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2020年3月 清楽月琴WS@亀戸!!

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斗酒庵 WS告知 の巻2020.3.21 月琴WS@亀戸! 弥生場所の巻



 

 

*こくちというもの-月琴WS@亀戸 3月 のお知らせ-*




 はるのやよいの空のした,咲いて落ちるかさくら花,ながれくだれやすみだ川。

 2020年3月の月琴WSは21日(土)の開催予定!


 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。

 いつものとおり,参加費は無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 お昼下りの,にょろにょろ開催。

 美味しい飲み物・お酒におつまみ,ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 


 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか)やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。

  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)

 さて先日いちおう完成した新楽器なんちゃってな阮咸も,なんならまた持ってゆきますよ。そのほか新たに入手した月琴もありますが…さすがにちょっと間に合わないかなあ(^_^;)

 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

 

 

 

明笛について(26) 明笛49号/50号(4)

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斗酒庵 平和の世に天民の明笛を鳴らす の巻明笛について(26) 明笛49号/50号(4)

STEP5 明笛49号

 明笛49号の修理は,まず細かくヒビが入り,塗膜の浮いている響き孔周辺の剥落止めから。

 ゆるめに溶いたニカワを小筆で刷いては,布で軽く押して吸い取ります。 管頭のお飾りの接合部周辺以外に竹自体にヒビは入ってませんし,この周辺以外の塗膜は比較的無傷ですので,このあたりのヒビ割れはおそらく,もともとの漆塗装の下地処理か,塗装作業自体に問題があったのだと思います。

 一晩おいて,触ったらプラプラしててハガレそうになってたあたりが,いちおうへっついてるのを確認----ものが笛ですからね,ツバもかかれば息でも湿る,手汗もつくしヨダレも垂れます----道具としての使用を考えるなら,このニカワによる処置は,あくまでも次の作業のための一時的な応急処置です。

 修理作業中にボロボロ逝かれたらたまらんですからね。


 次の作業のための準備をしましょう。
 まずは薄い和紙を小さく丸めたものを用意します。
 お腹の赤丸薬くらいの大きさかな。

 これにニカワをふくませ,反射壁の欠けたところ(上右画像参照)に押し込みます。
 今回の虫食いはこの欠けたところから,90度曲がって横方向へも少し広がってますので,濡らした紙玉をさらに小さくちぎっては,ピンセットや曲げたハリガネで,少しづつ,なるべく深く,奥のほうまできっちり詰め込んでゆきました。

 穴から紙玉が顔を出すようになったら,筆で少量の水をふくませ,管尻から挿しこんだ棒のあたまで表面を軽く叩いて潰す。そしてまたハリガネでつついて押し込み…これを何度かくりかえしました。

 うむ,場所が場所だけに手先の感覚だけでやったみたいなところもあったんですが----なんとか埋まったようですな。

 充填箇所がかっちり乾いたところで,管内を塗装。

 赤と透を半分くらいづつ混ぜ,元の色に合わせてます。
 先に,修理した反射壁と唄口の周辺だけ何度かこってり塗りこめておき,後の部分は保護塗りていどにあっさりと塗りあげました。

 管頭飾りとの継ぎ目あたりに,何本か割れ目が出来てます。唄口にかかってないあたりなので,楽器としての使用上は問題ありませんが,使ってるうちに開いてきちゃったりしたら嫌ですからね----ここも埋めこんでおきましょう。
 修理で出た黒檀の粉を茶こしでふるい,微細な粉をエポキで練って充填します。


 あとは最初に表面の剥落止めをした部分ですが,漆塗りを塗りで補修するのは難しいですので,エタノで緩めたエポキをヒビに沿って流し,固定します。塗膜がめくれちゃってる部分なんかは,アートナイフなどでこそいで落し,パズルよろしく元の場所にハメこみました。
 とりあえず響孔周辺が,竹紙を貼ったりハガしたりしても大丈夫なくらいになってればよかろうもん。

