« 2019年8月 | トップページ | 2019年10月 »

清楽月琴WS@亀戸 2019年10月!!

20191019.txt
斗酒庵 WS告知 の巻2019.10.19 月琴WS@亀戸! 10月場所の巻


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 10月 のお知らせ-*


 2019年,10月の清楽月琴ワークショップは,10月19日・土曜日の開催予定!

 はやいもので今年の月琴WSも
       残るところあと3回……
    秋の一日,古い楽器でも触りながら,一杯……
            う~ん,ひたぶるにものがなし。


 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。

 いつものとおり,参加費は無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 お昼下りの,ちょろちょろ開催。

 美味しい飲み物・お酒におつまみ,ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか)やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)


 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

 
 現在,お嫁入り先募集中の楽器は60号「碧空(あおぞら)」。


 古い月琴欲しいというお方も,試奏がてらにぜひどうぞ~。
 楽器は手のもの----
 やっぱり,実際に触って弾いて,相性を確認するのがいちばんですからなあ。

明笛について(25) 明笛38号(3)

MIN_25_6.txt
斗酒庵 ひさびさにまたまた明笛を買う(W) の巻明笛について(25) 明笛38号(3)

STEP3 唄口の中心は愛をうたう

 さて,問題の明笛38号。

 貫きなおした唄口にはいまだ調整の要がありそうですが,とりあえず音は出る状態となりました。まだ「完全」とは言えませんが, 「鳴らない筒」 から何とか 「笛」 といえるモノにまでは戻ってくれたかと(w)

 もともと,管体は新品のように綺麗な保存状態でしたが,唄口の修理調整のため,その周辺を中心にけっこう傷をつけてしまいました。
 また,古いタイプの明笛としては珍しく,材料として表層の皮が付いたままの竹が用いられていますので,このまま使用を続けると,46号のように温度湿度の差によってヒビ割れの生じる懸念があるため,管全体に薄く保護塗りをほどこしておきたいと思います。

 月琴でもそうですが,楽器の修理では,切った貼った削った組んだの作業より時間と手間のかかるのは,染めや塗りの工程です。
 いちど塗ったら次は三日後とか,けっこうなインターバルが空きますので,その合間になくなっている管尻のお飾りを作っておきましょう。

 材料はブナパイプ。

 実のところ,入手直後に素体の状態まで加工してあったのですが,その後,笛本体と同じくずっと放置しちゃってましたね。


 まずは整形。
 作りかけのお飾りは,ラッパの広がりが少しキツめでした。管頭のお飾りも笛全体も,どちらかといえばスマートな感じですので,それに合わせて少しすぼめます。

 つづいてスオウで赤染め。
 ブナパイプは,このところ使ってる¥100均めん棒にくらべると,若干染まりにくいですね。
 塗っては乾かしで,三日ぐらいかけて染め上げ,下地完成。


 いちど磨いて,黒ベンガラとオハグロで二次染めします。
 頭飾りと色合いが近くなるまで染めを調整し,乾いたところでカシューで塗り固めました。
 赤っぽい部分は,実のとこ磨きの時にちょっとガリッっとやっちゃった(w)箇所なんですが。何か意図せずしてイイ感じになりましたのでそのままにしときます。

 あちこち削り直しているうちに,取付が多少ユルくなってしまいましたので,例によって管の取付け部にニカワで和紙を巻いて調整します。

 メイン作業の管体の保護塗りでちょっと失敗して,ほぼ完了していた塗りをいちどハガして塗り直すというトホホがあり,予定よりかなり時間がかかってしまい,ワークショップでのお披露目もできませんでしたが,帰省前ギリギリの七月末になってなんとか完成しました。

 さあて,駆け込み試奏とまいりましょう!

