修理でのハナシで。

 庵主でも,日々のフレットポロリくらいで,
   いちいちニカワ湯煎するなんてこたァしませんて。
(w)

 うちの月琴引き取ってくれた方なんかには,たいてい楽器渡した時にいっしょに,小袋に入ったメンテナンス・キットを差し上げてるはず----その中に細切れにした 「棒ニカワ」 が入ってると思います。

 これを使います。

 フレットの底とへッついてたところを,あらかじめ濡らしておいてやるところまでは,前のステップと同じ。
 以下,手順。

 楽器のほうにもすこしヌルヌル,なすりつけといてやるとより効果的。

 ならすとき,ニカワが固まったり着けすぎてダマみたいになっちゃったときは,指に水をつけてなぞってなめらかにして,接着面にカタマリができないようにしてやってください。

 ニカワによる上手な接着のコツは 「薄くまんべんなく,そして軽い圧」 です。

 へッつけたあと,マスキングテープを上から渡しかけてやるとか,ちょっとした重しを上に乗せといてあげると,接着力がさらに高まります。


STEP3 もしも

 間違ってヘンなとこに貼っちゃった----とか,
 あとで見たら曲がってたりしてた時も,慌てない。

 フレットの前後に水を刷いて,しばらく(10分くらい)おけば,だいたいはまたモゲます。

 接着がうまくゆきすぎ(w),ガッチリ着いてなかなかモゲないようなときは,同じところにチリ紙とか脱脂綿に水をふくませたのを置いてやります。1時間くらいすれば,だいたいはモゲましょう。

 んでまたやり直せばヨイ。
 ニカワでの作業の良いところは,何度もやりなおしが効くところなのです----時間単位でも,百年単位でも。

 「棒ニカワ」 は画材屋さん,あるいはいまだと通販でも手に入ります。
 日本画のコーナーとかにありますね。画材屋さんによっては1本売りしてくれるところもあり,1本売りだと,ふつうはそんなに高いものじゃないです。

 接着するだけならべつだん「粒ニカワ」や「粉ニカワ」でもいいんですが,持ち歩く便を考えると,やっぱり棒ニカワがいちばんです。「液ニカワ」だと着かないんでご注意。

 使い終わった棒ニカワは,
  こんなふうにして立てて乾かしておきましょう。


 フレットに限らず,小飾り,蓮頭なんかがとれた時も同じような方法で良いですよ。

 んでは,メンテナンスもおぼえて,
   どうぞ快適な月琴ライフ(w)をお過ごしください。


(おわり)


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