 唄口や指孔など,この笛の各孔には金で縁どりが施されていました。各孔の壁を塗装し直すついでに,この孔の縁もちょちょいと補彩しておきましょう。

 まあ「金彩」っていってももちろん,本物の黄金の粉末が使われているわけでもありません。色合いから言って元のも,いろんなのの混じった工芸用の偽金粉ですね。
 このあたりは使用でかすれて消えちゃうでしょうから,軽く百均の金粉マニキュアを使いましょう。
 もちろん,直接塗ったりはしませんよ。
 まずは,クリアフォルダの切れ端などにマニキュアを塗り,乾かします。次に保護塗りちゅう孔の縁に押し当てますと,軽くハミ出た生乾き状態の塗料にへっついていい感じでプリントされました。
 保護塗りの塗料が固まったところでクリアを軽く上塗りして完成とします。前にも書いたと思いますが,この笛の金彩はもともと,庵主のやったのと同じように,塗料で絵を描いて上から粉ふっただけの 「なんちゃって蒔絵」 なので,強く擦るとほとんど消えちゃうようなシロモノです。上塗りして砥ぎだしたものだと,ちょっとやそっとじゃ消えないんですけどねえ。(^_^;)

 あとは管内の塗装が乾くのを待って,磨いたら完成です!



STEP6 明笛50号

 ヒビ割れの処理の終わった50号。

 しばらく放置して,ヒビが再発したり新しくバッキリ逝ったりしないか様子を見ます。

 中性洗剤でザブザブしましたし,ヒビの修理であちこちコスりましたので,内外ともにパッサパサな感じですが。
 一週間ほどたってもバッキリ鳴ったりパックリ逝ったり(w)しません。

 …………だいじょうぶのようですね。

 内部にハミ出たエポキを削るのといっしょに,管内の塗装もあらかた削ってハガしてしまいました。
 もともと塗ってあった塗料は,明治~大正期の量産品明笛でよく使われていた正体不明のやつで,水ではビクともしないのに,エタノールを流すとベトつきます----たぶんスピットニスみたいなアルコールで溶かして使う手の顔料だったんだと思います。

 酔っぱらって吹いたらエラいことになりそう(www)

 そういえば----前のほうの回で紹介しましたが,この笛の作者の吉田源吉さんはヴァイオリンの作家でもありました。
 今回の笛の管表の染め色は,ふつうの明笛よりやや赤みがありましたが,これってヴァイオリンの胴染めると同じ染料か塗料が使われてたのかもしれませんね。

 管の内外を塗ります。
 管内は赤に透を混ぜたものを唄口や指孔から筆で垂らし,細めの棒切れの先に使い切ったSHINEXの切れ端をくくりつけたもので均して,まんべんなく塗りこみます。
 管表はもともとの色合いを損ねないように,透とクリアを半々くらいにしたものをゆるめに溶いて二度ばかり拭き漆風に滲みこませ,下地を作ってから,ごく薄く表面を塗りあげました。これもそうでしたが----大正期以降の明笛は竹管表面の扱いが雑で,古い管にくらべるとちょっとガサガサした感じなのが多いのですが,補修箇所の保護もありますし,オリジナルより少し塗りを厚くしておきましょう。

 これでこちらも,後は塗料の乾くのを待つだけです!
 それぞれどんな音が出るのか----一週間後が楽しみですねえ。



(つづく)

楽器製作・名前はまだない(6)

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斗酒庵ひさびさの製作 の巻2019.10~ 楽器製作・名前はまだない(6)

STEP6 そしてわたしは のぞむ それを 塗って まっくろけのけ

 「長い棹の月琴」 が「短い棹の月琴」になったとする説には,納得のゆかない点がいくつもあります。

 その最大の問題が「短い棹の月琴」にしかない 「響き線」 という構造です。

 いまのところベトナムや台湾の長い棹の月琴に,こうした構造が入っている,もしくは過去には入っていたという情報はありません。もちろん,正倉院の阮咸にも入ってませんし,韓国のウォルグムにもありません。
 ではなぜ----

 長い棹の月琴が短い棹の月琴になるに際し,
  「響き線」が入れられるようになったのか。

 日本で清楽器を作っていた人たちは,音楽におけるメインの楽器である月琴に仕込まれていたのだから,と琵琶から弦子から果ては洋琴(ピアノにあらず,短いお箏に金属弦を張った和製ダルシマー)にまで,何でもかんでもこの構造を仕込んでおりますが,オリジナルの中国琵琶や向こうで作られた双清(清楽で「阮咸」と呼ばれた長棹八角胴の楽器)にこの構造はありません。*

 中国の楽器の研究書などには 「(短い棹の)月琴には響き線が入っている」 といったような説明しかありません。それはあたかも,どの楽器にでもある普通のことみたいに書かれているのですが,実際にいろいろ調べてみますと,中国の楽器でこの構造を有していると確実に分かるものは,ほぼこの「(短い棹の)月琴」だけということになります。

