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田島真斎(6)

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斗酒庵 田島真斎と邂逅す の巻2021.10~ 田島真斎 (6)

STEP6 サイボーグじゃないほうのクロちゃん

 裏の廃墟に住んでいるクロちゃん(♂5歳)が2時間半もふもふさせてくれたおかげで,少しSAN値が戻ってきた斗酒庵主人です。
 はっはっは…クロちゃん,よせやあい。
  その触手は反則だよぉ。


 田島真斎,修理もラストスパートです。
 何度も書いてますが今回の修理,前修理者が何もやらず,棹もない首ナシ状態でいてくれたところから始まったほうがよっぽど極楽でした。作業のほとんどは「修理」というより前修理者の「やらかし」のリカバー,尻拭いですぅがっでむきるゆー。

 まずは半月を戻します。
 棹の3箇所に中心を出し,それを延長しながら楽器の新しい中心線を決め,事前の記録と痕跡から半月のあるべき位置を求めますが。庵主,最終的には糸張って,実際に目で見て確認しながら調整しますね。


 接着位置が決まったところで,保定中に位置がずれないよう当て板を噛ませ,板と半月ウラの接着面をよく湿らせてから接着します。けっきょく原作者の元貼ってた位置からほとんど動かなかったのですが,確認しないで貼ってやり直しになるより絶対お得です。

 事前に測ってみたところ,予想される弦高は,山口(トップナット)がわで12,半月(エンドピース)がわで9ミリくらい。棹は山口のところで3ミリほど背がわに傾いているので,ここから3ミリ,半月のほうはちゃんと結わえると,糸は縁裏のポケットの中,上面より1~2ミリほど下がった位置から出てきますので,実際に弦を張った時は,山口がわが半月のほうより1~2ミリほど高くなるはずです。
 この落差がないとフレットの高さの差が小さくなり,調整しにくくビビりやすい楽器になってしまいますし,ありすぎればそれもまた,運指に支障が出ます。庵主が棹角度の調整をいっしょうけんめいやるのも,このせいで楽器の使い勝手がずいぶん変わってしまうからですね。

 さあ,フレッティングです!
 従前はオリジナルのフレットはなくなって,何か茶色に塗りたくられた竹板が並べられていました。原作者の胴体の工作から見て,元々はちょっと良いめの楽器だったと思われますので,フレットも,柘植とか象牙とかちょっと良いめの素材だったかもしれませんが,ここはいつもの竹フレットでカンベンしてもらいます----まあ庵主の竹フレットは無駄に手間かけるぶん,下手な素材のものよりゃよっぽど上等だと思いますがね。(w)

 棹が後補だったので,そもそもフレット位置が製作当時と同じかどうかは分からないんですが。フレットを修理前に測った位置に配置し,4C/4Gで調弦した場合の音階は----

開放
4C4D-54Eb+404F+154G-54A-455C+155D-105F+37
4G4A-204Bb+305C+105D-155Eb-5E5G5A-206C+25

 2・5フレットの音がちょうどEbとEの中間あたりになっちゃってますが。清楽器の音階としてはそれほど大外れというわけでもありませんね。6フレットでピッチも合ってるみたいですし,意外とフレット位置はオリジナルからズレてなかったかな?

 フレットは古色をつけ,ラックニスにドボンして固めてから磨き直して,西洋音階準拠で接着。補修・補彩して磨いたお飾りも接着したら----

 2021年12月16日,
 田島真斎の月琴,修理完了です!
 (全景画像はクリックで別窓拡大)


 背中には残っていたラベルの欠片を,元のラベルのカタチと大きさのスオウ紙に移し,貼りつけました。銅版印刷なんで字が細かくて,さすがにコレは贋作(w)できませんね~。
 もともとの工作が良く,材も美しいので,元ついてたような余計な装飾は要りません。オリジナルについてたものでじゅぶん。

 石田不識の楽器とほぼ同様の構造ですが,彼のより響き線が繊細なため,その効果が十全な演奏姿勢の幅が若干せまくなってます。不識のよりはやや横に傾けたくらいですかね。

 余韻はそれほど長くも大きくありませんが,うまくつくと,シィーンと落ち着いたきれいな減衰音が聞こえます。
 フレットも低めにまとまったので,操作性は悪くありません。まあ庵主はこの手の,棹の長い関東型月琴で身体が慣れてしまっているので問題ありませんが,よりコンパクトな関西型や唐物から持ち帰る場合には多少違和感はありましょうか。

 で,いつものフィールドノートです。(クリックで別窓拡大)

 いつもはもっと前の段階で公開してるのですが,今回は本体計測後の書き込みも入った 「最終バージョン(w)」 です。
 分解とかしてる時だけでなく,修理中にも新しいことが分かったらどんどん書き込んでますからね。いつものよりはちょっと汚くなっちゃうんですが,寸法など諸元詳細お知りになりたいかたはどうぞ~。

(おわり)


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