 音階は----

 ○ ■ ●●● ●●●:合 4B+30
 ○ ■ ●●● ●●○:四 5C#+34
 ○ ■ ●●● ●○○:乙 5Eb
 ○ ■ ●●● ○●○:上 5E+35
 ○ ■ ●●● ○○○:上 5E-5F
 ○ ■ ●●○ ○●○:尺 5F#+25
 ○ ■ ●●○ ○○○:尺  〃
 ○ ■ ●○○ ○●○:工 5G#+10
 ○ ■ ●○○ ○○○:工 5G#+25
 ○ ■ ○●○ ○●○:凡 5Bb+35
 ○ ■ ○●● ○●○:凡 5Bb+25
 ○ ■ ○●● ○●●:凡 5Bb+30

 西洋音階の +30 のあたりでかなりきっちりとまとまっていますね。
 清楽の音階は最低音をドとするとミにあたる音,3番目の音が 20~30%低めというのが定番なんですが,これも 5Eb プラマイ0でちゃんと体現しています。

 ちなみに月琴の場合,最低音は なので3つめの が20~30%低めとなりますが, と同じフレットの高音弦がわの音は ですから,当然これも同じように低くなります。つまりは7音階の3・7番目が西洋音階のそれよりやや低い,というのが清楽音階の特徴。この笛の場合,上述のとおり はバッチリ。 は右手全開放の指遣いだとやや高めになりますが,中指をおろしたほう (右手が○●○のほう) だと誤差の範囲----教則本でもこちらの表記のほうがやや多いようですね。

 唄口の工作はめちゃくちゃでしたが,孔の配置に使用されたたスケールもしくはテンプレートの精度が良かったんでしょう。かなり正確な清楽音階になっているかと思われます。

 管体が細めな割りには音量もそこそこ出ますし,勘所が合えば笛全体が震えるような状態にもなりますのでピッチも合っているようです。
 ただし,唄口の小さな古いタイプの笛なので,篠笛などにくらべると多少癖があり,慣れないと吹き始め,全閉鎖からの低音が少し出しくい傾向があります。
 まあ曲前の音出しで,出しやすい右手開放の高音からはじめ,低音域での息の方向や笛の角度を少し確認しておけばいいことですし,いちど身体がこの笛に最適の構えさえつかんでしまえばさほどの問題もなかろうかと思われます。


(おわり)

明笛について(25) 明笛47/48号(3)

MIN_25_5.txt
斗酒庵 ひさびさにまたまた明笛を買う(W) の巻明笛について(25) 明笛47/48号(3)

STEP3 彩湖ぱす

 7月もおしませってきましたので。

 仕事先から一日おヒマをもらい,朝から近所の公園へ。
 修理の終わった笛の試奏と,音階の計測に行ってまいりました。

 これに合わせて新しい計測表も作成。

 ふつうだと考えられない----というか,ふつうの人は考えない変態的な運指も含め,「可能性」として吹いてみます。

 金属やプラスティックの笛と違い,竹笛の場合はほんの小さな管の状態・加工の差が原因となって,通常のピタゴラスさんでは考えられないような現象が生じちゃってることもなきにしもあらず……というか,そういう結果をもとに管に異常がないか,あらためて確かめるのも目的の一つです。

 まずは47号タマネギ----

 ○ ■ ●●● ●●●:合 5C-5C#
 ○ ■ ●●● ●●○:四 5D-5Eb
 ○ ■ ●●● ●○○:乙 5E+30
 ○ ■ ●●● ○●○:上 5F#-25
 ○ ■ ●●● ○○○:上 5F#
 ○ ■ ●●○ ○●○:尺 5G#+5
 ○ ■ ●●○ ○○○:尺 5G#-15
 ○ ■ ●○○ ○●○:工 5Bb-10
 ○ ■ ●○○ ○○○:工 5Bb
 ○ ■ ○●○ ○●○:凡 6C-30
 ○ ■ ○●● ○●○:凡 6C-35
 ○ ■ ○●● ○●●:凡 5B+40

 「上」 から 「工」 には2種類,「凡」 には3種類の指遣いがあります。
 おもに教則本による違いですね。このほかに長原春田らの提唱した,全閉鎖を 「凡」 とする音階法がありますが,清楽の音階とは関係がないので,ここでは用いません。

 う…うむ,波瀾な音階ですな。
 全閉鎖と1孔開は音の安定がイマイチ。「上」 以降は比較的安定してます。
 「工」b なことから,筒音を # としての配置だったと思われますがさて。
 次にいろんな指遣いを呂音の息遣い(ふつうに吹いた場合)で試してみます。
 やはり筒音が # だと,半開きをしないと は出せませんでしたが,

