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連山派 『声光詞譜』 復元楽曲改訂!

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斗酒庵 告知 の巻2019.5.15 連山派 『声光詞譜』 復元楽曲改訂!


 東京を中心に勢力があったため「東京派」とも呼ばれた渓派(渓菴派)の基本的な楽曲に関しては,去年までの研究で長編の歌曲いくつかをのぞき,だいたいのものについて,あるていど標準的な曲調を確定する作業が終わっております。
 なんといっても庵主,関東在住ですので,やはり手に入る資料は渓派のもののほうが多かったためもありますね。

 今年に入ってからは,清楽のもう一つの大派閥,関西を中心に覇をなした連山派(大阪派)の基本楽曲のほうに取り組んでおりました。
 ちょっと前も,2~3記事を書きましたもんね。
 ご存知の方も多かったかと。

 ちなみに庵主のやり方でいうところの「楽曲の標準化」とか「標準的な曲調」っていうのは,複数の資料を参考に,演奏者や付点者による楽曲のブレ----たとえば演奏者の個人的な追加演出や筆記者による誤写・誤謬----をなるべく排し,「この曲のメロディはだいたいこういう感じ」という,可もなければ不可もないような曲調を模索するところにあります。当時の誰が聞いても「○○○」に聞こえただろう,というくらいの平均的なメロディ。それらはあくまでも「標準」や「平均」であって,別に「正しい」ものを規定しよう,というわけではありません。博物学の標本みたいなものものですね。その種の中で平均的な個体,基準となる標本が決まってなければ,亜種やら変異という個体別の差異は論じられませんもの。

 でまあ,いままで入手できた「連山派」およびその東京における分派・「梅園派」(連山の妹・長原梅園による流派。こちらも東京を中心に活躍したため大阪の連山派に対し「東京派」と呼ばれることがある)の資料をかき集め,あーでもないこーでもないと校合をはじめていたんですが,そんなさ中ふとこんな資料が手に入ってしまいました----

 写本の『声光詞譜』。
 薄くて丈夫な用紙を横綴じにし,こまかーい文字でぎっちり書き込んだ,手書きの譜本です。
 「和泉」という印が捺してあります,巻末にも「明治三十年七月/和泉蔵」とあるものの書写者は不明。『声光詞譜』と題してはいますが,中身には『声光詞譜』刊本に含まれていない楽曲も入っています。
 残念ながら,付点があって,曲調を解読できるのは巻首からの58曲だけですが,一部は歌詞対照,かなりレアな曲譜も収録されています。

 いままで庵主の手元にある『声光詞譜』の付点本は加藤先生からいただいた刊本3冊本しか資料がありませんでした。曲譜の比較自体は沖野勝芳の『清楽曲譜』の近世譜とか柚木友月の『明清楽譜』などでいままでもある程度することはできてたんですが,今回この資料が手に入ったおかげといいますかせいといいますか。
 基本第一楽譜である『声光詞譜』の楽曲の全面的な見直しをすることとなりました----基本資料の根っこみたいなところに新資料が加わったわけで,「標準化」とか何とか言ってる場合じゃない。まずは資料の整理整頓,棚卸の必要が出てきたわけですね。

 新資料のテキスト化と,もともとあった『声光詞譜』の楽曲の見直し。「見直し」といっても,前のを修整した,というよりは入力のところから全面的にやり直した感じですね。うん,入力間違いもいくつかあったし,付点の解釈なんかいっぱい間違ってました。

 先に公開したコンテンツでは,今回の見直しを経て新たに組み直したMIDIと,各楽曲の譜についての解説が見られます。連山派の付点法における基本的な問題もあって,「標準化」への道はまだかなり遠いものの,前より少しマトモな再現になってるとは思われます。

 同じページで見られる,渓派の同じタイトルの曲と聞き比べてみたりするのも面白いかと。

 「明清楽復元曲一覧」リンクはこちら----

http://charlie-zhang.music.coocan.jp/MIDI/MINSIN.html


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