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楽譜を読もう!

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楽譜を読もう! の巻 楽譜を読もう!

STEP1 オムツを脱いで,栄光なるフンドシへ!!


 ドレミが出来るようになったら,
        曲に挑戦してみましょう。


 明治のころの清楽では,こういう「工尺譜(こうせきふ/こうしゃくふ,でも構わない)」という楽譜が使われてました。
 まあ一見漢字の羅列ですが,日本人が音階をハニホヘトイロハに当てはめたように,西洋の人がアーベーツェー(ABC)に当てはめたように,中国は漢字の国なので,ドレミの音階を漢字で表しているだけのこと。
 どの文字がどの音にあたるかさえ覚えてしまえば,何てこともないのですが,漢字=難しいモノ,みたいな刷りこみや先入観があるせいでしょうか。オトナのみなさんはだいたい,このお経みたいな見かけだけで,ワケもなく尻ごみます(w)

 この縦書きの工尺譜は,横についてる「付点」というものを頼りに,どの音が長いか短いかを読み解いてゆくのですが。その「付点」の形式が統一されてなかったことや,方式自体に表現上の限界があるので,一般人がこれだけでその曲がどんなメロディだったのかを読み解くのはちょっと難しい。
 そこで明治のころにこの工尺譜を,西洋から入ってきた楽譜の形式を使って,より分かりやすい形式にした楽譜が流行しました。これを庵主は 「近世譜」 と呼んでいます。
 より多くの人が楽譜を読めるようにするため,明治の人が参考にしたのは----イタリアあたりが発祥らしいのですが----音楽を五線譜にオタマジャクシではなく,数字であらわす 「数字譜」 というものでした。これはかんたんに言えば

 1=ド,数字一つを1拍。

 としてメロディを横書きにしたものですね。「1234567」が「ドレミファソラシド」で1文字1拍(=4分音符),休符が「0」。伸ばす音は「-」,半拍(=8分音符)は下線,四分の一拍(=16分音符)は二重下線で表現します。中国ではいまでもこの類の数字譜が使われていますので,二胡などやっている人にとってはお目馴染みですよね。

 明治の「近世譜」というものは,この数字譜の数字を工尺譜の文字記号に置き換えただけのモノです。
 基音楽器である明笛の音階をもとに,数字譜の数字と文字記号の対応表を作ると,こんなふうになります。

音階ファファ
数字譜
明笛(乙)
月琴六/合五/四𠆾

 上にあげた四竃訥治の本で上下に並んでるとおり,近世譜のきまりは数字譜と同じ。
 ただし符字(音符)の字の読み解きには,基本的に工尺譜のきまりごとが適用されます。
 すなわち,月琴は最低音が「上」なので「合」は「六」「四」は「五」として弾きます。明笛は「合四乙」が出せますので低いほうの「ソラシ」で吹きますが,「合四乙」にはさまれた,また隣り合わせた「仩」以上の高音は,ニンベンのない,1オクターブ下の音として演奏します。(ちなみに 「乙」が低音か高音かはフィーリング(w))
 こうやって文字を変えることで,楽器ごとにパート分けしなくても同じ譜面を読みながらすべての楽器が合奏できるというのが,工尺譜の特異な合理性なんですが,上の表にあるとおり数字譜では「7」以上の高音は記号の上に「・」を,「1」以下の低音には下に「・」を付して表すものの,高音低音の違いが点だけで記号自体は変わらないせいか,工尺譜的なきまりごとがイマイチ直感的に把握できません。

 数字譜は,あくまでも「オムツ」です。
 フンドシ(縦書き工尺譜)にまで手を出さなくても結構ですので,はやくパンツ(近世譜)が穿けるように各人奮励努力せよ。

 なによりアナタ。
 せっかくレアな楽器を演奏してるんですから,ここらでさらに株をあげとかないと。
 1=ドの数字譜はシロウトさんでもすぐ理解しやすいですし,さっきも書いたように二胡なんかやってるヒトにとっては見慣れたシロモノです。
 ですが漢字の「工尺譜」は,今やその発祥の地,中国でも読める人が少ない。Imagin----

 「さー月琴弾くぜぇ!」

と言いながら,漢字のならんだ工尺譜をピラっとひろげ,おもむろに,何事でもなさげに演奏しているアナタ----
 たとえほんとはまだちゃんと読めてなくてほとんど耳コピの演奏だっととしても(w),またそれが数字を漢字に置き換えただけ,知ってる人ならだれでも読めちゃう近世譜であったとしても。

 衆目のマトでっせ~。

 庵主がこれまでに解読した渓派の楽曲や,月一回のワークショップで使われる楽譜の類は,本拠HPのほうに置いてあります。


 PDFに組んでありますので,DLしてコンビニのコピー機などで自由にプリントアウト可能です。
 一部の譜は近世譜/数字譜対照になってますので,そちらでまず目を馴らしてから,漢字の近世譜だけのヴァージョンに挑んでみてください。
 弾きたい曲をプリントアウトして,上にドレミなり123ふっておぼえるのがいちばん効果的かと。対応表はだいたいどの譜集にも付いてますが,別途それの載ってるページだけ印刷しとくのも手かもしれません。
 実際に耳で聞かないとおぼえられないムキには,いちばん上のページの表から,それぞれの楽曲の解説ページに飛べば AquesTone を使った歌付きの版も聞けます。
 聞きながら楽譜見て弾くと,さらに効果ありですね。

(おわり)


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