依頼修理の月琴(終)
月琴WS@銀狐! にちようかいさい 2025年10月!!!
*こくちというもの-月琴WS@銀狐 10月のお知らせ-*
10月の月琴WS@銀狐は、 19日(にちようび)16;30よりの開催となりました。 月琴WS、ひさびさの日曜開催でえす!
会場は台東区下谷・小野照崎神社(通称・小野照さん)のお隣、「銀狐」さん。
最寄駅はJR「鶯谷」もしくは地下鉄「入谷」となりまあす。 前とかわらず、参加費無料のオーダー制。 お店のほうに Drink or Food のオーダーお願いいたします。 ほぼ銀狐さんの通常営業にまぎれての、酔いどれ飲み会WS。 予約は特に不要、参加自由、途中退席自由。 楽器は余分に持っていきますので、手ブラでのご参加もお気軽に~~~! 初心者、未経験者だいかんげい。 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい、弾いてみたい方はぜひどうぞ。 うちは基本、楽器お触り自由。 絶滅楽器「清楽月琴」なんてぇものに触れられるエエ機会。 1曲弾けるようになっていってください! 明清楽・長崎派の楽曲まとめ。 『大清楽譜』乾024「断板」まで進みました。 夏休み1ト月半かけて6曲かあ。 ほんに週イチペースになってますねえ。 最近は寄るトシナミで、2時間ぐらい集中するとキゼツしそうになりますから。物事は何でも、「集める」よりは「まとめる」ほうがタイヘンなんですよぉ。 |
2024.11~ 依頼修理の月琴 (6)
STEP6 汝復活せし者の名を呼ばへよ(1) 月琴は胴体の造りで音のほとんどが決まる----とはいっても。 ライアーじゃないので、ネックがなければただの丸い筐…まあ演奏はできませんな。 愛しい胴体とのフィッティング作業は後ほど、偏執的かつ延々と行うことになるとして(確定事項)、まずは外見的に気になるところを補修しておきましょう。
棹の根元付近、指板側から見た時に左右が対称ではなく、左側の縁が少し欠けてしまっていますね。 この楽器の作者の工作には中二病的傾向があるので……なるほど、ここのラインもふつうの直線ではなく、いま地上に降り立った天女の裳裾のように、美しく、左右対称に流れるテーバーアールを描きたかったんでしょうなあ。キモチは分かる----やンれ仕方ないねェ…この爺ィがなんとかしてやろう。
まずは欠けたんだか欠いたんだかしちゃった箇所を、整形して平らに均します。 ここに端材箱からちょうどいい大きさの唐木材のカケラを接着。元から接着の悪い唐木x唐木なうえ、最大幅3ミリくらいの極小部品の接着ですので。ここは当然、現代カガクの強力な接着剤を使います。製作当初には難しかったでしょうが、今ならカガクの力で、最少範囲での補修が可能ですものね。
完全に固定されるのを待って、慎重に加工。ちょっと色味に違いはありますが、ほとんど周囲を傷つけずに整形完了。うんなるほど----キレイなフォルムですね。 さてと、原作者のやり残しをまた一つ、片付けたところで。胴の組み立てに入りましょう。 板ウラ面の補修と整形の終わった表板に、これもまた接着面や接合部を整形した側板を、きっちり並べて接着してゆきます。 桐板のほうはともかく、側板は最恐の唐木といわれる鉄刀木。 いつもよりも接着面をじっくり湿らせ、薄めに溶いたニカワをたっぷりふくませておきました。
分解時には試行錯誤の痕だらけだった板ウラ…あれはあれで100年以上前の工作の痕でしたから、それなりに意義はあり、古寺の大工の悪戯書き並みには残してあげたい気もありましたが、楽器は道具ですからね……キレイに平らになりました。
