月琴WS2020年12月!!

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斗酒庵 WS告知 の巻2020年 月琴WS@亀戸!12月!!


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 2020年・最後のWSのお知らせ-*


 じんごのべーじんごのべーすずがーなるー。

 本年も清楽月琴WSに御出でいただけた方々,
 まことにありがとうございました!
 今年もいろいろな出会いがありました。
 いつもいちばん楽しんでるの,主催者かもな~(www)
 つぎに月琴と出会うのは…あなたかもしれない。


 今年最後,12月の清楽月琴ワ-クショップは19日の開催予定です!!
 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。

 いつものとおり,参加費は無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 お昼下りのゆるゆる開催。

 美味しい飲み物・お酒におつまみ,ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか)やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。相談事は早めの時間帯のほうが空いててGoodです。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)


 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

紐飾りを作ろう!

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斗酒庵秋にひっかける! の巻2020.10 紐飾りを作ろう!

STEP1 ファッショなぶる月琴

 さて,古い写真や絵図なんかには月琴のピックのお尻や糸倉のところに,房飾りの付いた飾り紐が結わえられているのをたま~に見ます。
 イ族やプイ族は月琴のピックを紐や細いハリガネなんかで半月に結いつけてます。彼ら,踊りながら立奏するんで,手を離しても落ちてなくなったりしないようにする工夫ですね。
 日本の清楽月琴のピックの紐も,おそらく当初は同じような目的で紐を付けてたのが,飾りとして独立したものだと思いますよ。

 ピックの紐や房は見た目カワイイですが,弾いてるとジャマでしょうがないんで,庵主は小さい房以外あまり使いません。

 糸倉に結んでぶるさげるやつのほうは,少数民族の楽器に限らず現在も中国だけでなくベトナムや東南アジアあたりでも,古い音楽をする楽器についてるのを見ますね。
 これもまあジャマっちゃあジャマなんですが(w)
 ピックのジャマさほどでもないし,楽器を壁のフックに引っ掛ける時の取手みたいにも使えますんで,こっちはいまでも付けてる楽器がありますね。
 基本,キレイな色や模様のヒモをひっかけとくだけでいいんですが。
 ちょっと「ソレっぽい」感じのほうがいいでしょうから,庵主の作ってるのをご参考までに紹介いたします。

 まずは材料----

 ヒモは150~180センチくらい。
 月琴の全長が65センチくらいですから,二つ折りにした時,それよりちょっと長いくらいがよろしいでしょうか。
 まあむやみに長いとジャマになるですからホドホドに。

 本物は凝った組紐とか使ってますので,懐に余裕があればそういうのを買ったり自分で編んだりするのもよろしいかと。
 百均で売ってる色つきの紐なんかでもいいですよ。

 庵主の使ってるコレは,「ちりめんひも(細)」というもの。
 綿芯をちりめん布でくるんだものですね。
 固い紐だと楽器の表面を傷めることがありますが,これならまあそういうこともない。
 手芸屋さんの大きいとこならけっこう置いてあるかと。
 165センチで¥400くらいですた。


 あとは房を2つ。
 色んな種類がありますが,これは最初から頭に飾り結びがついてるタイプ。
 2個1セットでこれも¥400くらい。
 今回買ったのは,デフォルトではちょっと青味がキツかったので,ひもに合わせてスオウで染め直しました。

 そいじゃあ作りますよぉ----


 まずはひもを二つ折りにして,ちょうど真ん中にあたるあたりに色糸を結んでおきましょう。
 左右のバランスの目印とかになります。


 次にひもの片方,目印から20センチくらいのところにひとつ結びの輪を一つ。


 これにもう片方のひもの端を上から通して,


 最初の輪にからめるようにひとつ結びの輪を作り


 作った輪っかをひっくりかえし
 結び目を左右とも外がわになるようにします


 画像の赤丸のところをつまんで,左右の結び目のところを通し
 四方をひっぱると,ちょうちょう結びのような飾り結びになります。

 これは「総角結び」という結び方ですが,出来る人はもっと長いひもで,梅結びやら几帳結びやらに挑戦してみてもいいでしょうね。

 左右のバランスに注意しながら,羽根の大きさや位置を調整し,5~7センチくらい離してもう一つ。

 作業を繰り返して,今回は3つ作りました。
 左右に出てる羽根の部分は大きいほーが目立ちますが,ここが大きいとヘンなものにひっかかって楽器を損しかねませんので,小さめにしたほうが無難。庵主は2~3センチくらいにしてます。

 全体のバランスを見て悪くなさそうなら,結び目を縫ってほどけないように固定しちゃいましょう。プスプスっとな……ふふふ……粘土人形以外にハリを刺すのはひさしぶり………てきとうでいいです。

 最期にひもの端に房を縫い付けて完成です!

 糸倉への取付はこんな感じ。
 てっぺんの輪になってる部分を中からくぐらせ,房の付いた先っぽのほうをそこに通してしぼっただけですね。

 最初のほうで書いたとおり,演奏上はジャマにこそなれさして音楽的な意味のあるようなものでもありませんが,弾いてる時にぶらんぶらん揺れてるのはパフォーマンス的に悪くないですヨ。


(おわり)


月琴WS@亀戸2020年11月!!

