月琴WS@亀戸 2023年10月!!!

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斗酒庵 WS告知 の巻2023年 月琴WS@亀戸!10月!!!


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 神無き月の月の集い のお知らせ-*


 いつまでも暑ちィ日々が続いておりますが,来月はどうでしょうねえ。
 2023年10月,清楽月琴ワ-クショップは,21日(土)の開催予定です!

 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。
 いつものとおり,参加費無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 お昼さがりのとろとろ開催。
 美味しい飲み物・ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 特にやりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の基本的な取扱いから楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。個別指導・相談事は,早めの時間帯のほうが空いてて Good です。あと修理楽器持込む場合は,事前にご連絡いただけるとサイワイ。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)

 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

清楽月琴WS@亀戸 2023年7月!!

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斗酒庵 WS告知 の巻2023年 月琴WS@亀戸!7月!!!



 

 

*こくちというもの-月琴WS@亀戸 ひちがつ場所 のお知らせ-*


 2023年7月,清楽月琴ワ-クショップは,22日(土)の開催予定です!8月は草刈り帰省のためお休み,9月の開催は未定でえす。夏休み前,今年前期最後のWSとなりますのでお忘れなく~。


 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。
 いつものとおり,参加費無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 お昼さがりの大開催。
 美味しい飲み物・ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 


 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか),やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。個別指導・相談事は早めの時間帯のほうが空いてて Good です。あと修理楽器持込む場合は,事前にご連絡いただけるとサイワイ。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。

  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)

 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

 

 

 

清楽月琴WS@亀戸 2023年6月!!

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斗酒庵 WS告知 の巻2023年 月琴WS@亀戸!6月!!!


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 ろくがつ場所 のお知らせ-*


 (たぶん)霖雨蕭々たる梅雨の暇の2023年6月,清楽月琴ワ-クショップは,24日(土)の開催予定です!

 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。
 いつものとおり,参加費無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 お昼さがりの大開催。
 美味しい飲み物・ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか),やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。個別指導・相談事は早めの時間帯のほうが空いてて Good です。あと修理楽器持込む場合は,事前にご連絡いただけるとサイワイ。雨の時期なんで楽器,濡らしたくないですからね~。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)

 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

 いきおくれのウサ琴EX2。(w)
 お嫁入りさき募集中です!
 うむ,がんじょう。それなりに弾きまくったので響きもあがってきましたよ。板が薄いせいか,楽器の育つのがちょいと早いですね。2年も弾いたら,かなりすごいことになるんじゃないかな?
 清楽月琴の上澄み技術でこさえた1本,ぜひWSにてお試しください。

清楽月琴WS@亀戸 2023年5月!!

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斗酒庵 WS告知 の巻2023年 月琴WS@亀戸!5月!!!


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 さつき場所 のお知らせ-*


 2023年,5月の清楽月琴ワ-クショップは,27日(土)の開催予定です!

 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。
 いつものとおり,参加費無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 次の日は第90回日本ダービー,錦糸町WINSのお帰りにでもどうぞ。お昼さがりの大開催。
 美味しい飲み物・ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか)やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。個別指導・相談事は早めの時間帯のほうが空いてて Good です。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)

 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

 いきおくれのウサ琴EX2。(w)
 お嫁入りさき募集中です!
 うむ,がんじょう。それなりに弾きまくったので響きもあがってきましたよ。板が薄いせいか,楽器の育つのがちょいと早いですね。2年も弾いたら,かなりすごいことになるんじゃないかな?
 清楽月琴の上澄み技術でこさえた1本,ぜひWSにてお試しください。

柏遊堂の月琴 (2)

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斗酒庵 六度輪廻で柏遊堂 の巻2023.2~ 柏遊堂の月琴 (2)

STEP2 柏に遊ぶ君


 さて,前回もちょっと触れた「柏遊堂」の正体探し。

 第一容疑者である本所松井町の柏屋・石川栄(永)次郎さんですが。商業案内や博覧会・共進会の受賞目録などにはよく名前が見えるものの,もうちょっとつっこんだ,「どういう人なのか」についてのあたり,まったく記事が見当たりません。

 いろいろと探し回ったものの,なんとか見つかったのが左の大正2年版 『交信要録』 の広告記事でした。(左画像クリックで別窓拡大)