  ○ ■ ●●○ ●●●

 の運指で,+20 ほどで安定した音が出ました。 

  ○ ■ ●○● ●●○

 もしくは

  ○ ■ ●○● ●○○

 という変態的運指で比較的安定した音が得られます。
 呂音の最高は----

  ○ ■ ○●● ●●●

 で,6C#-35 ,やはり # のちょっと高めなあたりが基音となってるみたいです。




 続いて48号。これは吹きやすい笛ですね。

 47号と比べると管自体がやや太めなのもあり,比較的軽めの息で安定した音が出せます。
 長さからして,もしかすると全閉鎖BかBbの清楽笛かも----と思ってたんですが,全閉鎖Cのドレミ笛でした。

 ○ ■ ●●● ●●●:合 5C
 ○ ■ ●●● ●●○:四 5D+30
 ○ ■ ●●● ●○○:乙 5E
 ○ ■ ●●● ○●○:上 5F+35
 ○ ■ ●●● ○○○:上 5F-5F#
 ○ ■ ●●○ ○●○:尺 5G+20
 ○ ■ ●●○ ○○○:尺  〃
 ○ ■ ●○○ ○●○:工 5A+25
 ○ ■ ●○○ ○○○:工 5A(やや不安定)
 ○ ■ ○●○ ○●○:凡 5B+15
 ○ ■ ○●● ○●○:凡 5B-30
 ○ ■ ○●● ○●●:凡  〃

 呂音の最高は----

  ○ ■ ○●● ●●●

 で,6C ピッタリくらいが出せました。
 高音域が少々安定しない時がありますな,あと,ちょっと甲音が出しにくい。
 吹きはじめはほとんど出ませんで,10分ほどやってたら出るようにはなりましたが多少安定が悪い。
 大甲音(2オクターブ上)は無理っぽいなあ。


STEP4 調整湖の調整

 ----修理は終わっても,「調整」は続きます。
 楽器の場合,外見上また機構的に問題がなくなったとしても,「音」との関係はまた別物。そこからまた,最適な音を出すための細かな調整を経ていなければ,音を出す道具としての復活はあり得ません。

 前回修理の46号も,修理後の試奏の結果を踏まえて唄口の向こう岸や反射壁のへりを小整形したら,かなり吹きやすくなりました。庵主はこの「調整」というのを「穴を埋める」とか「ヒビ割れを継ぐ」といった修理工作とは,まったく別次元の作業だと思っています。時には「音のため」にせっかく修理した箇所を,自分自身を呪いながら(w)破壊したりしなければならないこともありますしね。

 47号は試奏の結果,音階等にさほど問題はない(全閉鎖が から # の中間である事を「問題」としないなら)ものの。呂音で吹いている時,響孔の効果とは関係なく倍音のノイズが混じることがありました。
 この手の異常の原因はたいてい唄口にあるため,あらためて調べてみますと,ちょうど向こう岸の真ん中あたりの縁に,小さなキズが見つかりました。
 おそらくここで息が乱れて,出る音にノイズをかぶせちゃってたんでしょうねえ。

 エポキを盛って補修します。

 見た感じ,ひっかき傷程度の浅いものだろうと思ってたんですが,削って整形してみるとこれが意外と深く,底が頂点であるV字型の谷間のようになってました。
 おそらくは何か四角くて硬い物体……たとえば机の角のようなものにぶつけた痕かと愚考いたします。

 唄口の周辺は笛で最も大事なところなので,ふだんこんなキズがつかないようにいちばん注意する箇所だと思うんですが……この笛の状態や状況をいろいろと考えてみますと,この事故の原因はおそらく----タマネギでしょうねえ。
 前回も書きましたが,アレ,ちょっと重すぎるんすよ。
 演奏姿勢で構えてる時はまだいいんですが,ふつうに持って歩く時とか少しバランスが悪い。
 それで取り落とした時にはアタマのほうから行きますわな,その結果かと。




 48号は保護塗りをした唄口内壁の塗膜に浮きがあり,すこし凸凹していましたので,下地になっているオリジナルの塗料層までいちど削り落とし,均してから再度塗り直しました。