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斗酒庵 WS告知 の巻2020年 月琴WS@亀戸!11月!!


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 11月 のお知らせ-*


 どんぐりころころ(月琴沼に)どんぶりこ。

 錦秋の10月の会に御出でいただいた方々,
 まことにありがとうございました!


 11月の清楽月琴ワ-クショップは連休を後にひかえた,21日の開催予定です!!
 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。

 いつものとおり,参加費は無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 お昼下りのはらひら開催。

 美味しい飲み物・お酒におつまみ,ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか)やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。相談事は早めの時間帯のほうが空いててGoodです。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)


 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

牛蹄ピック配布 2020年10月(2)

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斗酒庵 ピックの件告知 の巻牛蹄ピック配布 2020年10月(2)

 牛蹄ピックの製作が完了いたしました。

 今期のカンザシ兼用長モノ(女性向)は,むかし和紙に罫線を引く時に使ってたヘラの形を模してます。

 墨をつけて書くのじゃなく,圧痕で色のない線を引く----下書きの原稿用紙とか,個人的な書留帳とか,手紙なんかで使う文房具の一つですね。和裁に使うヘラと同じものですが,まああくまでカタチを真似ただけなので,その道具としては使えません(w)
 これに類した形のカンザシは文人好みの一つ。
 小難しい文章を書きなぐってる旦那の横で,旦那の使う用紙に線を引く奥さん or 恋人というのは文人オタクの連中が好みそうなシュチュ,こういうのを挿して旦那のそばにはべるのは,あたしが和紙に線を引きますから=内助の功を出しますわよ,というようなメッセージにもなったわけですね。

 長いのは最大15センチ,中くらいのが10センチほど。
 短いのが8センチくらいです。
 古い図なんかでよく見る,先の平らなタイプも1枚作りました。
 まあ使い勝手では尖がったほうがイイですがね。(w)

 御入用のかたはご連絡あれ。

 うちで修理した月琴のオーナーさんで持ってない方は,初回無料です。
 うちのじゃないけど月琴持ってるヒトとか,もう何枚か持ってるけど新しいのが欲しい,というかたはいくらか供出してください~。

 酒などゲンブツ,会った時払いでも可(w)
 前にもらった切手とかあるんで,送料はこちら餅でいいですよ。
 送るモノはこっちで勝手に決めます。柄までは指定できませんが「長いの」とか「短いの」,「ぶ厚いの」「薄いの」といったご要望アラバ,言っておいていただけるとサイワイ。

 申し込みがなければ毎度のことながら,WSでバラまいちゃうので,ご連絡はお早めに~。

牛蹄ピック配布 2020年10月

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斗酒庵 ピックの件告知 の巻牛蹄ピック配布 2020年10月

 年に何回かやってる牛蹄ピックの製作を開始いたしました。


 (製作風景)
 改訂版・斗酒庵流月琴ピック製作記
 最新版 斗酒庵流牛蹄ピック製作記!

 10月の終わりころまでにはなんとか完成するかと。
 御入用のかたはご連絡あれ。


 うちで修理した月琴のオーナーさんで持ってない方は,初回無料です。
 うちのじゃないけど月琴持ってる方とか,とか,もう何枚か持ってるけど新しいのが欲しい,という方はいくらか出してください~¥500以上なら上々。酒などゲンブツ,会った時払いでも可(w)
 その際は「長いのを」とか「短いのを」,「ぶ厚いの」「薄いの」といったご要望アラバ,言っておいていただけるとサイワイ。

 申し込みなければ毎度のことながら,WSでバラまいちゃうので,ご連絡はお早めに~。

月琴WS@亀戸2020年10月!!

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斗酒庵 WS告知 の巻2020年 月琴WS@亀戸!10月!!


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 10月 のお知らせ-*


 どんぐりころころどんぶりこ。

 草刈り帰省後9月の会に御出でいただいた方々,
 まことにありがとうございました!


 10月の清楽月琴ワ-クショップは第4土曜日,24日の開催予定です!!
 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。

 いつものとおり,参加費は無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 お昼下りのどんぐりこ開催。

 美味しい飲み物・お酒におつまみ,ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか)やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。相談事は早めの時間帯のほうが空いててGoodです。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)


 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

月琴15号張三耗 再修理(2)

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斗酒庵張三耗と再開 の巻2020.5~ 月琴15号再修理 (2)
STEP2 張三耗の大黒様

 糸倉の破損で帰ってきた15号。

 そちらのほうは破断面を継ぎ,これでもかと補修を重ねました----この楽器の損傷としては重症の手合い。糸倉は最も力のかかる箇所のひとつですのでやってやりすぎ,ということはありません。お父さん,心配性なもので。それでも不安はないではありませんが,日常の使用にはとりあえず問題ありますまい。
 さて,修理痕を隠すため棹を黒染めしたものの,この楽器,もともと全体に色が薄めでしたので,さすがに棹だけ真っ黒になったんじゃげぇばえ(外映え)が悪いというもの。
 全体のバランスをとるため,胴側や半月も染め直したいとこですね。ついでに前修理の時にはできなかった箇所の再調整なんかもいろいろとやっちゃいましょう。