----ふむふむ。幕末安永年間(1772-1781)にお店を開いてると…すると月琴が流行していた明治の10年代後半から20年代のあたりでももう,100年以上続いてる老舗だったのですね。
 関東に 「俗曲を演るオキテ破りの二絃琴(二絃琴は「神様の楽器」なので原則俗っぽいこと禁止)」 の流派があったということは,記憶の片隅にとどまってましたが,あれを流祖・藤舎蘆船(呂船)とともに開発したのがココ,松井町柏屋だったみたいですねえ。昭和2年の『現代音楽大観』(東京日日通信社「東流二琴絃(*マ)」)にも,「東流二絃琴」は 「当初本所二ツ目松井町三丁目の柏屋永次郎が一手に製作した」 とあります。
 いまは月琴同様マイナー底の楽器・音楽分野ですが,この「東流二絃琴」も,一時期は錦絵に描かれるくらい流行ったものですから,松井町柏屋というお店は,そういう流行楽器を生み出すのみならず,かつ生産を一手に引き受けるだけのキャパシティを持っていたということになります。
 前記事にも書いたように,この松井町柏屋が 「月琴」を作っていたということは,博覧会の目録などから確実なところなのですが,やっぱり「松井町柏屋」と「柏遊堂」を結ぶ,直接的な記事なり証言は欲しいとこですね。和楽器の研究家や,御子孫の方なり,見ておられたらご教授アレ。

 さて,まだ調査は続きます。

 ここまでの外観調査から,地の板の大きな損傷,棹取付のガタつき…そして何より 「響き線が機能していない」 という非常事態が判明し,オープン修理確定となった柏遊堂。
 まずはいつものとおり,表面上のフレットやらお飾りやらをはずしてゆきます。

 棹上のモノはすべて後補部品。
 月琴のフレットにしては薄すぎる象牙か骨製の板が,透明な接着剤で固定されていました。

 この手の接着剤は,ちょっとでも残るとニカワでの再接着に支障の出ることがありますので,刃物の先を使って細かいとこまで丁寧に取り去ります。

 オリジナルの部分はなるべく傷つけたくないので,これはこれでそこそこイヤな作業ですね。

 胴体上のフレットや左右のニラミ・半月は,いづれもニカワ接着で,バチ皮はフノリかでんぷん糊,たぶんここはオリジナルか,手が入っていたとしても古いものでしょう。

 ニラミの裏面,全面べっとりとニカワが付着しています。

 このあたり,柏遊堂の知見の限界が見て取れますね。「ちゃんと分かってる」作家さんだと,ここは最低限の箇所のみの 「点付け」 で接着するところです。この部品はメンテの時にはずすのが前提なのと,なくなっても「楽器(音)的には困らない」部品ですからね。
 またこの楽器でも右のニラミが最初から割れてたように,こういう薄いお飾りは下地の木との収縮率の違いとかで,はずれやすかったり割れたりしがちなものです。「はずれやすい」ほうを何とかするため裏面ベタ付けにしたのでしょうが,そうすると今度はこうして 「割れる」 ほうの故障が発生するわけです。これを防止するため,丁寧な作家さんだと,飾りのいちばん面積の大きいところの裏を浅く刳って対処したりしてます。この加工で,お飾り自体の強度はいくぶんか下がりますが,板の反りを防止するのと同時に,収縮の影響とかを受けにくくなるのです。
 丁寧な工作ではありますが,この楽器を製作した時点で柏遊堂の月琴経験値は,まだその域までは達していなかった,ということですね。

 半月の取外しが最後になりました。
 ここは頑丈で良いところなんで,時間がかかっても文句はありません。

 二日くらい湿らせてようやくはずれました。
 胴側と同じ桑かな?----と思ったんですが,染めてない部分の導管の様子や重さからすると,朴じゃないかな。接着面の加工は素晴らしく,水だけでも吸い付くくらい狂いがないですね,凄い。

 まる一日ちょい乾燥させて,いよいよ次の作業に入ります。

 元・骨董屋の小僧として,現状傷一つない古物に,修理のためとはいえ刃物をつけるのは,心臓に畳針をぶッさすぐらいの内的ダメージが生じますが,なにせやらんとハナシが進まない----気を取り直して,一気にエイッ!っとやっちゃいましょう。