板および側板各部の接着部を徹底的に整形、接合部も噛合うよう整形した結果。きっちり合わせて組み立てると、どこかの接合部にスキマが出来るだろうことは分かってました----これは部材の経年変化によるものとかじゃなく、ほぼ原作者と庵主の工作精度と時代による道具の差ですね。 再接着の際、側板の彫刻を見比べながら、後始末がもっともラクで、かつ見栄え上の不都合がもっともなさそうなところにスキマを持ってきています。
四方の側板と表板がくっついたところで、できた2ミリのスキマに補材を詰め込みました。 ここだと梅の幹が少し伸びたぐらいで済みます。 この時点ではまだ側板同士は接着されてませんので、補材といっしょに微妙に調整しつつ順次接着し、胴側を輪につなげてゆきます。
四方接合部のウラには補強用の小板も接着しておきます。いつも書いてるように、月琴の音はいかに胴体が「ちゃんとした箱」になっているか、で決まります----この四方の継ぎ目はとっても大切。ここが密着していて、全体が一本の輪になっているのが理想ですね。
小板の接着面は、接合部の凸凹に合うよう微妙に削って調整してあります。 胴材が接着の悪いタガヤサンなので、何かの拍子にはずれちゃわないか少し心配ですが、現状で出来うる限りのことはしておきましょう。
数日後、接着を確認したところで、音の邪魔にならないよう、できるだけ薄く整形します。
ハイ、これで胴体は、いちおう安定した「桶」の状態になりました。 ここまで各部接着時に部材がズレないよう、また構造の支えとして仮にハメてただけだった内桁を接着しましょう。
まあ、従前は割れてるわなんかつッこんであるわカパカパしてるわで、スゴい状態の内桁でしたが(前回報告参照)、破損部の修繕補強、板との接着面の調整、両端の補強調整……たかが孔の開いた厚さ1センチの細い桐板一枚に、けっこうな手間と苦労が詰め込まれております……ううう。なんせこの楽器の背骨みたいなものですからね、コレ。原作者が思ってた以上に重要な部品なのよ。
唐物直想のごく浅いアーチトップの実現を狙った原作者により、内桁は真ん中が微妙にふくらみ、左右端にゆくほどすぼまったカタチになってますので、接着の際もより板に密着するよう、重さのかかるところをいくつにも分散しつつ、中央と左右で重量を変えるとかイロイロ苦労しましたが…かなり上手い具合にくっついてくれました。
これで胴体構造はあらかた完成! 裏板を閉じる前に、棹とのフイッティングをやってゆきますよ。ほれ----上左画像、内桁の孔のところなんかスッカスカでしょ?
棹なかごと各部の孔との接触部を、削ったり、スキマを埋めたりしながら、棹の角度や傾きを調整し、月琴という楽器としてのレギュレーションに近づけてゆきます----とはいえ今回の楽器は、棹なかごが胴を貫通しているタイプですので、胴との接触部分がいつもより多く、しかも極端に長い----調整可能な範囲には限界がありますね。
この棹は現状、表板がわにわずかにお辞儀したカタチとなっており、基部の棹背がわと胴側面の間は1ミリ近く開いてしまっています。
仮に現状の接合部の形状に合わせた場合、棹はちゃんとマトモな月琴の定石通り背面に傾く設定となっているんですが、原作者の工作だと指板の先端部で10ミリ…1センチも傾いちゃいます(理想は3~5ミリ)。そのうえ、棹なかごがむやみに長いので、もしこれに合わせた場合には棹なかごの先端が表板ブチ破っちゃいますね。 おそらくは試行錯誤中、まだ棹なかごが内桁までの長さだった段階では、この設定でピッタリきっかり収まってたんでしょうが、その後、あんにゃらもんにゃらして、棹なかごが胴を貫通するタイプに変更され……そしてこうなった、というところでしょうか。
お尻の孔を限界まで削り、なんとか少しだけ背面がわに戻しましたが、できればあと1ミリくらい傾けたかったですね。 (つづく)
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