 まずなにはともあれ,表板からお飾り類をはずします。

 フレットやニラミはまあいいのですが,あいかわらず凍石のお飾りが頑固ですね……唐物や国産月琴でもいちばん困るのがこの石のお飾り。正直これ,楽器の機能上はほんと何の役にも立ってない「お飾り」ですし,こうやってメンテの時はジャマ以外のナニモノでもありませんで,いつもとッぱらってふてちゃいたいと思ってるんですが,これもふくめて「清楽月琴」という楽器に内包される文化の一部ですんで,あなおろそかにもできませぬ。
 とくにこの蝶のお飾り…庵主渾身の作なんですよねぇ。


 むかし上野の書道道具屋さんから譲り受けた,とっても良い石が使われおります。たぶんもうそうは手に入らん石なんで,なるべくなら壊したくない----そう思って当時ムダに頑丈にへっつけたもので,あんのじょう最後まで残りまして。けっきょくすべてのフレット・お飾りを除去するまでにあしかけ三日ほどもかかってしまいましたよ。
 次はメンテの時もうちょっとはずれやすいようにへっつけます。(w)

 はずしたお飾りのうち,左右のニラミは褪色により左右で色味が異なり,片方シッポが切れちゃってます。全体としては損傷のきわめて少ないほうでしたので前回はスルーしたんですが,今回はこのあたりも徹底的に。

 まずはホオ板からシッポを切り出し,接着。
 この時,破断面だけでなく継ぎ目を中心にその裏面にもエポキを塗り広げ,薄い和紙を当てて浸透させ,裏面に継ぎ目をつなぐごく薄い樹脂の膜を作ってしまいます。こうすると小さい部品でもふたたび壊れにくくなりますからね。

 補修部分の補彩とともに染め直しをしながら,左右の色味をそろえてゆきます。二三回のリテイクの後,なんとかそれっぽくそろえることに成功……うん,けっこう難しいですね。片方が薄いと思って濃くしたら,今度は反対がわより濃くなっちゃう,みたいな?

 塗装と違って,染め汁が乾いて磨いてからじゃないと色味の違いが分からない,というのも難点ですわい。薄めた染め液で少しづつやってくのが,時間はかかりますがいちばん確実かと。

 半月にゲタを噛ませ,山口をより唐物に近い富士山型のと交換します。
 唐物のパチモノが「倣製月琴」ですから,その本来の意図に沿った部品のほうがいいですわいな。

 最初の修理で胴側には部分的なアラ隠しのためベンガラと柿渋が塗られていました。当時はマスキングなんてこともしてなかったようで,今回帰ってきたのを見たら,木口についた柿渋が発色して,胴側との区別がつかないくらい真っ黒になっちゃってましたよ。

 いまならもう少しうまくできますな。
 まずはその真っ黒な表面を削り落としましょう。

 水拭きしキレイに磨いたら,板の木口と胴側板が見えてきました。この作業中に楽器のお尻あたりに板の浮きを発見。
 刃物ですこし広げ,薄めたニカワを流し込んで再接着しておきます。

 一晩おいて補修部分の接着が確認できたところで,表裏板の清掃。
 そんなにヨゴレてはいませんが,お飾り類の除去で予想外にてこずったため,ちょっと水ムレもできちゃってますんで。

 乾いたら半月の周辺と表裏板の木口をマスキング。
 染めに入ります。

 まずはスオウで赤染め----オリジナルのも前修理のも側板の塗装はまとめて削り落としちゃいました。そうしてようやく気がついたんですが,地と右の側板は真ん中にでっかい節がありますね。いままで気が付かなかったってことは,原作者はこれを隠す意図で塗りを施してたのかな?
 二日ほどかけてスオウを重ね,ミョウバンで媒染。
 同時進行の63号でも同じことしてるんですが,材質の違いからか発色の具合が異なります。こちらのほうがやや薄いので,あと数回スオウを重ねて赤味を足しておきます。
 一日休ませてから,オハグロで黒染めですね。

 棹のほうは黒染した上からカシューで固めてますが,こちらは柿渋と亜麻仁油で定着させてロウ磨きで仕上げます。

 ----そして1ヶ月!

 庵主,その間夏の帰省,北の大地で草刈りに励んでいたわけですが,あの酷猛暑の中,密閉された四畳半一間にとじこめてましたからね~。
 帰ったころには油も塗料も完ッ全に乾いておりました。

 棹は水砥ぎで塗膜を均し,亜麻仁油と研磨剤,カルナバ蝋で磨き上げます。
 塗りっぱなしではギラギラしてた棹が,しっとりと落ち着いた艶になりました。

 ----せっかく磨き上げた棹ですが,この塗膜の上からだとニカワのつきが悪いので,割箸に紙ヤスリを貼って作った「フレットやする君」でてきとうに荒してから,山口とフレットを接着します。

 山口は唐物月琴に多い富士山型でいつもより少し背が高めです。この楽器の棹は背がわへの傾きが浅く,そのままだとフレット丈が全体に高くなっちゃうので,半月には煤竹のゲタも噛ましてあります。フレットも山口と同じツゲで一揃い,新調いたしました。

 あとはお飾りを戻せばいいだけなんですが----ここで問題発生!
 フレットが前より少し厚くなった関係で,棹上2・3柱間に付いてたお飾りが入らなくなってしまいました。
 急遽,入るようなお飾りを彫ったくって交換します。