----ううううう。(心臓ズキズキ)

 ハガしたのは当然裏板。
 胴構造の接着自体はちゃんとしてますし,音に直接関係のある表がわは,なるべくオリジナルのままにしときたいですからね。
 上下にパラレルで配置された2枚桁,真ん中の空間に直線の響き線----と,内部構造の概要はあらかじめ棹孔から覗いて推測したものとさほどの違いはなかったのですが。下桁がちょっと,面白いことになってますね………

 内桁にこういう左右で厚みの違う板が使われていたという例自体は過去にも見たことがあり,ずっとこれは,量産で手が回らなくなって,たまたまそこらにあった余り材の板でも使ったんだろう,と思ってたんですが。どうやら違うみたいですね。ほかのは加工も粗く工作も雑で,故意か偶然か微妙だったんですが,少なくともこの柏遊堂のはマジです----このカタチにわざわざ加工されてるもん,この板。

 下桁の一端(厚みの薄いほう)は胴材の内壁にぴったりつくように木口が加工されてますが,厚いほうはスパッと切り落とされたみたいにまっすぐのままで,内壁にはほとんど接していません。これもそもそもの厚みの差や中央の切り込み加工と同様ナゾの加工ですね。まあ一見意味ありげですが,まずもってわざわざするほどの利や効果は何も考えつきません。

 他例が複数あることから,下桁にこういう材を用いるという工作自体は,月琴の作家連の間で,少なくとも,ごく一時的に流行したものと考えられます。「ごく一時的に」 と限定しているのは,柏遊堂にせよ上に画像を挙げた松音斎にせよ,一部少数の楽器以外では,ふつうの,厚みが均等な板が使われているからです。
 唐物の比較的安価な楽器だと,見えない内部構造で材料をケチってる例をよく見るんで。おそらくはこういう感じのテキトウな板が使われてるのを見て誰かが, 「ナルホド…こうするのか」 みたいにナットク>即コピしたのが広まっちゃったんでしょうなあ。のち 「実はちあった(w)」 ことが分かってきて,すぐやんぴになったとかいうあたりでしょうか----トライ&エラーみたいのの実例ではありましょうが,ニポン人,ほんと真面目ね。(www)
 そもそも,製材段階でしくじった板をタダでもらってきたとかいうならともかく,意識してこんなふうに板を加工するのってけっこうな労力になります。実がないと分かれば,さすがにみんな止めますとも。

 上桁はふつうに厚みの均等な板。
 両端をわずかに斜めに削いで,胴材に薄く切った溝にぴったりとはめこんでいます。左右側板はうすうすですから,溝を切るのもけっこうな精密作業ですね。
 左右の葉っぱ型の音孔は,やや形がいびつなものの比較的丁寧にくり貫かれてますが,なぜか中央の,棹茎をうける孔の加工が粗く,片面の縁が左右両方ともささくれちゃっています。
 あってもなくても音的にはほとんど影響のない左右の音孔と違って,棹との接合部であるここがこんなふうになってると,音にビビリっぽいノイズの混じっちゃうことが多いんですから,むしろこっちをちゃんとしといて欲しかったですね。

 お飾りの接着や響き線の原状からでも分かるよう,この楽器製作時の柏遊堂には月琴についての知識・経験が決定的に不足していることから,自分として「あたりまえに」「ふつうにやった」つもりのことが軽くぜんぶ間違いだったり,「工夫した」つもりのところがぜんぶ余計なことにしかなっていないというようなやらかしは多いものの。
 楽器職としての柏遊堂の基本的な技量はかなり高度なものです。それがもっとも端的に顕れているのは,この四方の接合部の工作でしょうね。

 接合の方法は,凸凹継ぎでも蟻組みでもなく,もっとも単純な木口同士の接着。言っちゃえば板の端を 「真っ直ぐに切って」 「くっつけた」 だけのことです----が。
 この部分を「真っ直ぐに切って」「すきまなくくっつける」というだけのことがどれほど難しいのかは,この手の木工を実際にやってみた人にしか案外わからないものかもしれません。