 あとは唄口向こう岸の縁にあった微小なキズを補修。
 47号と同じく,このあたりのキズは微細なものでも,ノイズや不調の原因になることがありますので,ちょっと丁寧にやっておきます。
 これもまた小さい割に意外と深かったため,エポキで充填。練ったエポキをキズの上に盛り,少し固まってきたところで,上からクリアフォルダの切れ端をかぶせて指で押さえつけ,キズの奥まで確実に押し込みます。
 一晩置いて整形----せっかくの黒々ツヤツヤにキズつけたくないので,きわめて精密に加工(w)。

 キズの補修後,47・48号ともに作業部分を塗り直し,磨きなおしました。


STEP5 調整池の伝説


 Web記事でときどき見かける笛子の伝説に,

 管尾の「飾り孔」は紙を貼って笛の調子を変えるためのもの

 ----というアホゥなものがあります。

 実物の笛を見て,ちょーっと考えていただければ分かると思うのですが。
 笛子・明笛の筒音すなわち笛の音の高低は「裏孔」の位置で決まります。一般の笛では,唄口から管尻の先端までの長さでその音の高さが決まりますが,笛子や明笛の場合にはそれより手前に空気の漏れる孔があいてるわけですから,そこで音が決まっちゃうわけですね。
 そして問題の2コの「飾り孔」は,たいてい「裏孔」より管尾がわにありますので,ピタゴラスさんから言ってここを塞ぐことで大きくナニカが変わることはふつうありえません。

 しかしながら,庵主とて。左腕に邪龍が封印されている人もおり,右目を解放すると世界が滅ぶという人のいることくらいは知っており,そのていどにはロマンを信じております。過去の笛でも何かの原因で,ピタゴラスさんに対し叛乱を起していた例がないではないので,いちおう確認してみることにします。

 47号で実験してみましょう。

 まず管表の「飾り孔」だけをふさいだ場合ですが
 ----ピタゴラスさんは偉大なり(w)

 計測結果は何も変わりません。

 次に飾り孔と裏孔をぜんぶふさぎます。
 あたりまえですが全閉鎖の音が低くなります……4B+35 くらいになりましたね。
 おお,これは確かに調子が…と一瞬思い,第1孔をあけてみます。

 従前と変わらず D の音が出ました (物理学的にはwあたりまえ)

 あたりまえのハナシ,「調子が変わる」というなら,全閉鎖が になれば第2音も なり # になってなきゃならんのです。このままだと,第1音と2音の間が長2度あいちゃってるわけですね----どこの超古代音階ですか?

 ほかいろいろなパターンでやってみましたが,まあマトモな音階になることはなく。
 Webの記述とそのコピペ虫どもが,こういう簡単な実験もせずにテキトウたれ流し,拡散してるのが判明したわけですが。

 ただ,この47号の場合。

 マステで裏孔を半あけ状態にすると全閉鎖が のプラマイ10くらいで安定します。その状態で使うと,最低音がCの比較的マトモなドレミ音階になりました。(デフォルトのあまり嬉しくない最低音wは上記事参照)

 ----これがまあ今回の実験のケガの功名,みたいなもので(w)

 この「裏孔」には通常,飾り紐が通されます----ということはですな。
 紐が少し太めのものなら,紐をかけることでマスキングテープと同様の効果があるかもしれないわけ……まあ作りから見て,原作者がそこまで考えてたとは思えませんが

 また,最初のほうの記事でも書いたように,47・48号の前所有者は管尾の飾り孔や裏孔を絶縁テープでふさいでいたようですが,これが「調子を変える」という目的のものでなかったことは,上の実験からも明らかで。さらに47号の場合,テープによる日焼け痕の痕跡は,裏孔のほか管尻と管頭のギリギリにあるので,おそらくは47号のともまた違って,取付がユルユルだった頭尾のお飾りを固定しようとしたものであろうと思われ,そこにWeb記事や庵主の実験のように「管の調子を変えよう」という意図はなかったものと考えられます。



(おわり)

« 2019年8月 | トップページ | 2019年10月 »