 あと,第1フレットが少しズレてついちゃってたのでやりなおしたり,いちばん上のお飾りを取り替えたり,バチ皮がどっかいっちゃたんでバチ布に貼り換えたり………最後の最後にけっこうバタバタしちゃいましたが,

 ちょこちょこッとクリア。

 5月のWSで受け取ってからですからね…ホントにおまたせしちゃいました。
 2020年9月19日,倣製月琴13号三耗,
 再修理完了です。

 メインであった糸倉割れの修理は上々。

 いまのとこ糸巻をどう操作してもぜんぜん大丈夫ですし,割れ目もまず気づかれないくらいキレイに埋まってます。
 ただ,修理部の保護補強のため,塗り棹にしちゃったんで。持った時の感触や見た目の質感が修理前とはかなり違っちゃってます----カシューの塗膜はきわめて丈夫なので,ヨゴレとかは付きにくいですけどね。庵主自作の実験楽器や創作楽器は塗り棹が多いので,自分ではあんまり気にしたことがないのですが……このあたりは実際に持ってみて好みの分かれるとこか。
 まーこれでまた壊れたら,次は棹丸ごと複製してやりますで,気にせずガンガン使ってやってください。

 できるところは調整しまくり前よりはいくぶんか使いやすく仕上がってると思います。フレット高を下げたので,高音域での響きが少し改善されましたね。前より音の伸びがいいです。楽器の調整の腕前はたぶん10年前よりは上がってますからねえ(w)

 記録を見ると,この楽器を最初に修理したのが2009年の暮れ…ああ,もう11年もたっちゃったんですね。

(おわりのはじまり)


月琴WS@亀戸 2020年9月!!

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斗酒庵 WS告知 の巻2020年 月琴WS@亀戸!9月!!


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 9月 のお知らせ-*


 あきのひのヴぃおろんのひたぶるにうぃずころな。

 7月の会に御出でいただいた方々,
 まことにありがとうございました。
 8月のWSは庵主,草刈り帰省のためお休みをいただきました。


 9月の清楽月琴ワ-クショップは月末,26日(土)の開催予定です!!
 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。

 いつものとおり,参加費は無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 お昼下りのとろりんこ開催。

 美味しい飲み物・お酒におつまみ,ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか)やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。相談事は早めの時間帯のほうが空いててGoodです。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
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 64号初代不識はお嫁入り先募集中。
 修理中の63号唐木屋も,何とか間に合うかと。

 ご思案の方は,連載中の修理報告などご参考になさってください。
 まだ嫁入ってなければ持ってゆきまあす。

 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

月琴63号唐木屋(5)

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斗酒庵夏にもさかる の巻2020.3~ 月琴63号 (5)

STEP8 劇場版 カラキヤ オールスターズメモリーズ


 63号を作った本石町の「唐木屋」さん,ですが。
 明治・大正時代の資料ではその創業は 「元禄二年」 と書かれておるものの,江戸時代の資料をいくらめくっても,「唐木屋」という楽器店は見つかりません。それもそのはず----そのころの「唐木屋」はまだ 「楽器屋」 じゃなかったんですね。
 『江戸買物独案内』(文政7)で「唐木屋」は「呉服」と「小間物諸色問屋」のところに出てきます。

 え,商売が違うのに同じ店かって?
 まあ住所が同じ(本石町二丁目)で商号が同じ(マル七),そして店主通称が「唐木屋」ですからね。
 まず間違いありません。
 お疑いならためしに,同じ本で商号「マル七」で「唐木屋」っていうお店,ほかにあるか探してみてください----庵主は見つけられませんでしたヨ。(w)

 この頃には呉服と小間物がメインになっていたようですが,その店名の通り「唐木屋」は,はじめ黒檀や紫檀といった輸入木,そしておそらくはそれを使った商品を扱っていた店であったようです。


 「唐木」は三味線など楽器の材料でもありますし,それを使った中国風の家具や道具は,月琴と関係の深い煎茶趣味でよく用いられるもの。また小間物商はお箏三味線の糸やらバチやらも扱っていることが多く,その伝手で楽器そのものの購入の仲立ちとかもしていました。どちらも直接ではないものの,もともと楽器と関連が深い業種ですね。

 唐木屋がいつごろから楽器を主力商品とするようになったのか,正確なところは分かりませんが,明治12年に出された『商業取組評』(明治12年)という本----お江戸の各分野のお店を相撲の番付っぽく仕立てたものですが----ここに載っている「三味線番付」で,唐木屋は日本橋本町の柏屋(石村)などとともに,すでに三味線屋の「勧進元」に挙げられています。

 東の大関が長谷川町山形屋の井出武四郎,うちの13号月琴作った西久保八幡の石村義治が西の大関で現役でしのぎをけずるなか。この時点でもう実際にお相撲取らなくても「じゅうぶん有名」なほどの「楽器の老舗」の一つとみなされていたわけですから,少なくとも幕末のころには楽器のほうにシフトしていたとは考えられます。


 ついで,明治13年に出された『東京商人録』。
 ここでは唐木屋の主人はまだ「七兵衛」ですが,当主は 「京都住宅に付」 き「藤兵衛・六兵衛」に店の支配人を任している,と付記がされています。