 そもそもこの胴側の材はカタい「桑」なので。 これを1センチない厚みで,キレイに円を構成する部材に加工するという技術が技術。さらにその左右端の厚みは4ミリ程度しかありません----この胴はその幅4ミリの「のりしろ」でつながって輪になってるわけですが,四方接合部は現状いづれもそれこそ「カミソリの刃も入らない」レベルでガッチリくっついちゃってますねえ。
 木材ですから経年の変化もあることですし,ふつうかなり上手な作家さんでも,どこかしらにわずかなスキマができてたりするもんなんですが,ここまで繊細かつ精密な加工が可能で,さらにその工作が長期間保たれているというのは,作者の加工技術はもちろんのこと,使用している材料の品質管理がきわめて良いものであったということでもあります。

 胴側の桑板は細やかな柾目材になってます。しかもそこそこ木目を合わせてあるので,表面からだと接合部が分かりにくいくらいです。木目を合わせて接合するなんてあたりは,表裏板ならよく見る工作ですが,これを側板でまでやってる例はそう見ません。
 これだけの材料の乾燥や管理には果てしない時間や手間がかかるものですから,木材の入手事情が現在よりも易かった当時としても,規模の零細の職人さんのところで同じことをするのはけっこう難しかったでしょう----このあたりからもやっぱり,老舗のニオイがしますな。

(つづく)


清楽月琴WS@亀戸 2023年4月!!!

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斗酒庵 WS告知 の巻2023年 月琴WS@亀戸!4月!!


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 うづき場所 のお知らせ-*


 2023年,4月の清楽月琴ワ-クショップは,15日(土)の開催予定です!

 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。
 いつものとおり,参加費無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 葉ザクラ八重サクラはまだ咲いてましょうか。お昼さがりの大開催。
 今回はつごうによりちょい早~18時終了,御用のかたはお早めに~。
 美味しい飲み物・ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか)やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。個別指導・相談事は早めの時間帯のほうが空いてて Good です。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)

 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

 いきおくれのウサ琴EX2。(w)
 お嫁入りさき募集中です!
 うむ,がんじょう。それなりに弾きまくったので響きもあがってきましたよ。板が薄いせいか,楽器の育つのがちょいと早いですね。2年も弾いたら,かなりすごいことになるんじゃないかな?
 清楽月琴の上澄み技術でこさえた1本,ぜひWSにてお試しください。

2022年10月 月琴WS@亀戸

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斗酒庵 WS告知 の巻2022年 月琴WS@亀戸!10月!!


*こくちというもの-月琴WS@亀戸 かんな月場所 のお知らせ-*


  9月は日時の調整がつかずおやすみ。しつれいしました~。

 ふっかつ3回め,10月の清楽月琴ワ-クショップは,第4土曜日,22日の開催予定です!

 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。
 いつものとおり,参加費無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 神無き月の世も末の,お昼下りの大開催。
 美味しい飲み物・ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか)やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。相談事は早めの時間帯のほうが空いててGoodです。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。
  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)

 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

 あと,いきおくれのウサ琴EX2。(w)
 お嫁入りさき募集中です!
 1ト月ちょい使ってみましたが,うむ,がんじょう。それなりに弾きまくったので響きもあがってきましたよ。板が薄いせいか,楽器の育つのがちょいと早いですね。2年も弾いたら,かなりすごいことになるんじゃないかな?
 清楽月琴の上澄み技術でこさえた1本,ぜひWSにてお試しください。

ウサ琴EX2 (終)

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斗酒庵 ひさしぶりにウサ琴づくり の巻2022.5~ ウサ琴EX2 (4)

STEP4 バラのお肉はグラム¥118


 さて,ウサ琴EX2の製作も終盤!
 今年も斗酒庵工房四畳半のフルエコ・エアコン「大自然」は絶好調ですので,夏帰省前には仕上げたいところですな!

