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明笛について(25) 明笛48号(2)

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斗酒庵 ひさびさにまたまた明笛を買う(W) の巻明笛について(25) 明笛48号(2)

STEP2 ナイスバルク!ナイスバルク!!

 48号の修理は,まず貼られていた赤い絶縁テープを剥がすとこから。

 すでに粘着力はほとんどなく,テープ本体はカッチカチの板みたいになっており,裏面についていた接着剤は笛の表面に残って変質し,硬いツヤツヤの層をなしております。
 このカチツヤ層……水やエタノでぬぐったぐらいじゃビクともしませんな。
 かと言ってシンナーなどの乾性油系を使うのは,下の塗装が解けちゃいそうで怖いですねえ。

 ここはいっちょう職人ワザ(w)で。

 接着剤層の表面をペーパーで軽く荒し,エタノを塗ってはナイフでこそぎます。(原始的www)
 おおおおおお……もとは接着剤なのに粘りはゼロ,なんか完全に固まって,別の物質になっちゃってますね。
 シャリシャリと伝わる指先の感覚だけで,下地紙一重のところまで削ってゆきます。

 まあ,多少キズがついちゃってもしょうがないか----とは思ってたんですが,意外とうまく取り除けました。

 つぎに指孔の2-3付近で,竹表面のカケから浅い溝が出来ちゃってますのでこれも埋めちゃいます。これ自体はそんなに深刻な故障ではないんですが,指孔の周辺にこういうのがあると,わずかな空気漏れとかで運指や音に微妙な支障が生じる場合がありますのでいちおう念のため。
 色が黒いんで,いつもの竹粉ではなく唐木の粉のパテを使います。
 これもテープ痕と同じく下地紙一重まで削り込んで……ほーれ,ちょっと分かりますまい?

 あとはこちらも内外の保護塗りと,お飾りの補修のみ。

 こちらの要補修箇所は管尻の黒いラッパ飾りの縁にあるネズミの齧り痕と,白いリングの欠ケ
 頭飾りにも多少のキズはありますが,このくらいなら磨けば目立たない程度ですね。
 頭飾りは二つに分解できますが,基部のほうがかなりガッチリ接着されており,ひっぱったりひねってはずれるような感じでもなさそうでしたのでそのままに。お尻飾りのほうも同様しっかりと接着されちゃってましたが,こちらははずさないと修理ができない状態ですので,大きめのコップに水を張って,そこにお飾りの縁まで2時間ほど漬け込みました。
 これで無事はずすことには成功したんですが……うわあ,接着剤べっちゃりつけられちゃってますねえ。

 黒い部分の齧り痕は唐木のパテで埋めるとして,問題はこっちのリングですね。
 フレットに使った牛骨の端材で継ぎましょう。
 小さい部品なんで保定しづらく,加工するのがけっこうタイヘンです(w)
 うまくはまるようあらかた整形した部品を,作業台にくっつかないようクリアフォルダの切れ端にのせ,そこでそのままたっぷりのエポキで接着します。上からもう一枚クリアフォルダをかぶせ,クランプではさみこむと,はみだした接着剤に補修部分がいい具合に包まれ,その後の作業がしやすいカタチでガッチリ固定されます。
 小さいもの,細かいモノを作る時は,素材をケチったり最初からきっかりピッタリ仕事をしようとすると,後でかえって仕事が増える可能性があります。
 いつも言ってるように 「小さいものは大きく」「大きいものは小さく」 して作業するのが基本(w)

 一晩置いて整形し,磨き上げます。
 ちょっと色味が違っちゃってますが,まあこんなものでしょう。

 お飾りの補修も終わったところで,塗りの終わった管を磨きます。

 #1000の Shinex に石鹸水をつけて表面のホコリや凸凹を取り除き,さらに細かいペーパーで磨きこみます。

 最後に,亜麻仁油とカルナバ蝋に#3000のコンパウンドで全身磨き上げました。
 見よこの上腕二頭筋!…ではなくお飾りのテカり加減を!!(w)

 おおーぅ,黒く艶光りするこの管体…やや太めのがっちりした印象もあいまって,思わず 「ナイスバルク!」 と叫びたい(w)

 管頭飾りが中空でないので,けっこう持ち重りがしますね。
 今季修理した明笛の中でいちばん重いかも。
 演奏姿勢に構えると,お飾りの重さで頭がわがやや下がりますが,大きめの笛なのでバランスは悪くないですね。

 管の修理は完了しましたが,47号ともども,実際に演奏レベルでの音を出しながらの最終的な調整がまだなので,この時点では 「楽器としてちゃんと直ってるかどうか」 はまだ分からないのですが……まあ,やたらキレイに仕上がりましたねえ。
 調整作業と並行して行うので,試奏と音階計測の結果については,あとでまとめて報告します。

 さてこれで,あと残るのは明笛BOXから出てきたやり残しの38号……ふうむ,今度は鳴るように直せるでしょうか?


(つづく)

 

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