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福州南台太華斎2(2)

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斗酒庵 太華斎と再会 の巻2021.10~ 太華斎の月琴 (2)

STEP2 唐揚げとザンギは違うモノ。

 前回で,外面からの計測・調査がだいたい終わったので,今回はいつもどおりにバラしながら,内部構造のほうへと進めてゆきましょう。

 フレット,お飾り類のほか,バチ皮と半月の痕にも糊がこびりついてますので,お湯を刷き,濡れた脱脂綿をかぶせて接着剤をゆるめてゆきます。
 まず最初に,胴左右のニラミがはずれてくれました。
 そういえば前の楽器のお飾りも……と,思い出したのですが。この作家さんは,お飾りなんかの染めがとてもキツい人でした。はずれたお飾りを洗浄したら,スオウが染み出て水がたちまち真っ赤,はずす作業で板のほうにも汁が染み出てるので,そっちも早々に拭います。

 ニカワの質や付けかたの違うところはあちこちありますんで,メンテナンス程度での再接着はあったようですが,オリジナルの接着がかなり多く残ってるみたいです。いつもですと,ひとつふたつは木工ボンドとかセメダインなぞが出てくるところですが,今回はひとつもありません。ニカワ・オンリー。おかげで剥離作業がエラくスムーズですヨ。

 一日二日乾かしてから次の段階へ。
 まずは裏板のほうから剥いてゆきますね。
 すでに地の側板が完全にはずれてしまっているので,その左右の接合部あたりのスキマに刃物を入れ,回してバリバリ………

 さすがに経年劣化でニカワの弱ってる場所も多かったのか,スキマに水を垂らして少し置くていどで,比較的難なくハガれてゆきます。内桁も片側半分くらいしかついてなかったんですが,縁周と違って空気に触れてないせいか,さすがにちょっと頑丈で,苦労しました。

 構造としては唐物および流行初期の月琴の定番。円の真ん中に一枚桁を渡しただけの単純な作りですね----

 ん…んん~~ッ?
 内桁にご注目ください。

 レンズは…広角になってないし…メガネは…老眼鏡だ。やっぱ,曲がってますよね,この内桁の板。
 狭いところへムリヤリつっこんだ結果なのか,表裏の板が収縮したせいなのか,あるいは元からヘニャってた板をぶッこんだのか………うーん,表裏の板との剥離ぐあいも微妙だし,現状ではなんとも言えません。

 材質はたぶん桐だと思います。国産月琴だと針葉樹材が主で,たまに側板と同じ広葉樹材なんかも使われますが,唐物だとほとんど桐一択ですね。

 板自体はなんかくにゃッちゃってますが,左右両端は側板に溝を切ってきっちりハメこんであります。丁寧な工作ではありますが,側板の材料は例のラワン系の木材ですから,強度的な面から考えると,ちょっとギリギリの加工という気もしますね。

 響き線は棹孔の横の楽器右肩から内桁をくぐり,胴内を半周する長い弧線。基部は胴に小孔をあけてつっこみ,横に竹釘を打って留めてあります。老天華のと比べるとやや太目ですが,こないだの清音斎や以前やった玉華斎ほど太くはありません。表面に軽くサビは浮いているものの部分的で,焼き入れした鋼の色がそのまま残ってるところのほうが多いですね。表面から見た状態の割には悪くない保存状態です。

 天の板の裏板との接着部分にかなりの虫食いが見えますね。この中のいくつかは,前回紹介した表面の虫孔とつながってるかもしれません。

 ハガした裏板のほうですが,前回もちょっと触れたように枚数の少ない3枚接ぎ,画像右がわの小板が節目だらけの問題板……そのほかひッぺがしてみたら,真ん中の板の板ウラにけっこう深いエグレ,というか加工粗が見つかりました。エグれてるのが,内桁のギリギリ手前になってるあたりが賢しくて,却って印象マイナス(w)です。

 内部構造の観察と各部採寸が終わったところで,さらにバラバラバラバラバラ…
 響き線も引っこ抜いて,胴体の分解,完了です!
 いつもながら,ぜんぶを重ねても一山----部品数の少ない楽器ですよね。

 さて,毎度ご覧の方々には「バラバラって…棹はどうした?」と思われた方もいらっしゃるかと。
 うん,今回の分解作業,棹もいっしょにするわけにはいかない事情がありまして…
 次回はそのあたりから。

(つづく)


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