 胴側の染めも仕上がり,まずここまで表裏板の木口を守ってくれてきたマスキングテープをはがします。染め初めから半月余り----赤染めて,黒かけて,油で拭いて,下地剤かけて磨いて,トップコートにニス刷いて…真っ黒のパリパリになったマスキングテープには,ここまでの製作の歴史が滲みこんでおりますなあ(物理)。

 表裏板の染めは,ヤシャブシの汁砥粉を入れて沸かしたとこに,少量のヤマト糊(でんぷん糊)を加えたもので。
 これまで数多くの古い月琴をジャブジャブ洗ってきた(w)ケーケンから察するに,唐物の場合は砥粉がほとんど入っておらず,ヤシャブシのかわりに阿仙などのタンニン系染料も使われているようですが(ちゃんと調べた人がいないみたいなので何とも言えん),国産月琴の場合は桐箪笥の仕上げとほぼ同じ。


 庵主の工法もほぼそれに倣ってますが,作者によって砥粉の量や汁の濃さがかなり異なります。不識なんかは汁濃いめ砥粉かなり多めで行ってますが,唐木屋はどっちもごくあっさり,出荷時にはかなりの色白だったもよう。
 ヤシャブシというのは反応の良い染料なため,表裏板の色は使用や保存の環境によってかなりの変化をみせます。納屋や蔵みたいなとこにぶるさげられてれば空気に触れて真っ黒にもなるし,布袋や箱に入れられていればそれより古い楽器でも真っ白のままだったりしますね。
 ウサ琴はもちろん出来立てですので,基本まっちろで仕上がりますが,味付けに工房謹製の月琴汁(過去の修理で楽器を洗った時に出た汁を煮詰めたもの)をごく少量加えてるので,やや変化が早く。先行のEX1号機あたりでも,1ヶ月そこらでうっすら色があがってきてますね。

 楽器の中心線を計り直し,半月の貼りつけ位置を決定します。
 そう,誰も信じちゃいけない----最初からどんなに精確に作ろうがどんな名人が作ろうが,木工では計画上の数値が仕上がり時にもピッタリ同じ,なんていうキセキは起こらないのですよ。他人を疑いオノレの腕前を疑い,紙のコトバも,この世のすべてを,つねに疑ってかかるのです!あ,やっぱり2ミリずれてた(www)

 半月を接着したら,一日置いてフレッティングの開始です。
 今回もフレットはムダに材料単価の高い(w)煤竹製。いえ,資金が余ってるとかいうわけじゃなく,煤竹の端材がダブついてましてちょっと消費せんばならんとです。

 フレットの高さはヨシ----前作とほとんど同じですね。
 今回のシリーズ,山口(トップナット)の高さはだいたい清楽月琴の標準と同じですが,半月(テールピース)がかなり低くなっている(7ミリ)のと,胴表面がごく浅いアーチトップとなっているので,フレットの丈は高音域で一気に低くなり,最終フレットはツマヨウジくらいになっちゃいます。
 まあここまで極端ではありませんが,「いい月琴」のフレットの高さの変化にはだいたいこれに近い傾向がある,と思ってください。ギターとかの製作者さんが「月琴」を自作しようとした場合,どうしても「弦高全体」を平均に低くしてしまう傾向があり,結果,出来た楽器は「ギターの亜種」にしかなっとらんという例をよく見かけますが。月琴の「フレットの高さ」には,それなりの意味と機能がある,というあたりは,作る前に知っといてもらいたいもンですな,ふんす。

 できあがったフレットは,ざっと磨いてまずエタノールに1~2時間。そのあとラックニスにドボンしてニスを染ませ,数日乾かします。今回は煤竹なので,染めたりしないぶん手順が少なくなってますが,それでもたかだか竹製のフレットにここまで手間かけるヒトはそういないかもせんです,ハイ----だって仕上がりと経年変化がキレイなんだもん。

 フレットが仕上がったところで二次フレッティング,ニカワで楽器に貼りつけます。
 ウサ琴は新楽器ですがここはやっぱりニカワ付け----はい,ですのでポロリもあるでよ。これもやはりメンテ上の理由や,楽器の経年変化による変形等に即応可能なためですね。「月琴のフレットはポロリするもの」,聖書にもそう書いてあります(w)。まあ演奏中にポロリする懸念はあっても,長い目で見れば楽器と演奏者にとって利のほうが多いので,はずれても衝動的にボンド付けとかしないように。

 棹上は フレットこする君(細棒の先に紙ヤスリを貼った) で接着位置を軽くあらしてから,胴上のフレットは フレットやする君(竹片に紙ヤスリを貼った) で底にわずかなアールをつけてから接着します。

