『声光詞譜』電子版 補遺6曲公開!
『声光詞譜』電子版 補遺6曲 復元楽曲と解説を公開!! 今回復元した補遺6曲は,明治6年の『声光詞譜』には載っていない曲です。 明治10年に出された,山本小三郎の『月琴手引草』(1枚刷り)と吉見重三郎『明清楽譜』(雪月花3冊)は,タイトルは違ってますが,内容は実質『声光詞譜』と同じで,本の最初のほうにある内題にも「声光詞譜」と銘打っています。要は本の内容をあッちからそッちうちしたもの。剽刻本とでも言いましょうか。 ただ,この両書の巻末には,平井連山の『声光詞譜』には収録されていない譜が6曲収録されています。それぞれ版形も字組みも違いますが,各曲題も曲順も,譜の内容もほぼ一致しています。 明治6年から10年の間に,この6曲を含んだ『声光詞譜』の増補改訂版が出てたのかもしれませんが,いまのところ不明ですね。 明治17年に連山の妹・長原梅園とその息子の春田が出した,連山・梅園派の主要楽曲をまとめた第二楽譜集とも言うべき『清楽詞譜』にも,これらの曲はタイトルを変えて収録されてます。6曲中の3曲はいわゆる「裏曲」で,オモテにあたる曲と同時に演奏すると,あらふしぎ,かっこよく聞こえるよ!----というコンセプトの譜なのですが,もともと「○○(主曲の題)裏」となってたのを,この本では「秋籬香」とか「寒松吟」なんていう,一見してみやび~な感じに変えたりしてます。 梅園の『清楽詞譜』が出た明治17年には,渓派でも中興・富田渓蓮斎が同派の第二楽譜集にあたる『清風柱礎』を刊行し,この前後には両派ともに楽譜の整理・統一や歌曲の音韻修正などをさかんに行っていたようです。まあ,どっちの「修整」も,もともと実は中国にも音楽にも大して詳しくないような酢豆腐連が,勢いにまかせてイロイロやらかしちゃったもンで----この時やったことのほとんどは,百年ちょいしてからその不正を庵主に暴かれてはプギャーされるハメになってますが。 今回の6曲はそのはちゃめちゃ修整以前の譜ですんで,初期の連山派における演奏の様子がけっこう色濃く残ってる感じですね。 1月なかばからほぼ1ヶ月,雪かきしながら組んでおりました。 資料がそろわなかったものが多いので,標準化の作業までたどりついていないものがほとんどではありますが,閑時聊御笑納あれ。
(つづく)
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