 大正5年,集古会発行の江戸時代の商標を集めた『紫草』に,唐木屋の三味線糸のラベルを取り上げて----

 唐木屋は,唐木と小間物を商ひて繁盛したる店なり。
 此唐木屋七兵衛は,元亀天正の昔,明智光秀に仕へたる入江長兵衛の末裔なり。
 長兵衛は山崎合戦破れし後,明智左馬頭と共に江州坂本に落ち延び,後ち弓矢を捨てヽ商人となり,徳川氏入国と共に通本石町に住したる旧家といへり。
 毎年此家にては,光秀の為めに仏事を営みて,其冥福を祈りしと伝え聞きたれど如何あらん尚可尋。
 此家明治に至りて退転せり。

----と,解説があるのですが,この最後にある 「此家明治に至りて退転せり」 というのが,『東京商人録』にいう七兵衛の 「京都住宅」 なのでありましょう。すなわちこの明治10年代初頭時点で,唐木屋七兵衛はおそらく実質隠居して江戸を去り,経営を次代に任せていたと考えられます。

 庵主の知る唐木屋主人「林才平」 という人物が,そうした唐木屋七兵衛の親族なのか,あるいは老舗の店をその商標ごと買っただけの赤の他人なのかは分かりませんが 庵主の作ってる「明治大正期楽器商リスト」で「林才平」の名がはじめて見つかるのは,いまのところここから10年ほどたった明治23年,『東京買物独案内』に 「唐木屋才平」 として出てくるのが最初です。

 その後の唐木屋は林才平のもとで,和楽器・清楽器だけでなくヴァイオリンなどの西洋楽器も扱う,総合的な楽器商として展開します。第二の転換点は大正9年

 この年の十月,唐木屋は 「株式会社唐木屋商店」 となりました。
 社長は「長坂悌助」となり,店主だった林才平は「専務取締役」に就任----こりゃ七兵衛さんの時と同じく,実質お店を譲って隠居…ってとこでしょうねえ。

 そしてこの時,監査役に就任したのが 「駒井慶輔」 という人物………

 唐木屋で駒井…ふむ,どっかで----あ,もしやこいつ!
 前々回書いた唐木屋における二人の月琴製作者のうちの一人,まさに63号の作者「唐木屋B」と目される,「漢樹堂駒井」その人かその関係者ではないでしょうか!!

 左画像はそのあたりの人事のわかる,『日本全国商工人名録』大正11年版です。(クリックで別窓拡大)


 世の中,いろんなところでいろんな事が深く静かに連動しているもので。

 大河ドラマでいま盛り上がってる明智光秀。
 その家臣の子孫が作った(のかもしれない)楽器が,ちょうどよく舞い込んでくるなんてね。(ww)

 それはともかく,このあたりの事情から唐木屋の月琴が,関東の楽器屋でありながら関西の松派に近いモノになっていたのか,おぼろげながら推察できるようになりました。店主の一家がほんとうに明智光秀遺臣の子孫であったかどうかは分かりませんが,隠居後,京都に引っ越すぐらいですから,少なくとも関西方面に一族の故地か拠点のようなものを有していたのでしょう。
 江戸時代は「下リもの」といって,関西方面から仕入れた商品が,関東地産のものより一段上に見られておりましたし,唐木屋の起点である唐木細工は大阪や京都がその中心ですから,仕入れにしても,雇い入れる使用人や職人にしても,そういう自前のネットワークがぞんぶんに使われていたのだと思います。
 さらに想像するなら,63号の作者と目される唐木屋B,こと漢樹堂駒井,彼もそうした縁故により関西方面から江戸に連れてこられた職人だったのかもしれません。
 京都麩屋町に駒井七兵衛という三味線なども手掛ける職人がおりまして,その一族に多く優秀な唐木細工師を輩出しております。もしかすると漢樹堂駒井もそこの出身者では----なんてことまで考えたりもしてみました。

 こういうことが不意打ちみたいに分かるので楽器屋探し,やめられませんね。
 ここまで,資料画像はすべて国会図書館のアーカイブからひっぱってきましたあ。



STEP9 スマイル・カラキヤ!

 さて,63号では唐木屋,修理ラストスパートとまいりましょう。
 胴が箱になったいま,あと残るのは各部の染め直しと組立てです。

 棹の染め直しは,胴体の補強が終わったあたりからすでにはじめていました。
 従前の状態では,握りの部分の染めはほぼ完全に落ちてしまっており,オリジナルの色は糸倉左右に残っている程度。
 この棹材のもともとの木色は灰緑色なので,この薄茶色も元の染め色が褪色した結果ですね。

 この棹の指板部分には紫檀の薄板が貼ってあります。
 ここは染めずに後で油拭きの上ラックニスで艶出しをしますので。まずは余計な汁がかからないよう,指板部にマスキングテープを貼ってから赤染めを開始します。

 上にも書いたとおり,褪色しているとはいえ表面に染めの若干残っている状態ですので,オリジナルの染め薬と反応し,いつものように鮮やかな真っ赤にはなりませんが,このくすんだ赤,色味的には糸倉基部などに残ってる下染めの色そのものですので,これはこれでよし。
 深みのあるダークレッドになったところで媒染して色止め,さらに上からオハグロをかけ全体をオリジナルの色に近づけてゆき,亜麻仁油で定着,カルナバ蝋で磨いて仕上げです。