 フレットがくっついたら,最後にお飾り類を接着します。
 これら胴上のお飾りやフレットの接着は,基本的に「点づけ」で行います。ニカワを全面にべったり塗るのじゃなく,ちょんちょんと点を打つように盛るんですよ。
 接着の強度を考えると一見問題ありそうですが,必要な箇所に必要なぶんをちゃんと点し,適度な圧をかけて接着すれば,通常の使用において簡単にはずれてしまうようなことはまずありません。

 これも「いい楽器」の職人さんが,まず必ずやっているワザ。下手クソや後先考えてないニワカ職人ほど,こういうとこにニカワをべっとり盛って,修理やメンテの時,後の人(おもにワタシ)を困らせて藁人形にクギ打ちつけられますね。
 楽器は「道具」です。ノミやカンナは使ったら砥ぐし,ノコギリやヤスリは目立てするように,道具にはメンテナンスが必要です。「使い捨て」が基本の今出来の道具ばかり使っていると忘れがちですが,古くからの良い「道具」というのは本来そうしたものです。
 良い状態で,できるだけ永く使ってもらいたいから,後々のメンテナンスを考えた作りにしとくのが「良い作り手」というものだと思いますよ----あ,お飾りとれた。

 お飾り類を取付け,最後にバチ布を貼って。
 2022年6月22日,
 ウサ琴EX2号機,完成いたしました!!

 今回も,そこそこ可愛いらしく仕上がりました。
 まあ1号機より構造を多少強化したぶん,高音域での音の伸びがやや落ちましたかね----作った本人じゃないと分からないくらいの小差ですし,構造が強くなってナイロン弦を張れれば,かなりの音量増加が望めます,湿気にも強いので,楽器として活躍できるステージが広がりますからね,功罪相比ぶれば,このくらいはしょうがないかと。

 前作と同じく月琴製作の「上澄み技術」を結集して作った楽器です。絹弦張ってても,そこらの清楽月琴よりははるかにデカい音が出てますし,デカいことをのぞけば「月琴の音」としての質も,そこそこ良いほうだと思いますよ。

 名古屋「鶴屋」鶴寿堂・林治兵衛の棹のレプリカ----やっぱり棹背のラインが美しく,さわり心地も最高ですね(w)
 もっともこの「美しさ」ゆえ,操作上に若干のクセが出てますが,このあたりは使い手のほうに慣れてもらうしかありません。
 前作同様,古物の「清楽月琴」の音や操作感を知らない,まったくの初心者には向かない楽器ですね----楽器としての音や操作性ということからだけ考えれば,「ふつうの楽器」並みの音量と月琴特有の音質は,逆に万人向けではあるのですが。これに慣れちゃうと,たぶん「ふつうの(古物の清楽)月琴」のほうが弾けなくなっちゃいますからね(w)

 いやあ,比べちゃうとね…やっぱりこッちのほうが,断然ベンリなんすよ。

 わしゃあ月琴では清楽曲しかやらん!というような変態さんはともかく,四畳半フォークからボカロ曲,アニソンまでやろうとかいう庵主みたいなふつうの弾き手(ナニ,反対だって?)にとっては,ふつうに音量が出ると言うだけでPAさんの靴をペロペロする必要がなくなり,フレットが2本足されて2オクターブの長音階が出せるという点だけでもラクに弾ける曲の領域がグンと広がりますので「そこ,音がないから弾けん!」と逆ドヤして他の出演者に引かれるなんてことも少なくなります。(庵主の演奏者環境に関しましては黙秘させていただきますwww)

 作者希望といたしましては,すでに1本,古物の清楽月琴なりを手にしていて,日ごろ「もう少しこうだったら…」みたいな満ち足りない想いを抱えている方が使ってくれるとサイコーなんすが……(あ,青汁ドキュメント的な再現Vが脳内に流れた)

 とりあえずお嫁入りさき募集中です。
 ワレと思わんかたはご連絡あれかし,お待ち申し上げております。

(おわり)


2022年7月 月琴WS@亀戸

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斗酒庵 WS告知 の巻2022年 月琴WS@亀戸!7月!!