 同じ「月琴」という名前の楽器でも,古い輸入品の月琴と国産の清楽月琴にしかないもの----それがこれら表板に貼られた薄板や凍石製の飾りと,この響き線。

 「長い棹の月琴」が「短い棹の月琴」を産んだとするのなら,そこには必ず,この二つの起源と理由がなければならないのです。

 *ベトナムの琵琶---ダン・ティパの覆手(テールピース)の接合には接着剤のほかやや長めの鉄釘が用いられており,釘の先端が胴内部に出ていて,共鳴音にわずかな金属味を与えている。また弦子(中国蛇皮線)の皮のいちばん端の部分は,胴をぐるりと巻いた真鍮線によって止められている。この線もまた,主なる目的は胴皮の固定であるが,月琴の「響胆(響き線)」のように弦音に金属的な余韻効果を与える部品ともなっている。同様の例はほかにもないではないが,月琴の響き線のような,余韻効果のための独立した構造を持つ例はほぼ見当たらない。



 さて,製作です。

 黒よりも黒く,闇よりも深き漆黒に,
    我が真紅の混淆を臨みたまふ----

 むかし,染めの人が言ってたのですが。
 黒く「塗った」ものと黒く「染めた」ものの色味の差異は,
 「壁」と「闇」の違いなのだとか………

 「向こうの無い」黒さ と「向こうのある」黒さ,とでも言いましょうか----分かるような分からないような。(w)
 我らが闇をのぞきこむとき,闇もまた我らをのぞいておるのですな。

 いちど真っ赤に染めた楽器に,黒ベンガラを塗ります。

 ベンガラは隠蔽性の高い----すなわち下地を覆い隠して見えなくできる----塗料です。
 国産月琴ではけっこう使われていますね。
 高価な楽器は,なにか塗ってあってもまあ生漆をさっとていどで,木地が見えてるのがふつうですが,特に安価な楽器では,その「隠蔽性」を利用して,材料や工作の粗を隠すため,こんなふうにどばちゃとばかり塗ったくられていることがあります。
 実際こうして塗ってみると分かるように,表面はべったらとして艶もなく,いかにも「安物」っぽい感じに仕上がります。しかしこの塗料,もともと漆塗りなどで,貴重なウルシを節約する目的でも使われていたわけで。使い方次第ではいくらでも高級っぽい感じに仕上げることが可能です。

 ベンガラはあらかじめエタノールで溶いてしばらくなじませ,使う寸前で柿渋で溶いて塗りあげます。

 このままベンガラ塗りで仕上げたい場合は,ベンガラが乾いた上から柿渋と亜麻仁油などの乾性油を塗り重ねますが,今回は乾いたところで,糸倉や基部の部分をのぞき,布で擦ってほとんど落としてしまいます。
 「落とす」と言っても,服なんかに着いたらちょっとやそっとじゃ落ちないくらい頑固な塗料ですんで。けっこう拭いても,棹の表面には薄くまんべんなくベンガラがかかっております。糸倉と棹基部のあたりを残したのは,異材を継いでますので,その継ぎ目を隠すためですね。
 ベンガラの上から,こんどはオハグロをかけてゆきます。
 スオウの上から直接オハグロをかけても反応がイマイチなんですが,いちどベンガラをかけて落としてからだと,かなり染まりがいいのですよ。
 何度か塗り重ねてゆくうちに,ベンガラとスオウ,オハグロとスオウが再び反応し,これによって,ベンガラの「塗り」の黒が,より「染め」の黒に近い,木地の透けた奥のある黒になってまいります。

 染まったところで木地を軽く整えて,上塗りに入ります。
 「黒」を使わない「黒塗り」…ってのも不思議なものですが。ここで塗るのはカシューの「透(すき)」ですね。

 下塗りをしっかり乾かして固め,中塗りをなんどか重ねて,中砥ぎ,上塗り,仕上げ磨き。

 棹頭の飾りと半月も磨いて,胴の表裏板はヤシャブシで染めます。

 出来てきましたねえ。

 山口(トップナット)はツゲ。糸を張って半月を接着する位置を探ります。有効弦長は651と決まってますが,棹が細くて長いので左右のバランスとるのがけっこうタイヘンですね。なんせ今回は2弦でも3弦でも4弦でも,いちおう弾けるようにせにゃなりませんし。

 半月がついたところで,とりあえず手元にある糸を張って耐久テスト。
 一見丸胴の箱三味線ですが,弦高が高いのでまだ開放弦しか音は出せませぬよ,おほほほほ。

(つづく)


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