 画像だとかなり容赦なく,塗ったように真っ黒ですが,基本「染め」なので,実際には光りに透けて木目が見えるくらいになってます。赤紫系の黒ですね。
 書くと数行ですがこの作業,これで半月ぐらいかかってるんですよ。(^_^;)

 胴体も同様に染めてゆきます。

 表裏板を清掃の後,擦り直した表裏板の木口をマスキングし,棹と同じく劣化損傷や修理作業でハゲてしまったところから重点的に染め,だんだん全体を同じくらいの色合いにしてゆきました。

 染めの作業の合間に,とりはずしたお飾りの手入れもしときましょう。

 剥離作業中に片方のニラミのシッポがモゲてるほか,もともと5・6フレット間のお飾りが一部壊れ,欠けてしまっています----ちょうど角の部分が一つなくなっちゃってるカタチですね。
 ニラミのシッポを継ぐほうは一瞬ですが,柱間飾りのほうは欠損部分の補充から。

 ホオの薄板を刻んで,なくなってる部分にはまるよう継ぎ足します。

 そういや同時期に入手した62号清琴斎も,これと同類のお飾り付けてましたね。
 庵主はこの意匠を 「獣頭唐草」 と呼んでますが……おそらくこれの正体は 「龍」 だと思われます。
 上下画像だと180度ひっくりかえしたのが正位置で,輪の切れてるところが口ですね。まあ,デザインの伝言ゲームと意匠化で,ほとんど何だか分かんなくなっちゃってますが。

 いつものことながらこの手の修理は庵主の得意分野。
 はめこんだ補材を周囲に合わせて削り,染めて磨いて溶け込ませてゆきます。

 どやぁ…もうどこを直したか分かりますまい。

 上左画像がこの飾りの正位置ですね----分かります? 龍だって(w)
 あとは山口やニラミといっしょに油拭きをして磨き,乾燥させときます。

 各部が仕上がったところで組立てですが。

 棹に山口を取付けて挿し,試しに弦を一本だけ張ってみたところ。弦高がかなり高く,オリジナルフレットを置いた場合にも,かなり押し込まないとならないことが分かりました。
 唐木屋の楽器は棹の傾きが小さいので,もとより想定されていたことであり,オリジナルのままでも使用上さほどの支障はありませんが,弦高調整のため,半月にゲタを噛ませることにします。
 量産数打ち品ゆえの調整不足----まあ,原作段階での手抜きが原因みたいなところもありますので,改善できるところはやっといたほうが後々のためによろしいでしょう。

 少し厚めの骨板を噛ませ,半月のところで1ミリちょい弦高を下げました。
 これだけのことでも高音域での操作性と音の伸びがかなり向上します。

 オリジナルのフレットは煤竹。
 片面に茶色くなった竹の皮の部分をそのまま残し,裏肉を斜めに削いだだけの国産月琴でよくあるタイプのフレットですが,流行期の量産月琴のフレットは,製品の歩留まりと加工調整の手間をはぶくため,本来最適な高さよりもかなり低めに作られております。

 残っていた63号のオリジナルフレットは胴体上の3枚のみ,ゲタを噛まして弦高を下げたとはいえ,それでもまだ低すぎるくらい背丈が低い。
 また,染め直しが上手くいって棹も胴体も真っ黒ツヤツヤになりましたんで,いッそもう少し栄えるものに換えてあげたいところですね。

 というわけで----今回はオリジナルを用いず,新しくツゲで1セット作ることにしました。

 いえ,オリジナルと同じ煤竹の材もあるんですがね。国産ツゲの切れ端がけっこう溜まってましたのでそれを活用しました。まあ元が端材なんで色味がちょっとバラバラになっちゃいましたが----でもやっぱ,国産ツゲはキレイだな(w)

 色味を少しそろえるために,スオウ,ヤシャブシに柿渋なんかで少し染めてもみました。数年もすれば色が上がって,より目立たなくなるでしょう。

 オリジナルの位置での音階は----

開放
4C4D+94E-214F+134G+204A-195C+285D+75F+21
4G4A+124B-235C+105D+155E-285G+245A-26C+20

 第3音(2フレットめ)の音が開放をドとした時の西洋音階より2~30%ほど低いのが清楽音階の特徴と言われておりますが----まさにこれ,そのとおりですね。
 関西風楽器の定石をなぞり,実音に関係なく第4フレットを胴の縁に置いているので,ここだけわずかに高くなっちゃってますが,低音弦のEと高音弦のEもほぼオクターブになってるし,全体に破綻と言えるほどの箇所もなく,この楽器としてはかなり正確な音階に調整されていたものと思われます。

 音階を調べ終わったところで,いつものように西洋音階準拠に並べ直して接着。

 胴の縁に置かれていた第4フレットが,棹と胴の接合部のほぼ真上になっちゃいましたねえ……まあ今回作ったフレットは,底の部分がいくぶん厚めなので大丈夫でしょう。

 さらに…あや…第5・6フレット間がわずかに狭くなったため,柱間のお飾りが入らなくなってしまいました。
 とりあえず当ってる四方を軽く削り,オハグロで補彩してハメこみましょう。

 左右のニラミも,オリジナルの位置ですと低すぎて,若干情けなさそうな表情に見えちゃいますので,1センチほど上にあげて接着します。

 最期にバチ布を貼りつけて。

 2020年7月16日,東京日本橋区本石町二丁目,
 唐木屋製の月琴63号。
 修理完了いたしました!!