 

 

*こくちというもの-月琴WS@亀戸 ふみ月場所 のお知らせ-*


 復活第2回目のWSに足をお運びいただいた方々,まことにありがとうございます。

 7月の清楽月琴ワ-クショップは,月末第4土曜日,23日の開催予定。


 会場は亀戸 EAT CAFE ANZU さん。
 いつものとおり,参加費無料のオーダー制。
 お店のほうに1オーダーお願いいたします。

 ふみふみふみつき,お昼下り肉球開催。
 美味しい飲み物・ランチのついでに,月琴弾きにどうぞ~。

 参加自由,途中退席自由。
 楽器はいつも何面かよぶんに持っていきますので,手ブラでもお気軽にご参加ください!

 初心者,未経験者だいかんげい。
 「月琴」というものを見てみたい触ってみたい,弾いてみたい方もぜひどうぞ。


 うちは基本,楽器はお触り自由。
 1曲弾けるようになっていってください!
 中国月琴,ギター他の楽器での乱入も可。

 


 弾いてみたい楽器(唐琵琶とか弦子とか阮咸とか)やりたい曲などありますればリクエストをどうぞ----楽譜など用意しておきますので。
 もちろん楽器の取扱から楽譜の読み方,思わず買っちゃった月琴の修理相談まで,ご要望アラバ何でもお教えしますよ。相談事は早めの時間帯のほうが空いててGoodです。

 とくに予約の必要はありませんが,何かあったら中止のこともあるので,シンパイな方はワタシかお店の方にでもお問い合わせください。

  E-MAIL:YRL03232〓nifty.ne.jp(〓をアットマークに!)


 お店には41・49号2面の月琴が預けてあります。いちど月琴というものに触れてみたいかた,弾いてみたいかたで,WSの日だとどうしても来れないかたは,ふだんの日でも,美味しいランチのついでにお触りどうぞ~!

 



 清楽月琴代用楽器・ウサ琴EX2完成!!
 お嫁入りさき募集中です!
 清楽月琴の上澄み技術でこさえた1本,ぜひWSにてお試しください。

 

 

ウサ琴EX2 (3)

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斗酒庵 ひさしぶりにウサ琴づくり の巻2022.5~ ウサ琴EX2 (3)

STEP3 アドソ師の料理帳

 さて,舞台はふたたび胴体へと戻ります。
 前々回作った胴体構造に,まずは表板を貼りつけます。

 本物の清楽月琴と比べると今回のウサ琴シリーズは,胴側も表裏板もうすうすでつくっているため,胴体が一回り以上も小さい割には,一般的な清楽月琴よりも音はデカく,よく響きます。
 音ヌケが良いというのは,この手の弦楽器にとって好ましいことではありますが,その代償として華奢で,耐久性に懸念がないとは言い切れません。
 まあ庵主が作るモノですので,ふつうに「楽器」として扱ってるぶんには,そう壊れるもんでもないとは思いますが。不意にどこかにぶつけたり,手が滑って落っことしたり,興奮して襲いかかってきた恋人を殴りつけて返り討ちにしたりというようなことは,長く使っていればないことではありません。
 前作はそのへん,かなり音重視で削ったので,強度面では多少の不安も残りました。たとえば,ふだん使ってる絹弦ではなく,ナイロン弦を張り続けた場合の耐久性などですね。

 もちろん,ナイロン弦を張ったとしても,演奏しない間は弦を少しゆるめる程度----まあギターやお三味なみの扱いをするあたりで問題はないとは思いますが。今回の構造,経年実験が済んでるわけではないので,可能性として,なんちゅうてもシンパイなものはシンパイなのであります。(w)
 そのへん,心配性なお父さんとしましては,改良の余地ありということで。今回のウサ琴EXでは,半月周りの補強を少し強めにしたいと思います。

 前作では,半月の手前板裏にバスパー,接着部真裏にブナのツキ板を貼って補強としています。この板の厚さで絹弦前提なら,これでもやや過剰な補強だったかもしれませんねえ。

 要は,半月にかかる糸の張力に対し,板の変形をどのようにおさえるか,という問題で,単に構造上の剛性の問題とするなら方策はいくつもあるのですが。板全体の振動をなるべく阻害しないカタチで,というあたりを考えると,採れる道はそれほど多くはありません。
 前回はやや簡易な方法を採りましたが,今回はもう少し凝った方法でまいりましょうか。