 うーむ,ツヤツヤ真っ黒の棹や胴体が薩摩拵えのごたる。

 バチ布の選定にいつもはけっこう悩むとこなんですが,今回はこの棹や胴体の色味合うのがほかになく,黒(黒紺)の梅唐草一択でしたよ。
 いかにも実用本位,と言いますか,しつじつごーけんな感じに仕上がりました。

 6月はうだるような暑さだったんですが,7月に入り,日によってはちょいと肌寒いくらいの気候が続いたおかげで,いつもなら不可能な夏の修理が完遂できました。

 庵主,この楽器をはじめた最初のころから,同じ作者の7号コウモリ月琴を常用の一面としております関係で,もともとここの楽器に手がなじんではおりますが。そのあたりをさっぴいても,この63号は 抜群に使いやすい楽器 だと思いますよ。
 太目の棹,厚めの糸倉,調整してなおやや高めの弦高----スタイルとしては庵主の常用のもう一種,不識の楽器と正反対ではあるものの。変な気取りのないデザインと,少し武骨に思えるほど余裕を持った頑丈な作りは,道具として手になじみがよく,持った時になにか安心感みたいなものまで感じられます。「楽器」てのはまあもともと丈夫でなくてもあたりまえ,のモノではありますが,そのへんもギリギリ作りでいささかピーキーな不識の楽器とは真逆・対照的ですね。(w)

 音もやわらかく,あたたかく,嫌味なところがありません。

 同じくらいのレベルの量産楽器でも,山田清琴斎の楽器なんかのほうが音が若干硬めでしょうか。こちらのほうが 「こなれた」音がしますね----このあたり,老舗の地力ってやつでしょう。

 もともと大きな損傷はなく,作業の中心は接合部の継ぎ直しと染め直しくらいなものでしたが。音孔の整形にしろ響き線の交換にしろ,やったことはちゃんと出る音のほうに反映されてるみたいですね。
 胴鳴りも少なく,余韻もきちんと広がるし,音量もかなり出せます。
 その操作感のイージーさとバランスの良さも相俟って,ギグの戦力として即投入できるレベルの実用楽器に仕上がってますよ~。

 64号とともに,お嫁入り先ぼしゅうちゅうです!

 試奏の様子を庵主のゆうつべのチャンネルのほうで公開しておりますので,

 https://www.youtube.com/user/JIN1S

 吾と思わんかたはご参照のうえ,どうぞお気軽にお尋ねくださいませ。


(おわり)


「月琴掛け」を作ろう!

G_rack.txt
斗酒庵夏にかける! の巻2020.7 「月琴掛け」 を作ろう!

STEP1 HOOK or RACK

 さて,みなさんはふだん部屋の中で,月琴をどのようにして置いているでしょうか?

 琵琶なんかは 「琵琶掛け」 にかけて床の間に置いたりしますね。お箏なら油単に包んで壁にたてかけておくところかな。ギターはギグではスタンドにかけたりしますが,ふだんは…ケースに入れて戸棚の上とかですか。
 琵琶は床の間でもいいんですが,月琴の場合,床置きはあまりお勧めしません。弾くときは川岸とか池の傍とか,比較的湿気のあるところが好きな楽器ではありますが,部材が琵琶よりヤワなんで地面に近いところに置いたままだと湿気を吸い過ぎちゃうんですよ。
 まあ床に置いてあるとつい蹴飛ばしちゃったり,おヌコさまに爪研がれたりもしかねませんしね。
 軽い楽器なんで蹴飛ばしたら飛んでゆきますヨ?ヌコパンチでも穴あきますからね?(www)

 ほかの楽器と同じように,長期弾かないような場合には,桐箱みたいなケースにつめて保管するが最善ですが,日常しょっちゅう手にしてるような場合には,柱や鴨居からぶる下げておくのが,月琴の場合いちばんヨイ保管方法です。
 糸倉に飾り紐をつけてある方なら,それをどっかにひっかけてもいいでしょうし。袋に詰めてあるなら,お部屋にある衣類をかけておくハンガーなんかに,コートと並べてぶるさげておいても構いませんが。いつでもぱッと手に取ってちゃッと弾きたい----というムキには,紐も袋もけっこうわずらわしいものです。

 ということで,今回はそういう人向けの お手軽な月琴専用ハンガー,「月琴掛け」を作ってみましょう。

 これは糸巻のところでひっかけるだけなので,まさにぱッと取ってちゃッと弾けますからね。
 鴨居に懸けるタイプなので,「鴨居」のない未来風のお家や呪われた洋館だとちょと困るかもしれませんが。その場合も壁とか戸棚の上とかに,ちょっとした引っ掛かりになる板でも取付ければ使用可かと。

 まずは材料。

 10センチ四方の大きさ板が一枚,あとコンビニの竹割箸が1本(ふつうの木の割箸でも可)。
 そのほかは接着剤----ええ,楽器本体に使うわけじゃないので,木工ボンドでも瞬間接着剤でもかまいませんよ。

 庵主は部屋に転がってた松の板を使いましたが,まあ基本的にはベニヤだろうがアクリルだろがMDFだろが構わんと思います。楽器がヘビー級の総唐木とかじゃなく,恒久的なものじゃなくて良いのなら,丈夫な厚紙とか段ボールなんかでもイケるかと…まあそれで楽器が落っこっても責任は持てませんが。(^_^;)

 木取りはこんな感じ。

 赤い部分は切り抜いて捨てる箇所です。
 庵主みたいにこういう部分が捨てられなくなる病気(端材捨てられない病)にかからないよう,切り取ったら目をつぶってゴミ箱へ!