 半月裏に短いブレーシングを入れます。

 エンドブロックから放射状に3本。これのため,表板をへっつける前に,エンドブロックに板の片端を挿しこめるような溝を3つ刻んでおきました。そこと前縁部に位置するバスパーに噛んで固定されるかたちです。

----うむ,これするなら裏板がわのキール(竜骨)は後で取付けるんだったなあ……あ,でも竜骨つけとかないと胴体構造がイマイチ安定しないんで,表板の接着に支障が出るか。いやでも,表板が付いてないと,そもそもこの補強ができないんだよなあ。

 と,作業手順に多少パラドックスが生じてしまいましたが,まあ取付け自体はなんとか成功。
 竜骨がジャマっちゃあジャマではありますが,これ以上複雑な構成にしないのなら大丈夫でしょう。

 半月裏の補強に続いては響き線の取付け。

 ここも前作と同じくダブルのZ線による「天神」で。
 何度か仮挿しして,角度や左右のバランスを確認し,焼き入れ,ラックニスよる防錆処置をすませた鋼線を,ネックブロック,棹孔の左右に取付けます。
 Z線はZ字形に曲げた部分の間隔や深さで,余韻の音色が変化します。基本的には,ここを大きく広くとると長い曲線や弧線に近くなり,小さくせまくすると直線の響きに似てきますね。
 今回はいちど線の左右を間違えて接着してしまったため,次の日にひっこぬいてやり直しました。うむ,ご飯ちゃわんを持つほうがヒダリ……と。

 今度は間違えないよう,さらに念を入れて,短いのを挿すほうに「短」と書いときましたよ。(w)

 響き線を取付けた翌日。内部のチェックをばっちりしてから,裏板の貼り付けです。

 接着自体は問題なく,周縁の整形もつつがなく済ませましたが----ここで問題発覚!

 棹背が…棹を挿すと,わずかですが棹背の基部が胴体からハミ出てしまいます。
 今回使用の棹は鶴寿堂レプリカ。棹背に美しいアールがついている関係上,前作の棹より基部のほうが少し太くなってるんですね。
 前作の唐木屋の棹なら棹背はほぼ直線に近い形なので,もしこうなっても棹のほうを削って,胴厚におさまるように出来たでしょうが,この鶴寿堂の棹の場合,ちょっとでも削ると棹背のこの美しい曲線が台無しになってしまうので削るに削れない。
 うむ,幸いにもハミ出してるぶんは,1ミリあるかないか。ならばこうじゃ!----

 裏板の棹口のところに,薄い板を一枚貼りつけました。
 これで基部のハミ出し部分もひっかかりませんし,見た感じもまあ「いかにも補強板」(w)みたいで悪くない----もちろんそんな効能はありませんが。

 すでに出来てる部品で仮組みしてみましょ。
 実際に取付けてみて確認する意味もありますが,それより製作のモチベをアゲアゲにするためにも,要所で必要な行為ですねえ。

 これで基本的なところは出来上がりましたので,木固めと目止めのすんだものから各自染めてまいります。

 いつものようにスオウで赤染め,ミョウバン媒染,オハグロ黒染め。

棹指板が黒いので,今回は前作より全体にやや黒味をおさえて,ちょっと赤っぽくいきたいですね。

 前回凝りに凝ってしまった蓮頭。
 アレを全力でやり切っちゃったせいか,今回はナニも思いつきません(www)。
 こういうときの伝統意匠,民俗学屋の知識舐めんなよ----ということで「牡丹」を彫ります。

 胴左右のニラミが「ザクロ」なので,二つ合わせて「富貴百子(お金持ちで子だくさん)」という吉祥図になります。へっついてる棹がこの蓮頭含めて「如意(=願いかなう;縁起のいい置物,孫の手)」のカタチだし,コウモリ(蝙蝠=遍福)や円形胴(円銭=眼前)と組み合わせても吉祥語が生成されます。

 さすがだ伝統意匠,やったぜ伝統意匠,困った時の伝統意匠!
 伝統伝統言ってますが(w)----いちおう全体は月琴についてたお飾りのデザインを踏襲しているものの,花や葉の配置はほぼオリジナルですね。

(つづく)


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