 フックの部分の薄い②の板が右,分厚い①の板が左。③が左右をつなぐ支えになります。

 月琴の糸巻には左右で2~2.5センチほどの段差があるので,フックの部分が左右対称じゃないんですね。
 よほどサイズが異常だったり糸倉の形が変わってるもの以外は,だいたいこれで間に合うと思います。
 これを板に写して,糸鋸やカッターで切り抜きます。

 板を切り抜くときは,真ん中の空間を先に貫いてからやると失敗が少ないですね。フックのあたりは曲線が多いので,最初にいくつか糸鋸の刃の入るぐらいの孔を穿っておいたほうがいいですよ。

 3枚そろったら,まずは③の「支え板」を加工します。
 真ん中を 4.5センチあけて,左右を一段削り下げ,①②の板のフックの根元にあるくぼみにうまくはまるように加工します。
 つぎに①②の板の鴨居にひっかけるところに3ミリくらいの孔をあけておきます。ここにはあとで割箸の支えを入れますよ。

 ここまでやったら各部材を整形。
 軽く木口や表裏をペーパーがけします。楽器をお迎えするにあたり当るあたりは,特に角を少し丸めておきましょう----日本の伝統「おもてなし」の精神は大切ですよ(w)

 部品がキレイになったところで,接着剤をつけて組み立てます。
 形が崩れないように,固まるまでは支えを置いたり,洗濯バサミとかクランプで保定したりしときましょう。

 接着剤が固まったら,支え板のはみでた部分を切り落とし,竹割箸を切って頭のところに支えを入れます。

 まあ,素材と接着の強度によっては,この頭の部分の支えは別段なくて大丈夫とは思いますが,ヴィジュアル的にはついてたほうが何か構造的に安心できるって感じですか。(w)

 コンビニの竹割箸はいちばん太いところで径7ミリ,先っちょで5ミリくらいですので,3ミリの孔に入るよう,左右を凸に加工。設計図通りならここも,真ん中の幅は4.5センチになるハズですが。まあ人生,そう思ったとおりにはならないものですので,寸法は実物合わせで調整したほうがよろしい。
 左右の凸はあんまり長くすると入れられないので,これも適当に切り縮めてください。
 実際にハメてみて,いー感じにハマるのを確認したところで,凸先に接着剤を盛り,左右の板をちょっと広げるようにしながらインストール!

 ----できあがりです。

 あとは実際に楽器をぶるさげてみて,最後の調整をします。

 月琴の糸巻には上下の段差のほか,三日月形にカーブしてるため前後にも若干の距離があります。

 デフォルトのままですと,第2もしくは4軸が②のフックの先端にひっかかったとき,第1もしくは3軸は①のフックの平らなところをすべって,楽器は右がわがやや前面に出てくる感じで安定します。
 まあ落っこちることはそうナイので,そのままでもイイんですが。どこぞの酔っ払いみたいに傾いてぶるさがってるザマは,見ててなんかカッコ悪いですからね。
 もちろんはじめから,①のフックの部分を糸巻の前後の距離ぶん厚くして,第3軸が滑らないようにするのも手ではありますが,そうすると今度は楽器を外す時にちょっとひっかかっちゃうんですよ。
 傾きの原因である糸巻の前後の関係は,上下の関係に比べると個体差が大きいのと,糸倉自体の形状とも関係してヘタに設計をいぢるとかえってグアイが悪くなっちゃうようなので,下のいづれかをおためしください----

 やりかたA:①のフックの平らな部分を曲線に削る。
  ちょっと上級者向きですか。
  曲りのいちばん深くなってるとこに,糸巻が自然とおさまるように削ります。あんまり深く削るとこんどは②のフックのほうで糸巻が浮いちゃいますからね,ほどほどに。

 やりかたB(オススメ):①の平らな部分に浅い刻みを入れる。
  実際に楽器をぶるさげ,楽器がまっすぐになる時の糸巻の位置にシルシをつけ,そこに糸巻がひっかかるていどの浅い刻みを入れます。

 うん,ラクですね。これもAと同じで,あんまり深くキザみこんじゃいますと,左右のバランスが悪くなりますのでご注意。

 まあ,ここまでやらんでも。
 ¥100均で売ってる「二股ハンガー」 を改造しても,同じようなものは作れますんで,メンドくさがりと根性ナシはこちらをどうぞ。(w)

 画像のように,片側の先っぽのキャップのところにちょっと刻みを入れ,タコを糸張るだけで,見かけはちょいとアレですが,これでじゅうぶんモノノ役にはたちます。
 ちなみに,庵主のとこでは主にコレ使ってます。楽器が増えるたび,いちいち作るのメンドくさいし,根性もナイもので~(w)


(おわり)


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